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賀曽利隆の『全シルクロード走破行』第41回目


ゴルガーン→チャールース

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カスピ海に近いゴルガーンでは町外れの「アジンホテル」に泊ったが、早朝の部屋からの眺めは良かった。ゆるやかな丘陵の裾野に広がる町並みを一望。カスピ海の沿岸地方を貫く「アジアハイウエー」の1号線、A1も見える。(写真右:「アジンホテル」の部屋からゴルガーンの町並みを眺める)



カスピ海に近いゴルガーンでは町外れの「アジンホテル」に泊ったが、早朝の部屋からの眺めは良かった。ゆるやかな丘陵の裾野に広がる町並みを一望。カスピ海の沿岸地方を貫く「アジアハイウエー」の1号線、A1も見える。
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ゴルガーン郊外の大豆畑

 

朝食までの1時間ほど、ゴルガーンの郊外をプラプラ歩いた。広々とした大豆畑が広がっている。その向こうにはエルブルーズ山脈。一番奥の4000メートル級の山並みは雪山だ。
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ゴルガーンから望むエルブルーズ山脈の山々。一番奥には雪山

 

「アジンホテル」で朝食を食べ、8時30分、出発。サーリーへ。カスピ海のすぐ南の町。だが、まだカスピ海は見えない...。サーリーはカスピ海南岸一帯の中心地で、遠い昔はサーサーン朝ペルシャ(224年~651年)の中心都市として繁栄した。サーリーの町は抜け出るまでが大変。けっこう大きな町なのだ。サーリーを過ぎてもケムシャール、バーボルと町々がつづく。緑濃いこの一帯は、イランでも一番の穀倉地帯。そのためイランでも一番といっていい人口密集地帯になっている。

バーボルはなつかしの町。今から30数年も前の「世界一周」ではここからアモールを通ってエルブルーズ山脈の峠を越え、イランの首都、テヘランに下っていった。エルブルーズ山脈の最高峰ダマバンド山(5671m)のすぐ近くを通るルート。青空を背にしたダマバンド山の雪がいまだに目に残っている。旅の記憶というのはそういうもので、いくら年月がたっても鮮明におぼえていることがいくつもある。そのときの「世界一周」ではテヘランからさらにザグロス山脈を越えてイラクに入り、アラビア半島を横断し、紅海を越えてアフリカに渡った...。

バーボルからアモールを経由し、エルブルーズ山脈を越えてテヘランに通じるルートは「アジアハイウエー」1号線のA1。このA1はテヘランからタブリーズを経由し、トルコ国境へ。そこからは「ヨーロッパハイウエー」の80号線、E80になる。
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ゴルガーンからカスピ海沿岸のA1を行く

 

今回の「シルクロード横断」ではバーボルからバーボルサルへ。そこでカスピ海を見た。「やった、やった! カスピ海だ!」
スズキDR-Z400Sを走らせ、波打ち際へ。砂浜に座り込み、しばらくは世界最大の湖、カスピ海を眺めた。カスピ海の北岸はロシアのボルガ川河口、東岸は中央アジアのカザフスタンとトルクメニスタン、西岸はロシアとコーカサスのアゼルバイジャン。アゼルバイジャンの首都バクーが、カスピ海の沿岸では最大の都市になっている。面積は37万平方キロで日本とほぼ同じ大きさ。今、カスピ海は石油で世界の大きな注目を集めている。カスピ海の油田の埋蔵量は中東を上回るとさえいわれているほどだ。

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カスピ海に到着。バーボルサルで

 

バーボルサルのレストランで、イランの代表食、「チェロー・カバブー」の昼食。チェローはサフランライス。それにバターをたっぷりとのせて食べる。カバブーはミンチにした羊肉の串焼きで、それに焼きトマトとビート(砂糖大根)、コーンなどが添えられている。カスピ海の水平線を眺めながら食べる「チェロー・カバブー」の昼食はたまらない。 存分にカスピ海を楽しみ、バーボルサルを出発。カスピ海沿岸の道を行く。その日の宿泊地はゴルガーンから332キロのチャールース。郊外のリゾートホテル「エンゲラブカザールホテル」に泊った。カスピ海の海岸のホテル。部屋のベランダからはカスピ海をいつまでも眺めた。暮れゆくカスピ海を眺め、波の音を聞きながら、いつの日か、「この世界最大の湖を一周してみたい!」と思った。「琵琶湖一周」のような「カスピ海一周」...。 夜はみんなでトラックの荷台に乗ってチャールースの町へ。町中のレストランで夕食。肉料理が上にのったサフランライスを食べた。毎日のように食べるライス。カスピ海沿岸地方の主食は米だ。

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昼食のライス                 昼食のカバブー             チャールースで見る夕暮れのカスピ海

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●Photo&Report:賀曽利隆
061218_4498b.jpg『シルクロード』はぼくの子供の頃からの憧れだった。小学校4年生のときのことだ。国語の教科書でスウェ-デンの探検家、スウェン・ヘディンの『タクラマカン砂漠横断記』を読んだ。命がけで大砂漠を越え、ホータン川の河畔にたどり着くまでの物語は胸がジーンと熱くなるほどに感動的だった。
 それにおおいに刺激され、小学校の図書館にあった子供向けの中央アジア探検記を全巻、読みあさった。そして
「大人になったら、中央アジアの探検家になるんだ!」
と、心ひそかに決めていた。シルクロードの全域踏破というのはその時からの憧れだった。そんなシルクロードへの憧れを抱いてから49年目にして、ついに実現させる日がやってきた。
 10歳の少年時代の夢を果たすことができたのが『全シルクロード走破行』なのである。

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