オフワンスペシャルインタビュー Vol.11総合格闘家 宇野 薫
本当は2台とも持っていたい......
でも乗れないのもモッタイナイし......
昨年、慧舟會から独立しフリーランスの格闘技選手となった宇野は、同時に主戦場を「UFC」〈注1〉に絞っている。そう、だから2009年の国内イベントで彼を見かけなかったのだ。2001-2003年にも同大会に挑戦し、名だたる選手と好試合を繰り広げた彼が再びその激戦区で戦うことを決めた。実際「UFC」は今アメリカで最も有名な総合格闘技イベント。選手層も以前より格段に層が厚く、技も高度化している。あえて困難で独自の進路を選んだところなどは、いかにも彼らしい〈注2〉。しかしファンであり同じバイク乗りである我々からすれば、さらに多忙を極めそうな今後を想像すると"バイクに乗って出かける時間はあるのかな"という思いが頭をかすめるのである。
横浜にある宇野のショップ「UCS」。取り扱いブランドはオリジナルのUCSの他にGallery1950、GOODENOUGH、SOPHNET、NIKE、インポートなど多数。営業時間は12:00-19:00。定休日は水曜日。
今までどんなバイクに乗ってきましたか。
「専門学校に通っているときに買ったスティードがはじめてのバイクです。とにかくアメリカンに乗りたくてデザイン優先で選んだ感じで。でも当時はレザージャケットなどを着たコテコテの"アメリカン・バイカー"みたいに乗っていたせいか、じつはかなり疲れました(笑)。その後は格闘技に集中するために、しばらくはバイクに乗らないことにしたんです。それでも25歳くらいのときに街中で見たFTR250が気になりはじめて、バイク熱が再燃しました。中古の250と新車の223で迷って、結局この(FTR)223を手に入れるんです。続いてVRX400をトラッカーカスタムにしたり、CRM250を中古で買ってキレイにしたりとイロイロ楽しみました。あまり乗れないという理由で手放してしまいましたけど。そして5年くらい前に知人からスポーツスターを譲ってもらい今に至るという感じ。今、所有しているのはこのFTR223とスポーツスターの2台です」
この冬の最新アイテムが並ぶ店内
選手としての日常的なトレーニングに加え、ご自身がプロデュースするブランドやショップ運営、他にも参加企画や取材などもあって毎日忙しいようですね。普段はバイクに乗って出かける時間ってありますか。
「近所の道場やジムへ練習に行くときなどFTRに乗っています。でも、以前のように買い物や息抜きに乗って出かけるような機会は減ったかもしれません。スポーツスターにも乗りたいんですが、実際のところガレージに置きっぱなしです」
普通に休みのある人でも2台持っていて、まんべんなく両方に乗れているかというと、ほとんどが"1台だけ"ですからね。バイクって乗らないと朽ちてしまうものだから、多忙な人は1台に絞った方がイイかもしれない。
「でも両方好きなバイクだから二者択一はムズカシイです。乗ってる頻度からいえばFTRを残すことになりますが......」
このFTRは良いカスタムですね。ダートトラッカー風シートにスーパートラップの組み合わせが自然だし、外装は'80年代のホンダワークス・カラーにペイントされている。
「以前、連載ページのあったストリートバイカーズ誌とモトショップ五郎さんに協力してもらって作りました。このFTR223が発売された時期にホンダさんの広告に出演したり、そのキャンペーン企画がストバイに載ったりとボクにとって縁のあるバイクです。当時はトラッカーカスタム全盛でしたが、ベタなトラッカーよりひとヒネリしたものに乗りたくてダートのイメージとカラーリングに力を入れて注文しました。トリコロールって青、赤、白の配色が好きなんです。FTRは車重も軽いし気分的に楽なのもイイ。"行こう"と思ったとき自然に乗れるところが気に入ってます」
ところで今、気になっているバイクってありますか。
「デザインが好きなのはフルカウルのレーシーなバイクです。CBR600RRとかハヤブサみたいな。それからバイクではなくスクーターですが、知り合いが乗っているのを見てカッコイイと思ったのがT MAXです。個人的なデザインの好みになりますが最新型より前のタイプの方が好きです」
ところで今年の活動予定ですが、昨年に引き続きUFCに出場するんですね。
「そうですね。春くらいに試合ができるといいな、と思っています」
〔3月31日「UFC Fight Night」に出場。4月8日にテレビ東京で放送があります!〕
昨年はフリーになると同時に国内イベントではなくUFC参戦を選びましたよね。なにかキッカケというか、触発されるものがあったんですか。
「ボクの中では比較の問題ではなくて、強い相手と内容の濃い試合をやり続けたいと考えた結果です。以前出場していたときの充実感を憶えているということもありますが、今のUFCは当時とは比較にならないほどレベルが高くて、自分自身を強化し続けないと通用しません。UFCに出ようと決めてからアメリカのジムを12-13カ所回ったんですが、どこへ行ってもUFCを目指す選手の強さを目の当たりにしたんです。このときは"(UFCに出るなんて)大きなことを言ってしまった"とショックを受けました」
でも帰国してからも精力的に練習して2試合(1敗1分け)を戦い抜きましたよね。とくに11月に行われたUFC106の試合は、最終ラウンドの動きが良かっただけに本当に惜しかった。
「結果だけを見たら納得できませんけど、今2009年を振り返るとUFCに挑戦して良かったと思います。得るものがありました」
バイクに乗る時間を含めて2010年の彼のさらなる活躍を願いつつ、横浜を後にする我々なのであった。
約9年間乗り続けているHONDA FTR223。カスタムはモトショップ五郎(TEL03-3313-0815 http://www.j-bike.com/motoshop56/)。ペイントはペティ・ペインターズ・パラダイス(TEL042-560-5531 http://petty-painters-paradise.com/)。
着ているネルシャツはUCSオリジナル。内側のスカルが印象的なベストは以前BEAMSで買ったもの。黒いスゥェードのレッドウイングも昔のBEAMSが別注したアイテム。宇野のブランドやショップは彼自身の洋服好き、フリマ好きからはじまっている。
〈注1〉UFC
アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップの略。アメリカのズッファLLCが運営する総合格闘技大会。金網リングや究極ルールなどの演出により激しいファイトを熱望する多くのファンを獲得している。1993年にホリオン・グレイシーによるプロデュースでスタート。グレイシー一族を有名にするだけでなく、ケン・シャムロックやジェラルド・ゴルドー、マット・ヒューズ、ヒース・ヒーリング等の日本でも知られるスター選手を輩出している。UFCオフィシャルサイト(日本語)
〈注2〉彼らしい
第4代修斗ウエルター級王者になり、2度にわたって佐藤ルミナを下し王座を防衛したときにベルトを返上して修斗を卒業し、より困難な総合格闘技の世界に進出した。キャリアを重ねても練習量は新人以上(慧舟會東京道場時代の練習仲間の証言)。年下や後輩の選手からも技術を学ぶためには頭を下げて頼み、習得する。慢心しないし勤勉だ。たぶん宇野は既存のポジションから得られる賞賛や安定を好まない。たとえ過酷でも自分にとっての達成感を優先するアスリートだ。
〒231-0063 横浜市中区花咲町3-88
TEL 045-260-5175
(写真と文)
中澤五郎事務所
BACK NUMBER>>>>>>>
-------------------------------------------------------------------------
オフワンスペシャルインタビューVol.1 安廣一哉×YAMAHA BRONCO
オフワンスペシャルインタビューVol.2 お笑い芸人ピーナッツパン田中希実
オフワンスペシャルインタビューVol.3レーシングチーム鷹高木監督
オフワンスペシャルインタビュー Vol.4MHプロダクツ山下和男さん(前編)
オフワンスペシャルインタビュー Vol.4MHプロダクツ山下和男さん(後編)
オフワンスペシャルインタビュー Vol.5ダンディ加川さん(前編)
オフワンスペシャルインタビュー Vol.5ダンディ加川さん(後編)
オフワンスペシャルインタビュー Vol.6鈴木貞好さん(前編)
オフワンスペシャルインタビュー Vol.6鈴木貞好さん(後編)
オフワンスペシャルインタビュー Vol.8 総合格闘家 高谷裕之



