オフワンスペシャルインタビュー Vol.10 アーティスト/BMXer yuzzle
GSX-R750に乗ったとき「スゲー速い」
でもゼンゼン開けられないじゃん......
yuzzle......読み方は"ユズル"。写真にもある一見カワイイ感じの絵を描く男で、本業はサラリーマン。独自の作品を描き、個人展またはグループ展でそれらを発表し続けるアーティストでもある。彼にとっての"絵"はファッションブランドのプリント画を描くといった仕事的な面もあるが、そのほとんどは思いついたイメージを形にするという"表現"であることが多い。ポップな絵の中身にはメッセージ性や"毒"も感じさせるが、それは彼がそのとき感じたもの(こと)が"そんな感じ"だったのだ。
そしてトレールを愛するBMXerであり、バイク乗りでもあるyuzzle。今回は彼のルーツを探りつつ(あるかどうかは微妙だが)彼の中でのアートとバイクとの関わりを聞いていく。
数年前、ファニーで不思議な絵が魅力を放っていた。yuzzleの一般デビューであるファッションブランド「NIX MANUFACTURING」のプリント原画、プレスキットのポスター画だ。
「子供の頃からラクガキばかりしてました。展示会で発表している作品も大学ノートに描いたラクガキをキャンバスに描き直したものです。とくにテーマとかは決めないしメッセージを込めようとか考えません。そのとき自然に思いついたものを描くんですが、考えすぎてうまく描けないことも多いんです。鳥山明のマンガが好きで昔は模写もたくさんしました」
yuzzleの絵は他の何かに似ていない。目標としていた画家なり漫画家はいないのだという。好きだと話してくれた鳥山作品のような雰囲気でもない。カワイイというキーワードこそ似ているものの"裏側"や"暗喩"が感じられて(意図していないと話すが)そこが魅力でもある。
XR250は通勤をメインにほぼ毎日乗る現在の愛車だ。
「XRは少し前に知り合いのキノウチくんからゆずってもらいました。彼とバイク遊びをするようになって気づいたんですが、バイクの楽しさってイロイロあってスゲェ......ってことです」
そのキノウチくんとはBMX仲間であり、バイクの楽しさの幅を広げてくれた重要人物。多用途のスケートパークといった遊びの"場"を自分で作ってしまういわゆる"達人"だ(現在は仲間と「M'S RAMP LAB」を運営)。彼との関わりの中で印象的だったのはコースへ連れていってもらいNSF100に乗ったこと。
「すごく楽しくて"バイクってこんな気持ちになれるんだ"って新鮮な感じでした。それ以来"ホンダってイイな"と思うことが多いです(笑)」
最初のバイクは16歳のとき。父が乗っていたヤマハSR400だ。じつは彼がバイクにふれた最初の印象は非常に悪い。それというのも、奥多摩へ走りに行くという兄の後ろに乗ったことが初体験というから仕方ない。世代的に1980年代のバイクブーム、レースブームを通過している10歳上の兄(とその周囲)の走りは過激そのもので、超・初心者という彼にとってワインディングでのハイペース走行は恐怖以外の何ものでもなかった。さらにある日、yuzzleを後ろに乗せた兄が峠で転倒してしまう。そのとき"こんな危ないものゼッタイに乗らない"と決めた。しかし免許がとれる年齢になるとバイクに乗りたいという気持ちが恐怖心を上回った。
「父とふたりの兄がみんなバイク乗りだったので常に家にバイクがあって、自然な流れで自分も乗るようになりました。SRは乗っていてとにかく楽しかったんですが、あるとき事故って廃車になってしまいました。その後に買ったのが同じ単気筒エンジンのスズキ・グースです。18歳くらいの頃ですね。ツーリングはあまりしませんでした。近場で走って遊ぶのが好きだったかも。それから大型免許をとってGSX-R750にも乗りました。これは兄が乗っていたGSXに影響されたのかもしれないけど、見た目がカッコ良かったので。速く走れたら楽しいだろうな......と思ったんですが、甘かったですね。実際にバイクはすごく速くて「スゲー!」って感じでした。ただ人間がついていけなくて、峠道へ行っても上手く走れないんです。なにか"ぜんぜんスロットル開けられない"自分にハラがたって、やがて乗らなくなりました」
そしてバイクから離れたときに熱中したのが小学生時代から乗っていた"BMX"だった。BMXはオリンピック競技にもなったレースの他に、5種目のフリースタイルからなる堅牢でクイックな20インチ自転車を使ったスポーツ。アメリカが発祥で、子供の自転車遊びを大人が本格化させたものだ。yuzzleは仲間の影響から自分たちで整備したダートコースを豪快に走る(5種目の中のひとつ)ダートジャンプ、いわゆる"トレイル"に熱中していく。
「子供の頃からママチャリのフェンダーを外してBMXゴッコのようなことはやっていたんです。家の近所にあった石神井公園(東京・練馬)の中にある"城跡"に行ったときに偶然知りあった仲間と遊ぶようになってBMXにのめり込むようになりました。道に板を置いて作ったジャンプ台で飛んだり、城跡の城壁を使って危険な走り方をすることに熱中していたんです。それからいろいろなトレイルで走りました。当時の遠征先(野川バンカー跡)で一日だけ一緒に乗った人と、大人になってからまた一緒に乗ったりしています。なにか縁があったんですね。BMXはそういうことがたくさんあります。
それから"トレイル"はまずコースを造らないとはじまらないのです。遊ぶ場所は自分で造るという遊びです。大変な分、最高だとおもいます」
彼は"リアルな遊び"という言い方でトレイルの魅力を話してくれた。多くの人が"遊び"を"仕事"の対局に置いて「まじめに遊ぶ」ことを理解しなかったり、軽く見たりするけれど、彼はそれが人として自然な姿だと言うし、実際に真剣に遊んでいる。そして我々取材班も同じように思う。
日々、ディグ(コース作り)やライドに明け暮れ、かなり上達したがレースで競おうという方向には向かなかった。
「オレはもう最初から上手かったので、あえてレースで競わなくていいかなって思いました。というのはウソで(......)コースでは何人も並んで走るので、自分の責任以外でからまって転けるのとかが嫌だったんだと思います。だからジェットコースターは嫌いです。操縦できないし、事故って死んだら化けてでます。そのかわり自分の入力ミスで死んだ場合は"しかたねーなー"と思うんじゃないかな」
さすがアーティスト気質の単独行動主義(?)。ここで調子に乗った我々は"自分の絵にはバイクに乗ってきた影響があるか"という結論を引き出すための質問をぶつけた。しばらく考えて「よくわからない」と答えるyuzzle。残念。そもそもこちらの設定した結論に無理があったかも......
「でも、バイクに限らずBMXや他のことを含めて今まで体験してきたすべてが影響していると思います」
少し救われる取材班。yuzzleの作品が見たい人はブログでチェックできるよ。
yuzzleのブログ
SAL PROTECTION
BMX仲間SALくんのブランド。BMXerに定評のあるグッズを企画製作している。yuzzleの絵をプリントしたロンTeeもラインナップ。
M'S RAMP LAB
XRをゆずってくれたキノウチ君(とその仲間)が埼玉県八潮市で運営するスケートパークのブログ
BACK NUMBER>>>>>>>
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