「ずっとギャップが続いて、開けて走れるところなんてないですし…。もう辛い。タフすぎる」ドイツに来てエンデューロGPに挑戦している菅原聖子が、DAY1を終えて発した言葉だ。そもそも世界選手権に出ること自体が、とてもタフなことだけれど、実はウィメンズは今年1度だけの開催で、ライダーも主立ったメンツがいない。それを鑑みて、ウィメンズはライダーブリーフィングを別立て。「とにかくイージーにした、まわれないなんてことは無いと思う。ショートカットをふんだんに造った」とは主催側。その落差たるや…とんでもないものだった。

菅原聖子と増田まみが、チャレンジ

画像: 菅原聖子と増田まみが、チャレンジ

全日本エンデューロ選手権、現時点でのランキング上位2名がFIMから招待されたのだが、今回は2位の菅原聖子と3位の増田まみがアサインされた。

日本で乗っているマシンと同等のものを乗りたいわけだが、日本でYZ250FXに乗る菅原に用意されたのはWR250F。事前にセルは取り外されているという情報を得ていたので、セル一式を持参したが、現地で会ったWRは、まんまYZ250Fでセルは付かない。キックのみで戦うことになった。

増田に関しては普段乗っているハスクバーナがチームを出していないことから、BetaのRR1252Tがあてがわれた。こちらは日本にまだ入ってきていない19モデルで、極上の体制。ただし、やはりセルはついていない。

「こっちでは、セルは重いから外しちゃうんだよ」という説明を受けていた二人だが、現場ではセル化がすすんでいる状況だった。

フライデーナイツ!

ドイツGPは、金曜の夜から始まった。EnduroGP名物にもなっているデュアルレーンのスーパーテスト。人工物セクションの激しいコースが観客を魅了する。ウィメンズも、これを走るわけだけど、事前の説明では「ショートカットを用意しているので安心して欲しい」とのこと。

画像1: フライデーナイツ!

ところが、ショートカットされている箇所は1カ所しかなく、二人には相当苦しいコースに。数え切れないほど転倒を繰り返しながらも前進を続けた二人には、ギャラリーから惜しみない拍手。昨年イタリアGPに参戦した大神智樹とは、また違った空気感だった。

菅原、増田ともに5分のリミットを超えたことからリザルトはついていない。トップタイムは、タイトル経験のあるヤマハのエース、L・ラリュー。2位のS・ホルコム(18年、チャンピオン)を0.2秒うわまわる接近戦で、会場のボルテージはマックスに。

画像2: フライデーナイツ!
画像3: フライデーナイツ!

日本のウィメンズは、1周回れるのだろうか

エンデューロ世界選手権に出たことがある日本人は、小池田猛、太田真成、大神智樹の3名だった。小池田猛ですらオンタイムにギリギリ届くという難易度に日本人は震え上がり、大神にいたっては2周でタイムアウト。

だから、日本のウィメンズライダー二人が走りきれるかどうかは、ショートカットの具合にかかっていたのだけれど、期待は裏切られたのだった。

画像1: 日本のウィメンズは、1周回れるのだろうか
画像2: 日本のウィメンズは、1周回れるのだろうか

スタートから、実は波乱。

菅原のバイクは不機嫌で、朝のスタートでエンジンがかからず。オンタイム特有の、スタート20mを1分の間にエンジンの力で超えなければいけないルールをこなせず、ペナルティ対象に。

画像3: 日本のウィメンズは、1周回れるのだろうか

このあと、菅原はミスコースをしてしまいながらも1つめのテスト、エクストリームテストへ。スタートがわからずに次のルートへ向かう。増田のエンジンは調子よくエクストリームテストにチャレンジ、9分15秒91。ウィメンズトップのS・カルカイネンは2分29秒11のリザルト。9名のエントラント中、8名がXTを走破している。

クロステストこそ、現代のエンデューロを象徴するテスト

エンデューロの世界戦であるEnduro GPは、難しいコースに見応えを感じることも多いが、クロステストには真の実力が垣間見える。トップクラスのGPカテゴリーでは、ワダチのできていないファーストラップのグラストラックを、とんでもないバンク角まで寝かせていく。バイクのこなし、グリップ感、暴れるマシンの対処…モトクロスとは異なるスピードレースの世界が、ここにはある。難しいコースを走りきれることがエンデューロではない。

画像1: クロステストこそ、現代のエンデューロを象徴するテスト

このDAY1でGPカテゴリーのE1のチャンピオンを決めたB・フリーマン。フリーマンは、昨年度のジュニアチャンピオンで、いわばGPのルーキーだったもののデビューイヤーにタイトルをものにしたことになる。現世代のスーパースターS・ホルコムを抱えるBeta陣営は、実にGPで3クラスのタイトルを制覇。2018年のEnduro GP、最強の名を欲しいがままにしている。

画像2: クロステストこそ、現代のエンデューロを象徴するテスト

ウィメンズクラスは、2番手で走っているのが2016、2008年のウィメンズモトクロスチャンピオン、L・ランスロット。難しいコースに悪戦苦闘しており、思うようにタイムが出ない。

画像3: クロステストこそ、現代のエンデューロを象徴するテスト

増田はこのCTを7分31秒51で走破。

画像4: クロステストこそ、現代のエンデューロを象徴するテスト

菅原は11分4秒62。エンジンをとめてしまうと、再始動に時間がかかることが大きくタイムに響いた形だ。

3本目のテストであるエンデューロテストは、増田・菅原が言うには「ウィメンズはキャンセルになった」と聞いたようだが、上位6名はリザルトを残している(現段階での推測としては、二人がすでにタイムアウトをしていて、テストに入れる資格がなかったという見方が優勢)。この時点で菅原はタイムアウトでDNFに。増田は2周目にはいっていったが、途中のヒルクライムを上れずにパドックに戻されてしまった。

菅原は「とにかく厳しくて難しい。普通にまっすぐ走れる路面はないし、ワダチは深いし、とんでもなく私には難しい」と話す。マシンの調子もよくなく、二人はパルクフェルメにマシンを入れたが、DAY2の朝に菅原はリタイアを表明。「スキルが足りていないこと、そしてこの目で世界の走りをみることのほうが、いまは何かを伝えられると思う」とのこと。増田はDAY2キャンセルせずに走行することを決意し、スタートへ向かっている。

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