2018シーズン、全日本モトクロスに現れた新体制は、少なくない。古賀太基のADA/SoCal MXTFや、岡野聖を擁するヤマハベースのフライングドルフィンサイセイ…そして、今回紹介する石浦諒が走るGOSHI Racingだ。

画像: GOSHIと石浦諒が形作った、あたらしいモトクロス・ビジョン

類を見ないチーム「GOSHI Racing」

チームには様々な形態があるが、GOSHI Racingは独特の生い立ちと目的を持つ。

画像1: 類を見ないチーム「GOSHI Racing」

チームの母体になる合志技研工業株式会社は、パーツサプライヤーである。主にホンダへパーツを供給しており、写真に映っているのはアフリカツインのエキゾーストを組み立てているところだ。市販するパーツはなく、メーカーに直接納めるパーツのみを生産している。だから、エキゾーストの開発ももちろんできるというわけで、石浦諒が乗るCRF250RはGOSHIが手がける開発品「54R!」を装着する。全日本モトクロスにシーズンで参戦することで、R&Dを進めているというわけだ。

技術部の縄田氏は言う。

「合志技研は、ホンダさんから出てくる図面を元に、量産品を立ち上げて生産する会社です。我が社のような会社は、できることを増やしていくことで、より多くの製品に携われることになります。そのためには、技術力を持っている必要があるわけです。

この技術力を最もPRでき、さらには社内の技術を向上できる活動がレースだったのです。最初はオンロードから始まって、今はオフロードでもGOSHI Racingで活動をしています」

活動主体は、その名の通り「レーシング部」だ。ロードもあわせて、現在11名が所属しており、課外活動ではなく社内活動として進めているのが特徴。

画像2: 類を見ないチーム「GOSHI Racing」

モトクロスに携わるメンバー。仕事として取り組む体制になっているだけあって、平日はテストやレースの準備に忙しい。ライダーである石浦も、当然ライダーであるだけではなく、開発業務を日々進めている。

開発目的でおこなわれるプロジェクトで、そこには純然たる社の運営が携わる。この部分は、実にファクトリーのような体制だと言える。しかし、1年目ということもあって存分にデータやノウハウを持っているわけではなく、その部分ではファクトリーから離れているとも言える。いわばサードパーティパーツメーカーであるヨシムラや、モリワキなどがチームを持つことはありふれたケースだが、GOSHIのように量産パーツを製造するメーカーがチームを持つことは珍しい。しかし、前述したとおりとても理にかなっている活動で、多くの人が求めている「レースに集中できる環境」を、意外なパズルを組み立てたことで完成させたのだ。

スイングアームを生産する合志テックで、念入りに開発された石浦号の足回り

画像1: スイングアームを生産する合志テックで、念入りに開発された石浦号の足回り

さて、彼らが仕立て上げた18 CRF250Rは、どうだろうか。

一般的なIAランカーのマシンとしては、たとえばKYBの上位モデルサスペンションが目に付くところ。そしてフレーム・スイングアームがブラックアウトされているが、これは当初、合志技研が持っていたアフリカツインのフレームなどを塗装する技術を使っていて、非常に耐久性が高かった。だが、現在はセラコートのサポートを受けており、さらに機能性を持っている。

※セラコート…セラミックを使ったコーティング技術で、放熱させるもの、遮熱させるものなど、機能を選ぶことができる

画像2: スイングアームを生産する合志テックで、念入りに開発された石浦号の足回り

興味深いのは、このセラミックコートされたスイングアームの内側だ。CRF250Rのスイングアームは、合志技研の子会社である合志テックで製造していることもあって、様々な仕様をつくることができる。

縄田氏が言うに「いろんなサイズを合志テックさんに作って頂いて、土日、プライベートで練習にいく中で、スイングアームのフィーリングの確認をしていました。長さや、テーパー角を調整することで安定性や、剛性を調整するのですが、最終的にはスタンダードの形状を採用しています」と。

ライダーである石浦は「ギヤや、サスペンションも関係してくるのですが、動きを緩慢にしてくれる作用があります。ジャンプの飛び出しの際に、コントロールしやすくなったり、重さが150g加わる分トラクションに優れたりします。軽すぎると反応が良過ぎて、押し出される感覚がありますね。ダンピングが効かなくて、ばたついちゃうフィーリングも出てきます。これを、若干重くして調整しているのです」と説明してくれた。

セオリーが通用しないマフラー開発

開発の軸足を置いているマフラーに関しては、スイングアームほど早く決まるものでは無かった。

画像: 現、最終仕様のver2.3

現、最終仕様のver2.3

フルモデルチェンジした18 CRF250Rは、それまでのCRFのコンセプトをがらっと変えたことで、高速域のパワーと、レブ域のさらなる伸びをつかみとった。しかし、これは日本のライダーにとって低速におけるトルクを失うことにもつながった。

縄田氏「やはり低速が開発の最大のターゲットでした。しかしながら低速を出すのが一番難しいところで、現在進行形で開発を進めています。スタンダードを超えるデータが、出るには出るんですけど、そこをベースとして考えると流れが悪くなってしまう。おおよそ、問題になるのは5000〜7000rpmの間です」と。

石浦は「コーナー中のパーシャルで使う域にすっぽりはまってしまうのです。2速で回るコーナーを3速で回りたい。それができれば、立ち上がりも速いのですが、まだ出し切らないのが現状ですね。

最初にHSR九州でスタンダードに乗ったときは、中速から高速は伸びていくんで、走るのかなっては思っていました。でも、コンディションが悪くなったり、オフロードビレッジみたいなテクニカルなコース、名阪みたいなサンド質だと思ったようには走れない。半クラッチを当てる乗り方もあるんですけど、それはまた違った乗り方になりますしね」と。

画像: オフロードビレッジを走る石浦

オフロードビレッジを走る石浦

現在は、マフラーは開発がすすみバージョン2.3だと言う。

画像1: セオリーが通用しないマフラー開発

CRFの場合は、2本出しであることが影響してかなり特殊な開発を強いられると、縄田氏は言う。「通常エキゾーストパイプの長さや取り回しが影響しがちなのですが、ことCRFに関してはサイレンサーも大きく性能に影響を与えています。まず、組あわせを考えるのも、一苦労です。

エキパイを含めて開発をしてまして、最初はサードパーティの製品と同じサイズの同じ管状のものを作りました。セオリーで言えば、管長を長くすることで低速にトルクをふれるのですが、そう簡単にいかなかったのです。

現在は、マフラーボディの方はかなり数を作ったんですけど、その中でエキパイの組み合わせを探ろうというところです」

画像2: セオリーが通用しないマフラー開発

まずは、原材料費の安いステンレスでエキパイの試作品を作り、これでテストを繰り返す。

画像3: セオリーが通用しないマフラー開発

現状のスペックだと、管長は短く、ボディサイズも短くなっているとのこと。エキゾーストは、セオリーで言えば、まずサイレンサーを作って音量規制にあわせた消音をする。そのサイレンサーの消音にあわせてエキパイで特性を調整してくのがセオリーだ。だが、縄田氏は言う。「うちは、さらに消音の開発も同時に進行しています。出力を落とさずに、音を下げられれば、結果的に出力を上げることができる。この施策がどこまで通用するか見物です」と。

画像4: セオリーが通用しないマフラー開発

セラコートされた、エキパイ。排気効率にも影響すると言われているセラコートだが、そもそも超絶な遮熱性を誇るセラコートは、エキゾースト開発をするGOSHI Racingにとって「走りおえて、すぐにエキパイを交換できる」という、とても有用な性能を持つだという。

画像: レーシング部の日常

レーシング部の日常

現在、ランキング13位。中盤から好成績に

画像1: 現在、ランキング13位。中盤から好成績に

石浦諒は、最終戦を前にして現在ランキング13位。第5戦九州大会で、4/6位に入賞したことで大きく成績を上げはじめた。それまでIA2では7位が最高位だっただけに躍進と言える成績だ。

「僕も休止から復活する形で参戦したこともありますし、忙しさや、レースに出る生活への慣れもあります。トラックを運転して現地まで行って、ブース立てて…レースに集中できるようになるまで時間がかかりました。中盤から調子を上げられたのは、開発が進んだのもありますが、そういったメンタルやフィジカルの面も大きかったと思います」と石浦。

画像2: 現在、ランキング13位。中盤から好成績に

最終戦は、新設計のエキパイを投入して好成績を狙うと言う。合志技研がおこなう、レース活動によるR&D。GOSHI Racingの姿勢は、明らかに今後の日本のモトクロスにとって価値のあるものになっていくはずだ。

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