現在オーストリアで開催されている宇宙一難しいハードエンデューロ「エルズベルグロデオ」に挑む、鈴木健二のマシンをクローズアップ。海外のセオリーからは外れた独自のセットアップは見所満載
画像1: 鈴木健二のエルズベルグロデオ用YZ250は、まるでファクトリーバイクだ

2スト300ccが主流のハードエンデューロにおいて250ccで戦う

2019年から構想がはじまった鈴木健二のエルズベルグロデオ参戦。タイミングよく、ヤマハでは2ストロークのYZシリーズを一新する時期であり、2021年の参戦に向けて新型YZ250ベースでマシンのセットアップが進んでいった。YZ250(X)は鈴木にとって、もっとも速く走れるマシン。4スト450ccと同クラスのパワー、2ストならではの軽さを併せ持ち、日本のハードエンデューロでもポピュラーな存在だ。しかし、エルズベルグロデオの会場で周りを見るとYZがどれだけハードエンデューロでマイナーな存在かがわかる。巨大な勢力であるKTMファミリーが圧倒的な大多数で、さらにはトルクの太い2スト300ccが主流なのだ。

この鈴木のYZ250はヤマハのYZ・WRを開発するグループが仕立てあげた、いわば日本のハードエンデューロファクトリーバイク。ギヤケースのなかには今回のために一品ものでつくられた1-2速のスーパーローギヤが組み込まれている。セルスターターはアフターマーケットの製品を使っているが、中身のギヤなどをヤマハで制作したものに入れ替えて信頼性を向上させた。市販車にあるダイナモからバッテリーを充電する仕組みはついておらず、バッテリーは使い切りの設計。そのため、クーリングファンとセルのために2系統のバッテリーが搭載されている。

驚くべきは決勝用のタイヤ。通常はFIMエンデューロタイヤをベースにしたガミータイヤがセオリーだが、鈴木はサンド用モトクロスタイヤのMX14をチョイス。コンパウンドは意外に柔らかく、赤土以外は優れたグリップを発揮すると鈴木談。

画像1: 2スト300ccが主流のハードエンデューロにおいて250ccで戦う
画像2: 2スト300ccが主流のハードエンデューロにおいて250ccで戦う
画像3: 2スト300ccが主流のハードエンデューロにおいて250ccで戦う
画像4: 2スト300ccが主流のハードエンデューロにおいて250ccで戦う
画像: 決勝用のタイヤはMX14に鈴木自らがサイプ加工を施したもの

決勝用のタイヤはMX14に鈴木自らがサイプ加工を施したもの

エンジンは専用開発されたマッピングで制御

特に中低速の出力特性が重要なエンジンは、専用にテストを繰り返されたマッピングが入ったECUを2種類用意。予選用と決勝用でセッティングを変更できる。これにともない、チャンバーも予選ではFMFを、決勝ではHGSと使いわける。FMFのチャンバーはスタンダード比で10km/h最高速が速かったとのことだ。

画像1: エンジンは専用開発されたマッピングで制御
画像2: エンジンは専用開発されたマッピングで制御

車体関係では、ステムまわりを他車種から流用して、YZのスタンダードよりもサスペンションが手前にくるディメンションに変更することで旋回性を向上している。また、スイングアームについているチェーンガイドのステーを補強して岩へヒットしても曲がらないように対策。ISAの強靱なスプロケットとあいまってトラブル回避を試みた。

画像: 予選は14-48T

予選は14-48T

画像: 決勝では12-52Tというショートなギヤ比

決勝では12-52Tというショートなギヤ比

画像3: エンジンは専用開発されたマッピングで制御

フロントサスペンションはスタンダードのKYBサスペンションを使用。これはテクニクスによって3cmショートにされている。リアサスペンションにはKYBのスペシャルが装着され、予選・決勝に対応する。鈴木が関わってきたエアサスペンションも用意があったが、テスト不足でセッティングが出し切れなかったそうだ。

YZのクロスカントリーシリーズの開発やPRに貢献してきた鈴木は、ヤマハにとって二人といない特殊な人材。このYZは、鈴木にとっての最後の挑戦を支えるに相応しく、スタッフが渾身の力で作りあげたマシン。このあと走る決勝で、どこまでそのポテンシャルが発揮されるのか乞うご期待。

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