圧倒的存在感を前に、タフネスな造りに絶対的な信頼はあるものの「扱い切れるのであろうか?」と、不安に思ってしまうのは素直なところ。他に類を見ない容量30ℓの巨大な燃料タンクと、張り出したフラットツインのエンジンと相まって独特のフォルムを形成し強力なインパクトを与える。さらに、オプションのアルミ製ラゲッジケースもフルセットで装備し、バイク版の動く要塞といった様相となる。

撮影/関野 温 文/山口銀次郎

BMW
R1200GS
ADVENTURE

エンジン:空水冷4ストDOHC4バルブ水平対向2気筒
ボア×ストローク:101×73mm
総排気量:1169cc
燃料供給装置:フューエルインジェクション
最高出力:125PS/7750rpm
最大トルク:12.2kgf-m/6500rpm
全長×全幅×全高:2270×980×1520mm
ホイールベース:1520mm
シート高:840/860mm(STD)890/910mm(プレミアム)
タイヤ前•後:120/70-19•170/60-17
始動方式:セルモーター
変速機:6段リターン
圧縮比:12
車両重量:267kg
燃料タンク容量:30ℓ
価格:249万2000円

 身長178cm体重80 kgの私でも尻込みしてしまう佇まいなのだが、一度跨がってしまえば身をゆったり預けられる快適空間が広がっている。それら全てが「BMWの手の内」といった雰囲気で、抜群の操作環境が整えられており、長距離であろうが悪路であろうがモノともしないだろうというのは想像に容易い。

「モノともしない」というのは、障害などを乗り越えるパフォーマンス等ではなく、ここでは「疲労」であったり「鈍痛を伴う苦痛」といったツーリング主体で考える、乗り手に与える影響のこと。で、実際に2日間みっちり走り込んだ後でも、走り足りなさを覚えるほどで、疲労感なく元気ハツラツ! これが、快適な高速道路移動のみであるならわからなくもないが、九十九折のワンディングから、雨天でスリッピーな路面、はたまた未舗装路といった気を使う場面のオンパレードだったのにも関わらず、なのだ。

オーソドックスな指針タイプのスピードメーターとタコメーターに、液晶デジタルパネルをセット。液晶パネルでは識別しやすいアイコンを用いてモード変更を容易にしている。オプションのカラーモニターのナビゲーションシステムは、タッチパネルタイプとしながらも左グリップ付け根にあるスロットルタイプのジョグダイヤルと連動している。メーターパネル右脇には、スクリーンのポジション変更が片手で出来るダイヤルノブが配置される。

 あまりの乗りやすさに、細かな感想を綴ったらきりがない感激の連続だったのだが、特筆するべき点として、電子制御による、走行環境や状況に応じての「アジャスト能力」を挙げたい。

 許容範囲の広い素晴らしい操縦環境だけではフォローに限りがあるが、そこは正しくテクノロジーの本領発揮といえよう。操作ボタンひとつでパワーの出力特性や足まわりの設定を変更可能にし、それこそひとつの車体なのに数台分の特性を簡単に造り上げることが出来るのだ。大袈裟かもしれないが、設定ひとつでキャラクターが変わってしまうといっても過言ではないので、ライダーのテクニックは二の次三の次で、無駄な抵抗はせずに身を委ねていれば良いといった具合。さらに、不器用であるはずの装備重量で250kgを越え大柄な車格に誇るのに、走行中はそれらネガな部分を感じさせることがない。むしろ、全ての外乱や挙動を吸収し収束させてしまう、BMWならではの寛容さが嬉しい限り。無論、状況に応じての設定変更は、ライダー本人の唯一の仕事なので、臨機応変に対応したい。

スクリーンはオプションのスモークタイプ。アシンメトリーのヘッドライトはフルLED化となる。

 当初の難攻不落感はすぐに払拭されたので、あとはR1200GSアドベンチャーのパフォーマンスを使い切り、堪能するのみ。と、そんな具合に、積極的に向き合えるフレンドリーさが生まれているというのが、実は重要だったりする。そこで、GSアドベンチャーはトータルパッケージであまりにも上質且つ、あまりにもラグジュアリーなのだ。
 不平不満が思いつかない程、別格な存在であることを認識させてくれた旅だった。

テレレバータイプのフロントサスに、ワイヤスポークの19インチホイールをセット。タイヤは前後ともチューブレスタイプ。

燃料タンク脇からシリンダーヘッドなど広範囲に渡るガードパイプを標準装備。

シート高は、ハイとローで約50mmの差を生む2段階設定の可変式だ。

(問)BMW Motorrad TEL0120-55-3578 www.bmw-motorrad.jp