ラリーが始まる前に山場と言われていたLEG5。悪夢のLEG4でクラッチを焼いてしまい、なんとか自走できるようになったものの虫の息。お伝えしているとおり、増田まみはこのLEG5を走らないことに決めていたが、競技のルール上できるだけのイベントをこなしてペナルティを加算されないようにする作戦へ出た。

アジアクロスカントリーラリーは、ホテルをスタートしなかった時、SSをスタートしなかった時、SSをフィニッシュしなかった時、ルートをフィニッシュしなかった時など、様々なイベントに分けてペナルティを課している。増田は、ホテルからリエゾンを通ってSSへ。SSもスタートだけ切ってすぐにアウトした。LEG4でマシンが止まってしまい、LEG5にまったくマシンを動かせなかったライダーは多く、これだけでも順位を上げることができるのだ。

最後の関門だった、LEG5

増田のいないLEG5は、最後の関門だった。最終日LEG6のSSは、25km程度。つまりLEG5でラリーのほとんどが決まるといっていい。見ての通り、LEG5の地形はこれまでと違って複雑で、ナビも難しく、スタート直後にトップ勢のほとんどが派手にルートミスしてしまうという事態に。

マディコンディションの激しい箇所も使用された。ただ、コマ図ではもっと激しそうな表記で書かれていたため、この数日の雨量の少なさで乾いてしまったものと思われる。

二輪のトップは、昨日に引き続き日本の池町佳生がトップを堅守。11分のアドバンテージをもってLEG6を残すのみ、優勝パターンへ持ち込んだ。

増田まみは、単独マシンの修理をすすめる

増田は、SSのフィニッシュだけでもと思いつつも、マシンをなおすことが先だと決め、一人ルートフィニッシュへ。しかし、その途中にホンダ販売店でオイルを調達することができたため、クーラントなどのチェックと、オイルの交換を試みた。

クラッチの焼けた悪臭がする真っ黒なオイル。1.2L程度抜けたので、オイル消費はしていないはず。

実は、このカンボジア、はっきりってホンダ天国だ。まず、至る所にホンダの販売店がほとんど同じチェーン店のように点在する。

中には休めるところも。

カブの派生モデル、NCXが今は大人気だそう。

この国はなんでもカブでまかなってしまう。タイに比べても、そのホンダ率の高さは「見た目」では圧倒的。タクシーにだってなっちゃうし…

お鍋を運んじゃうし…

子供も遊ぶし…

おなじみ「ファミリーカブ」はもちろん山ほどいる。

メコン川のほとりで

かのメコン川のほとりが、本日の宿。明日のラストLEGに向けて、整備をひたすら続ける参加者達。最後のゴールだけでも、と一縷の望みをかける者もいる。

増田は「結局、クラッチプレートは手配がつきませんでした。いろんなところを回ってみたけど、カンボジアの地方には、そもそも共通エンジンのCBRやCBが置いていない(※カンボジア国内には流通している)し、スペアパーツももちろん置いていないですね。でも、現地ホンダのお店の人達はすごく優しくて、親身になってくれました。

パーツも不足しているので、エンジンは開けずにそのまま。オイルを交換したことで症状が改善して、いまのところそっと走ればクラッチの滑りは感じないくらいになっています。これならLEG6も走りきれると思う。なんとなくですがもしクラッチが焼き切れても、たぶんゴール5km手前とかだと思うんですよね(※編注:根拠はまったくありません)。最悪、押してゴールしますよ。いまは、完走をしたい」とのこと。

ゴールはほとんど見えたも同然だ。