定型の125、250ccとは違った中間排気量のオフロードバイクは、昔から「軽さとトルク」の両立を目指したコンセプトとして各メーカーが開発してきた。その代表格が、2スト200ccといっても良いだろう。250では走りすぎる、125ではピーキー。そこで200というわけだが、2019年にリリースされた最新世代の200は、どこまで進化しているのだろうか。

オフロードバイクの数々に慣れ親しみ、現在Betaを愛用。Off1.jpでもインプレッションを多く担当していただいている和泉拓が、三重県いなべモータースポーツランドでテイスティングを試みた。

「抜群に軽いし、扱いやすいトルク特性。
2スト200ccのなかでも、完成度が高い」

「125ccでは難しいラインも狙えるくらい、200ccなりのトルクが出てるのに、軽い。第一印象はすごくいいね」と和泉は山の中で言った。125ccのフレーム、クランクケースがベースだから、実は200ccという排気量ながらも車体構成としては125ccよりだ。200という数字に惑わされがちだが、「ちょうどいいとこどり」のマシンにはなかなかなりづらい。過去世の中に出てきた200ccマシン達も、意外とピーキーさがあったりとコンセプトから遠いこともよくあった。

「そういう意味では、ようやくコンセプト通りのマシンに会えたな、という感じがするよ」と和泉。

そもそもいま、エンデューロの基本は125と300なのではないか
200はどういう立ち位置なのか

2018モデルとしてデビューした、Betaの RR2T125と同型のクランクケースを使う。トライアルマシンではメジャーなクラッチカバーに油圧クラッチのレリーズシリンダーが一体になっているタイプ

90年代において、2ストロークのエンデューロマシンは、手強かった。特に300を超えるモデルは、北欧の屈強なライダー専用といったイメージで、とてもじゃないが300ccの2ストロークは遠い存在だった。それが、2007年あたりから急に一般ライダーに受け入れられる「扱いやすい」ビッグボア2ストロークが登場しはじめる。

エンデューロが、世界において2ストロークに回帰していく流れのなかで、Betaが2013年にRR2Tで参入。「2013年に、2ストロークの進化が一気に加速した感があるよね。エンデューロの主戦場である世界選手権では、E1が4スト450、E2が4スト250、E3が2スト300の流れになっていった。昔は4スト500オーバーがE3のマシンだったのに。だから、2スト250って今はそもそもスタンダードではないんだよな」と和泉。

2ストの300は、現在どのメーカーも72mm×72mmでスクエアのエンジン。むしろ、今は2スト300をベースに250を作っているのではないか、とすら思えてくる。つまり、今は125ccと300ccをベースにものを考えた方がいいのかもしれない。そこをいくと、本来的には200は125と250の間と考えるよりも、125+αであって300(250)側とはだいぶ遠い立ち位置にいるのだと思うほうが自然だ。

その前提の元で、しっかりした低速トルク特性を持っている。そこがRR2T200のストロングポイントだ。

RR2Tが先鋭化していく流れ

この2010年代末にあって、マーケットで大きな存在感を誇るKTMのEXCシリーズは、おしなべて「扱いやすい」ことこの上ない。2000年代のようなレベルにあわせた排気量選びは、いまやナンセンスだ。低回転のトルクで走りたいビギナーが300を選べるし、思い切り振り回して乗りたいベテランが125を選べる。

BetaのRR2Tも登場当初は、群を抜いて「扱いやすい」と言われていたが、年々「タイムを狙える」マシンに変貌している。2018年に登場したRR2T125は、世界戦のジュニア達を表彰台へ導くハイエンドマシンだ。扱いやすい方向性に対するアンチテーゼ、とも言ってもいい。

「Betaは、最近では特に車体剛性がしっかりしていて、レースで成績を狙えるパッケージングに振ってきている。エンジンも上までしっかり回る。

で、この200はどうかというと、まさにその流れなんだよ。Betaのプレイバイクであるクロストレイナーのような方向性ではなくて、モトクロスも楽しめるくらいのがっしりした車体で、エンジンも元気がいい」と和泉。

「125は軽いけど、トルクに任せたライディングができないから、実は急斜面でのタイトターンは難しい。ところが、200だとうまいことクイックに立ち回れる。

ヒルクライムも、125とは違うよ。125では1速を多用するようになるけど、この200であれば大抵のところは2速で対応できる。スピードも乗りやすいから、有利になることは間違いない」と。

レーシーなフレームを補う軽さ

フレームの剛性の高さは、時として扱いづらさにもつながるが、和泉は「乗った感触で固さを感じるのは確か。エンジンマウントをモディファイすれば、だいぶ柔らかさが出てくるのではとも思う。

でも、固いから曲がりにくいかというとそうではないね。250よりも旋回性は高い。車体の重さ自体は2kgくらいしか変わらないんだけど、誰にでもわかるくらい軽いし、エンジンの回転マスも250より小さくて倒しこみやすい。

125だと、立ち上がりで高めの回転域を使いたくなるよね。つまり軽いから125のほうが曲がりやすいということにはならないんだよね。200であればエンジン的には250のような低回転で曲がれるから、扱いやすい」と言う。結果的に、コーナリングにおいてまさに「いいところどり」の性能が現れるようだ。

ジャストサイジング

250、あるいは300の扱いやすさが際立つ今でも、軽さは正義だ。RR2T200は、125の思い切りレーシーな性格を、適切な排気量でもって扱い安さを補ったマシンだと評価できる。

「オンタイムエンデューロでは、ミスをバイク側が補助してくれるだけの懐の深さがあると思う。ハードEDにも、相当向いていると思うね。

それと、125のようなうまくはまったときの爽快さ、速さを味わえるのも醍醐味だね。

ただレーシーさを強調してきたけど、Betaは排気バルブで性格を思い切り変えることができるから、DT200Rくらいまで初心者向けのセッティングも出しやすいよ。スタンダードだけがそのバイクの持っている魅力ではないから、その辺も考慮に入れてチョイスしてほしい」と和泉は言う。

Beta
RR2T200

希望小売価格
RR 2T 200 MY’19 1,000,000円(税別)

小ぶりな125ベースのエンジン。クランクケース下にはRR2T125にないセルモーターが備わる。キャブレーターはKEIHIN PWK36、ボア×ストロークは62mm×63mmで若干のロングストロークエンジン

200の場合、チャンバーが張り出し気味だが、RR2T200では転倒時にもへこみづらい張り出しの少ない形状。キックはスタンダードには装着されない

分離給油(シート下に注油口あり)で、日常の使い勝手もグッド。サブフレームはアルミだが、シートレールは樹脂。ライディング時の固さを低減

フロントは48mm径で特殊なアルマイトを備えたスライダーを新採用

コンパクトな46mmピストンを採用し、約300gの軽量化を実現

ザックス製の前後サスペンションは、2019モデルから新型に。「ダンピングが緩めでプレイバイクよりのセッティング。伸びを締め込んでやると、レーシーさを取り戻すね。18年式から、BetaのRR2Tはストロークの中間域でのダンピングの立ち上がりが鋭くなった」と和泉

フロントサスペンションの右側は、プリロードのアジャスターが追加されている。10mmの調整幅を持つ