いよいよ2019年の全日本モトクロスも最終戦。あくまで市販モトクロッサーにおける、エキゾースト開発を目標に取り組んできたGOSHI Racingは、前戦にて2度目の表彰台をゲット。IA2クラスにおいて、注目度がラウンドを追う事に上がってきた。いまや、ライバルであるIA2トップライダーたちにとって、石浦諒は「前に出してしまえば、やっかいな強敵」として捉えられている。

練習走行でのタイムはしっかり出るのだが

折からの台風は、このSUGOにも影響を及ぼした。日本から離れたところで猛威をふるっていたものの、金曜日から降り続けた大雨でコンディションは最悪に。土曜日朝一の練習走行では、もはやラインは選べず一本しかなかった。いつもよりも、スタートがモノを言う。そんな状況下で、石浦は練習走行4番手のタイムをマークしていた。

予選を走る石浦

タイヤは、悩んだあげくにマディタイヤをチョイス。あまりにひどいコンディションに賭に出たが、スタートではフロントが浮いてしまい、集団に飲み込まれてしまう

若干の出遅れが、あだとなった予選ヒート

類をみないほどの、ショートカットコースが設定されたSUGOの予選、3周目には5番手まで上がるものの、それ以上を望めず。2組ある予選だから、つまりは決勝グリッドを10番目に選ぶ権利を得たことになる。

エキゾーストは、九州大会と同じ仕様。マシンは、シーズン中盤で仕上がったと石浦談

マディの対応もバッチリ

決勝ヒート1、有利なのはアウト側スタートだった

万全のコースメンテを経たものの、やはり夜の間に雨に見舞われたSUGOだったが、IA2の決勝にはコンディションも回復する。石浦は言う。「今回アウトが有利だったんですがそこを獲れず、スタートでなかなか前に出ることが難しい状況になってしまいました」と。

アウト側の乾いた路面を使いたかったが、イン側でのまれてしまう立ち上がりとなった

最終戦、体制もばっちりだった。これまで培ってきたチームの蓄積は、明らかにホンダのトッププライベートチームとして機能しはじめている

難しいコンディションが、ところどころ残るレースだった。オープニングラップで12番手の立ち上がり、グイグイと順位をつめて8位まで上がるものの、転倒で12位へ戻ってしまう。

ヒート2も、スタートに悩まされるレースであった。中盤付近を走行、転倒で順位を下げてしまったものの、18位でフィニッシュ。

1年前に見えなかった、タイトルも視野に入ってきた

石浦は、この2019シーズン、これまでになかった表彰台を2度も経験し、さらには終わってみればランキング5位と上々の成績で終えることができた。

「取りこぼしが結構あって、そこが本当にもったいないなと思います。今年は今までで一番いいランキングです。今まで一桁でランキングとったことがなかったのですから。ただ最終戦の結果が悪すぎたんで、ちょっとあんまりしっくりきてないのと、ちょっと不完全燃焼で終わってしまったなとは思っていますね。

今年はチャンピオンていうのはなくて、どちらかというと開発ありきで、いいマシンを作りたいという目標がありました。しかし、このシーズンで後半戦をみてもらえばわかるとおり、マシンが本当に走るようになりました。マシンがまとまれば、自分の成績もついてくるようになりました。あとはもう本当にスタート出て結果出せるか出せないかっていうところまで、来たかなと思っています。

だから、自分としてはレースは250で出てチャンピオン狙っていきたいという気持ちがあります」と石浦。これまで意識することがなかった、日本一が視野に入ってきた。

また、メカニックの縄田氏は「今シーズン怪我なく終われたことが、まずは大きな収穫でしょう。チャンピオンを獲れる人は、ケガをしないですからね。そのへんのセンスを兼ね備えていると、信じています。

それと、シリーズ通してランキング5番というのは、本当によかったと思う。ホンダ車のなかでも、IA2でNo.1です。トップサテライトチームとして、評価してもらいたいところですね。シーズン途中から、この辺については意識しはじめていました。これからの伸びしろもあると思いますし、ハグルマがかみ合えば、もっともっと伸びることができると思っています」と語る。

来季のことは、まだ決まっていない。でも、すでにチームは前進に向けて気持ちをアップしている。2020年のGOSHI Racigにも、大いに期待しよう。