「チャンピオン獲得」のために下した選択

ランキングトップの渡辺は2位鈴木と大きなアドバンテージを築いている。この広島で1位を取れば王座への道筋はほぼ決まるのだが、結果は2位。

渡辺にとっては、執拗にトップを狙うことは得策ではない。
「ポイント的にこの広島を1位か2位取ればチャンピオンも現実味が帯びてくる事はわかっていました。それに、健二さんは過去2戦分のポイントが無く、チャンピオンにはなれませんし、そういう考えもあって今回は健二さんに1位の座を譲りました。健二さんだから1位を譲りましたが、それが他の人であればそんな事はせず、確実に僕が1位を取りにいってましたね。」とコメント。積年のライバルながら、実家は隣どうしという距離の近さ、世界でも類を見ない最高のライバル関係が、1位を譲った形。

「前戦の神立では新型YZ450FXでしたが、今回の広島でのマシンはあえて去年1年乗り込んだ20年モデルのYZ450Fをチョイスしました。前回のレースが終わってから、新型のセッティングを煮詰める事が難しかったので、乗り馴染んだマシンで勝ちに行こうと思ったからです。次の鈴蘭はどのマシンで出るからまだ決めていませんが、作り込み次第で決めようと思います」と、マシンについてもコメントを残した。

「世代交代は本気で狙っている。30歳までに」追い上げる若手の力

1位鈴木健二、2位渡辺学、そして3位に入ったのが馬場大貴。レース前日には、「前回の神立はハイスピードで実質モトクロスの様なレースだったので熱田さんに負けてしまいましたが、今回負けたら焦りますね。」とやはり熱田をマークしていると教えてくれた。

イメージ通り、相当に追い込んだレース展開をモノにできた馬場。
「スタートから狙い通りに出れたのですが、すぐに健二さん、学さんに追い抜かれてしまいそこからは3番手を走ってましたが、途中で2位まで追いつきました。そのままついて行きこっちからスパートをかけて逃げ切ろうと考えたんですけど、学さん達のペースに後半になってからついていけ無かったのが悔しいです。

健二さんと学さんは長い時間をかけて今の地位まで上り詰めているので、僕はその二人に早く追いつきたいです。そのためにもJNCCだけでなくハード系にも出ています。前回も3位で、今回もずっと3位の位置を走っていたので、2位に入ることができれば若手もここまで追いついたんだぞ、とアピールするチャンスでした。でも世代交代は本気で狙っています。期限は30歳になる前に。」と、息は荒い。YoutubeのDBちゃんねるも好評、世間の注目も集める中堅だ。