今、ハードエンデューロというジャンルはかつてないほど陽の目を見ていると言ってもいいだろう。クロスカントリーやオンタイムエンデューロのウラで、コアなファンに支えられ脈々と続いてきたハードエンデューロが、CGCやクロスミッションといった、若者の心を捉えたイベントの台頭により、表舞台に出てきた、と言ってもいいかも知れない。その影響は、頂点にある全日本ハードエンデューロ選手権「G-NET」にも及んでいる。今この時代に、絶対王者ロッシから、チャンピオンの座が移ったことは、日本中で着々と育ちつつある20〜30代の若手ライダーたちの時代が始まることを予感させるものだった。

驚異の難易度5、日野最強の「壁」に挑む

そして二周目の最難関第31セクション「壁」ではまずアヤトが7合目まで登ったところを、やはり森が直登に近い形でクリア。大きなアドバンテージを築く。

そしてさらにアヤトが登りきる前にタイスケがアタックし、アヤトの前にマシンをねじ込み、先に抜けていった。

この「壁」は今回用意された35個のセクションの中で唯一、最高難易度の☆5つを冠された。急斜度のヒルクライムなのはもちろんのこと、8合目あたりから土がフカフカになり、最後まで直登するのはかなりの難易度。多くのライダーは7合目まで登ったところで左のわずかなスペースに逃げ、そこで方向転換をしてからキャンバーを伝って右の迂回ラインへと移動するのだが、そのキャンバーは一人ではとても不可能と言える凶悪なもの。ほとんどのライダーがその場に居合わせた同士で助け合い、クリアしていった。

そんな中、上福浦明男は誰のヘルプもないままキャンバーを乗ったまま華麗にクリア。このレースで4位に入った。しかし、開幕戦CGC奈良トラ、第2戦ブラックバレー広島とノーポイントだったため、ランキングは15位でシーズンを終え、なんと黒ゼッケン落ちを喫することに。

ゼッケン5泉谷之則も壁をほぼ直登に近い形でクリアし、大きく順位をあげた。5位に入賞したものの、上福浦と同じく、奈良、広島とポイントなしのためランキング16位という悔しいシーズンに。