優勝は山本。GAS GASでデビューウィンを飾る。

パドックに戻ってきた山本のこの表情。「去年は5位だったし、正直このコースは苦手でした。だから事前練習にたくさん来たし、他にも練習はものすごくしました。今年から乗り換えたGAS GASのEC300も、もう60時間も乗ってるんです。エンデューロバイクにしては比較的高回転形のエンジンなのですが、ビバーク大阪さんでセッティングしてもらって、僕の好きなデロデロな特性にしてもらいました。やっぱり奈良漬が難しかったですね。僕はハマりませんでしたが、1周目からずっとバトるしていた藤原選手やタイスケくんもハマっていたので、4周目には慎重にラインを選んでいたら、ケンジさんに抜かれてしまいました。勝てて本当によかったです」と山本。

レース前に一緒にYOUTUBEのライブ配信で順位予想をするほど仲の良い山本と水上。水上は4位だったが、勝っても負けてもお互いを称え合い、悔しさは胸の奥に秘める。

鈴木は2位。モトクロスのレジェンド・鈴木すら、ハードエンデューロでは無礼講。山本はパドックに戻ってくるなり鈴木の元へいき「健二さーん、もっと努力してくださいよ〜」とニヤニヤ。そんな山本に対し「あれ、アヤトくん。さっき奈良漬でのんびりしてたよね。あと3分あれば4周して僕の勝ちだったんだけどなぁ〜」と鈴木。「でもまぁ、そういうレースですから。勝ちは勝ちですね。次、頑張ってください」と山本。もちろんお互い終始満面の笑顔。山本曰く「このやりとりのために頑張った」というお決まりの恒例儀式だ。

5位に原田。ここまでが3周を記録。G-NET5位は自身ベストリザルト。6位は奈良漬で埋まってバイクが出せなくなるも、3周目に入るのが早かった藤原。

そして足の靭帯負傷からの復帰戦で、まだ完治していない高橋博が7位。「絶対に無理はしない」と言いつつ、吉野川と、その先の大仏ロックでごぼう抜き。さらにその後のツインヒルでも大きく順位をあげ、V6チャンピオンの存在感の大きさをアピールした。ギリギリまでエントリーに迷い、入金が遅れたせいでゼッケン130番の最後尾からのスタートだったが、120台以上を抜いての7位はさすがと言うしかない。

10位に波田、11位に柴田とトライアル組も上位に入ってきた。

また、レース中、ゼッケン102という後方スタートにも関わらず、1周目から上位に食い込む走りをしていて13位というリザルトを残してしまったのがこの方。レース中ずっと気になっていて、いろんな人に「ゼッケン102番て誰だか知ってます?」と聞いていたのだが、誰も知らず。

正体は静岡県からきた三輪さん。パドックで見つけてお話を聞いてみた。「1年くらい前からCGCや日野ハードエンデューロに出始めたサンデーライダーです。特にライセンスも持っていません。今回も特別に乗れている実感はなくて、自分の順位もわからないまま走っていたのですが、13位と聞いて驚きました」とのこと。黒ゼッケンライダーよりも上位に入り、トライアルIASに迫るライダーが野に埋もれているのが、ハードエンデューロの恐ろしいところだ。