6月7日(土)、2025 AMAプロモトクロス選手権第3戦サンダーバレーナショナルがコロラド州レイクウッドのサンダーバレーモトクロスパークで開催されました。

注目ポイント
・標高の高いコース、タフな環境で発揮される下田の強み
・追い上げの展開、下田は総合5位でレースを終える
・スタート出遅れやマシントラブル。それでも粘る強さ

サンダーバレーモトクロスパークは標高が1700mを超える高さで、ライダーとマシン双方にとって厳しい戦いが予想されました。そんな中、下田はタイムドクオリファイを9番手で通過。第2戦を振り返ると、下田は気温が30度を超える猛暑の中、最後までペースを落とすことなく追い上げた実績があり、今回もそのレース後半での粘り強さに期待がかかりました。

スタート出遅れやマシントラブルを乗り越え総合5位

Moto1、下田はスタートで大幅に出遅れ、20番手以下からの追い上げを強いられます。レース序盤で15番手あたりまで挽回すると、その後さらにポジションを上げて10位に。荒れる路面に転倒するライダーが多く、パッシングも難しいコースコンディションでしたが、下田は着実に追い上げる強さを見せ、結果は9位でフィニッシュを果たしました。

一方トップ争いを見ると、チャンス・ハイマスがスタート直後からレースを完全に支配し、リードを確立。開幕戦から連勝を重ねていたヘイデン・ディーガンは、序盤のミスで順位を落とし、さらにバイクがオーバーヒートするという思わぬトラブルに見舞われましたが、2番手をキープします。結果、ハイマスが優勝を獲得。2位ディーガン、3位ガレット・マーチバンクスという順位でゴールを果たし、ハイマスが今季初優勝を飾りました。

続くMoto2では、ハイマスが再びホールショットを奪い、ディーガンがそれに続く形でトップ2を形成。下田は4番手あたりにつけてレースを進めます。下田はその後、前走者をパスして3位に浮上しますが、後方から急速に差を縮めてきたリーバイ・キッチンに迫られます。両者によるサイドバイサイドの激しいバトルが繰り広げられる中、ここで下田のマシンから煙が上がり始めます。それでも表彰台圏内を守ろうとアタックを抑え続ける下田をキッチンが残り2周というところでパスして3位の座を獲得。1位ハイマス、2位ディーガン、3位キッチン、そして4位に下田が入りレースを終えました。総合順位は1位からハイマス、ディーガン、キッチン。下田は総合5位となりました。

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450クラスはジェット・ローレンスが2ヒートともに制して完全勝利を飾り、開幕戦からの勢いをさらに加速させました。Moto1では兄であるハンター・ローレンスや、アーロン・プレシンガーとの接戦も繰り広げられましたが、ジェットがトップを守り切り優勝。Moto2でもジェットがスタートで出遅れながらも冷静に順位を上げ、ジャスティン・クーパーやイーライ・トマックを攻略して独走状態へ。そのままトップチェッカーを受け、圧倒的な強さを示しました。今回のリザルトによりジェットはポイントランキング2位のトマックに対し25点のリードを築き、チャンピオンシップをリードしています。

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追い上げとマシントラブル、試練が重なる中での粘り強さ

前戦のハングタウンでは、下田は気温30度を超える猛暑という過酷なコンディションの中、両ヒートともに安定した追い上げを見せ、2-2位で総合2位という成績を収めました。スタートで出遅れながらも、レース後半にかけてペースを落とすことなく、冷静なライン取りと体力でライバルを攻略していく粘り強さは、解説陣からも「ディーガンと下田は常にトップ2に安定して入ってくる」と一目置かれるほどでした。

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今回のサンダーバレーではスタートでの出遅れが響いて20番手以降からの追い上げを強いられたり、マシンから煙が吹き出すトラブルが起きたりと、レース後半での「粘り」が求められる展開となりました。それでも9-4位でレースを終え、前回同様粘り強さを発揮して総合5位を獲得しました。

レース後の記者会見では、優勝したハイマスが「(450クラスの)ジェット・ローレンスやハンター・ローレンス、そして今年のジョー(下田丈)がどれほどレースを支配しているかを考えて、正直フラストレーションも感じていた」とコメントしており、チームメイトからも一目置かれる存在であることがわかります。

今大会は下田にとって表彰台を逃す悔しい結果となりましたが、シーズンを通しての安定感と、常にトップ争いに絡む実力は揺るぎません。次戦は6月14日(土)、アメリカのペンシルベニア州にあるハイポイントレースウェイで行われます。今回の経験と課題をどのように克服し、更なる高みを目指すのか。今後の下田丈選手の走りと、激しさを増すタイトル争いから引き続き目が離せません。