ヤマハは2025年9月23日、欧州向けに新型「WR125R(2026年モデル)」を正式に発表しました。小排気量ながら本格的なデュアルパーパス性能を備え、都市の移動からオフロード走行まで幅広い用途に応えるモデルとして投入されます
東京モーターサイクルショー以降、初の続報
2025年東京モーターサイクルショーのヤマハブースに、旧WR155Rのコンセプトバイクが展示されていました。それから半年後、ヤマハは欧州向けに新型WR125Rを発表、旧モデルからフルモデルチェンジを果たすこととなります。これは国内リリースにも期待が持てそうです。
YAMAHA
WR125R
WR125Rは日常の市街地走行と週末のトレイルライドをシームレスに行き来できるよう設計されたモデルで、トルクに富んだ125ccエンジンは、VVA(Variable Valve Actuation)の採用により幅広い回転域で扱いやすい出力特性を発揮します。燃費はWMTCモードで40km/L超と公表され、長距離走行にも対応。デザインはヤマハのオフロードコンペティションモデルにインスパイアされており、直線基調の力強い造形に、デュアルレンズLEDヘッドライトを備えたモダンなフロントフェアリングを組み合わせています。
多機能LCDメーターはスマートフォンと連携でき、ヤマハの無料アプリ「MyRide」を通じて通話・メッセージ通知の表示、走行データの保存・SNS共有などが可能です。日常での利便性と冒険志向の双方を支える装備となっています。
新型WR125Rは水冷SOHC 4バルブ単気筒を搭載し、最高出力は11kW/10,000rpm、最大トルクは11Nm/6,500rpmを発揮します。VVAは吸気カムプロフィールを自動で切り替え、低中速ではトルクフルで扱いやすく、高回転では力強い伸びを実現。燃料供給はFI(フューエルインジェクション)で、応答性も高められています。
排出ガス対策として、二基の触媒、O₂センサー、蒸発ガス抑制システムを搭載し、EU5+規制に準拠。環境面の要請に応えるとともに、街乗りからトレイルまで安心して利用できる仕様となっています。
フレームにはセミダブルクレードルを採用し、41mm径のKYB正立フォークとリンク式モノクロスショックを組み合わせています。フロント21インチとリア18インチの組み合わせはヤマハのアドベンチャーモデル共通の仕様で、悪路走破性を重視。ダンロップD605タイヤはオンロード・オフロード両方に対応するデュアルパーパス設計です。
シートは高さ875mmに設定され、フラットかつスリムでライダーの動きを妨げない形状。立ち乗り・座り姿勢の切り替えもスムーズで、幅広いライディングポジションに対応しています。また、ワイドステップを装備して不整地でのコントロール性も高めています。ブレーキは前後ディスクで、フロントにシングルチャンネルABSを装備し、安心感を提供します。
「Icon Blue(アイコンブルー)」と「Yamaha Black(ヤマハブラック)」の2色展開で、発売時期および価格の詳細は2025年内に各国ヤマハディストリビューターから発表予定とされています。
旧型WR125Rとの比較
旧型WR125R(2009〜2017年欧州モデル)は、最高出力15PS/8,750rpm、最大トルク12.2Nm/8,000rpmを発揮し、シート高は930mmに設定されていました。本格的なデュアルパーパスとして評価されていた一方、足つき性や扱いやすさの面ではビギナーにとってやや敷居が高いものでした。
これに対して新型では、出力数値こそ大きく変わりませんが、トルクピークを6,500rpmに下げることで低中速域の扱いやすさを改善。シート高も875mmに抑えられ、幅広いライダーが安心して乗れる仕様となりました。また、VVAやLEDヘッドライト、スマホ連携機能、多機能LCDメーターなど最新装備を備え、EU5+規制対応による環境性能も大きな改良点です。
10月末にはジャパンモビリティーショー(旧東京モーターショー)が控えており、この場で国内向けも発表……となったら嬉しいですね。
SPECIFICATIONS
エンジン形式 | 4ストローク・水冷・SOHC・4バルブ・単気筒 |
排気量 | 125 cc |
ボア×ストローク | 52.0 × 58.7 mm |
圧縮比 | 11.2 : 1 |
潤滑方式 | ウェットサンプ |
クラッチ形式 | 湿式・多板 |
点火方式 | TCI |
始動方式 | セルスターター |
変速機 | 常時噛合式・6速 |
最終伝達方式 | チェーン |
燃料供給方式 | 電子燃料噴射(FI) |
最高出力 | 10.7 kW(14.5 PS)/ 10,000 rpm |
最大トルク | 11.3 Nm(1.2 kgf-m)/ 6,500 rpm |
燃費性能 | 2.3 L/100 km(WMTCモード) |
CO2排出量 | 55 g/km |
フレーム形式 | セミダブルクレードル |
フロントサスペンション | 倒立テレスコピックフォーク(41mm径) |
フロントトラベル量 | 215 mm |
リアサスペンション | リンク式モノクロス・スイングアーム |
リアトラベル量 | 187 mm |
フロントブレーキ | 油圧式シングルディスク・267 mm |
リアブレーキ | 油圧式シングルディスク・220 mm |
フロントタイヤ | 2.75-21 45P チューブタイプ |
リアタイヤ | 4.10-18 59P チューブタイプ |
キャスター角 | 28°20′ |
トレール | 117 mm |
全長 | 2,160 mm |
全幅 | 840 mm |
全高 | 1,195 mm |
シート高 | 875 mm |
ホイールベース | 1,430 mm |
最低地上高 | 240 mm |
車両重量(装備重量) | 138 kg(フル装備重量) |
燃料タンク容量 | 8.1 L |
オイル容量 | 1.1 L |
メーターパネル | LCD |
ナビゲーション機能 | 非搭載 |
スマートフォン接続 | MyRide 対応 |