D.I.D 全日本モトクロス選手権IA2クラスを2024年・2025年と連覇し、2026年シーズンは活躍の舞台をオーストラリアに移した中島漱也。3月21〜22日に開幕したオーストラリア選手権「Penrite ProMX Championship(ProMX)」の第1戦Wonthaggi(ウォンサッギ)と第2戦のCanberra(キャンベラ)、シリーズ序盤の2戦を戦い終えた中島選手に現地での率直な手応えと課題を聞いた
中島がオーストラリアに渡って約1ヶ月。拠点としているのはクイーンズランド州ブリスベンだ。参戦しているのは、オーストラリア選手権「Penrite ProMX Championship(ProMX)」のMX2クラス。チームはMonster Energy Yamalube Yamaha Racingに所属している。現地ではチームメイトであるノア・ファーガソンと同じ環境で練習を重ね、メカニックの伊藤氏とともに日々を過ごしているという。
「オーストラリアはモトクロス天国みたいな国ですね。コースもめちゃくちゃ多いし、海沿いなんですけど暑くないし、夜も暖かい。季節としてはこれから冬になっていくんですけど、今は本当に過ごしやすいです」(中島)
開幕戦 ウォンサッギ:「これ以上攻めたらこける……」コンディションに苦戦し総合15位
開幕戦の舞台となったWonthaggi(ウォンサッギ)は、テクニカルなサンドコース。MX1クラスではジェッド・ビートン(ヤマハ)が両ヒート優勝、MX2クラスはアレックス・ラーウッドが両ヒートを20秒以上の大差で制し、シリーズの主役たちが幕開けを華々しく飾った。一方、中島はヒート1を16位、ヒート2で15位、総合15位という結果で終えた。開幕戦について中島に話を聞くと、決して満足のいく結果ではなかったという。
「開幕戦は、正直楽しくなかったですね。この路面を上手く乗れたら楽しいんだろうな、と思いながら走っていました。路面がめちゃくちゃ荒れていて、深いレールと大きなギャップが延々と続くようなコースで、走り方が分からなくなりました」(中島)
ヒート1を振り返ると、スタート後10番手付近で1コーナーに入ったものの、徐々に後退。その原因について中島はレースにおけるペース配分の違いを実感したという。
「オーストラリアのライダーはレース前半のペースが速くて、前もってその情報は聞いていたんですけど、そのペースについていけなかった。路面に気を遣って、攻めにくいコンディションの中でミスないように走ろうという意識が強くなってしまいました。でも、現地のトップライダーはレース前半で仕掛けてくる。自分は攻めたいけど、攻めたら絶対これコケるなっていうスピード域に入ってしまって、攻めきれませんでした。前半だけで10台くらいに抜かれて、20番手くらいまで落ちました」
一方、ヒート2はスタートで出遅れたものの、オープニングラップで一気にプッシュして10番手付近まで挽回。だがレース後半になるにつれ、さらに荒れていく路面に苦しめられた。
「日本だと良いラインを見つけてチョイスして、走りながらリズムを掴んでいくタイプなんですけど、コースは端から端まで荒れていて、探しても良いラインがなくて……、全然リズムが掴めませんでした。ヒート1でそれは理解したので、ヒート2では気持ちを切り替えて『綺麗なところはないから、荒れているところでうまくリズムを作っていこう』と思って挑んだのですが、大きなギャップとレールに足を取られてしまって、対応しきれずに終わってしまいました」
第2戦 キャンベラ:「中身は進歩している」ライディングを"1から"再構築
第1戦から約1ヶ月後、4月19日に首都キャンベラ(フェアバーン・パーク)にて第2戦が行われた。コースはハードパック寄りの路面ながら、レース後半には深いレールが至るところに刻まれた。MX1クラスではビートンが連勝、MX2ではケイド・キングスフォードが1-2の安定した結果でシリーズ初優勝を飾り、今シーズンの勢力図が見えてきた。
中島自身のリザルトは、ヒート1が最終ラップの転倒で順位を落とし15位、ヒート2は12位フィニッシュ。総合順位は開幕戦と大きく変わらない位置に留まったが、本人の手応えはまったく違っていた。
「順位は良くなかったし、総合順位を見ても開幕と同じくらいなんですけど、走り自体は進歩できていると思える内容でした」
成長を感じられたきっかけになったのが、第1戦終了後からの取り組みだ。中島はチームの紹介で新しいトレーナーの元へ通うようになったといい、チームメイトのノア・ファーガソンと同じプログラムに入り、毎週一緒に練習を重ねている。
「トレーナーから指摘されたのは、これまでの自分のライディングフォームでした。ネイションズの時(モトクロスの国別対抗戦「モトクロス・オブ・ネイションズ(MXoN)」に2025年日本代表として参戦)もそうだったんですけど、荒れた路面に対応する技術が身についていないライディングなんですよね。
日本人特有なのかわからないですが、タイトかつハードパックなコースで育っているから、小さい動きでマシンを抑えられるしなんとかなっちゃうのですが、オーストラリアは路面が柔らかいし、日本とは比にならないほど荒れていて、バイクの挙動が日本で走るよりも大きいんです。そこで、大きく動くバイクを抑える乗り方ができていなかった。そこが自分の限界になっていたんです。
なので、まずはライディングフォームを1から見直しています。まだスピードはついてこないかもしれないけど、この先に結果を残すために、一歩ずつ取り組んでいます」(中島)
現地ではトレーナーがプライベートトラックを貸し切り、トップライダーと並走できる環境が整っており「今までで一番バイクに向き合っている」と中島は言う。
「自分に何が足りていなくて、オーストラリアのトップライダーと何が違うのかを明確に指摘してもらえる。ノアと毎週一緒に走っているから、違いを見ながら吸収できる。日本にいた頃には、なかなかなかった環境です」(中島)
これを踏まえると、第2戦のレース展開もその変化の途上にあると言える。
「両ヒートともスタートは10番手くらいで出れたんですけど、やっぱり周りの前半のペースが速くて、前半10分は順位を落としていって、後半10分でまた追い上げていく、という展開になりました。ヒート1は最終ラップに転倒して順位を落として、ヒート2は12位で終わりました。もちろん結果を残したいですが、まずは順位のことはあまり気にせず、成長することに集中しています。自分が上位を狙えるライディングになれば、結果が付いてくると思っているので、まずはテクニックを身につけることに集中しています」
なお、マシンについて話を聞くと、乗っているのは現地仕様のヤマハ YZ250F。日本のマシンとはスペックも環境も異なる。
「マシンスペックについて、感覚的には、全日本で乗っていたバイクとネイションズ(MXoN)で乗ったStar Racing Yamahaのバイクの間くらいのイメージです。レーシングガスが使えるのは大きいですね。サスペンションは日本のセッティングからかなり変えていて、どんどん柔らかくなっています。日本はコースがタイトなのでストップ&ゴー(急停止・急加速)の動きが多いため硬めにセッティングしていましたが、オーストラリアは広々としたレイアウトの中でスピードに乗せながら荒れた路面を走るので、なるべく柔らかくてギャップを吸収してくれるサスじゃないと走れないんです」(中島)
次戦に向けて
第3戦は5月10日、南オーストラリア州のギルマンで開催される。
「第3戦もタイムアタックを上げることや前半のスピードに耐えることなど、課題をどれだけクリアできるかだと思っています」(中島)
順位ではなく、自身の成長を追い求めるシーズン序盤。第3戦での走りにも注目だ。
2026 Penrite ProMX Championship MX2 リザルト(中島漱也)
- R1 Wonthaggi(3/21-22):ヒート1 16位/ヒート2 15位/総合15位
- R2 Canberra(4/19):ヒート1 15位/ヒート2 12位/総合15位
情報・参考リンク
- 第1戦レース映像
2026 ProMX Motocross Championship Australia - Round 1, Wonthaggi - MX2, MX3 - Moto1 & Moto2
youtu.be- 第2戦レース映像
2026 ProMX Motocross Championship Australia - Round 2, Canberra - MX1, Moto1 & Moto2
youtu.be- 事前情報記事(off1.jp)
- オーストラリア選手権公式HP
ProMX - ProMX
auspromx.com.au