ドゥカティがMY27のオフロードラインアップに「Desmo250 MX」を追加しました。Desmo450 MXに続くドゥカティ2機種目のモトクロッサーで、4スト250クラスでは唯一のデスモドロミックを引っさげて登場します。装備重量は103kg(燃料を除く)、レブリミットは15,000rpm。開発はイタリアン・プレスティージMX2選手権で実戦投入したアレッサンドロ・ルピーノが担当しています
パニガーレV4 Rと同じボア×ストローク、レブリミット15,000rpm
エンジンは249.7ccの水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒、お家芸のデスモドロミック動弁系。ボア×ストロークは81mm×48.4mmで、これはドゥカティのフラッグシップスーパースポーツ「パニガーレV4 R」と同寸法です。最新のレーシングエンジン設計手法を、250cc単気筒のモトクロッサーにそのまま下ろしてきた格好になります。4ストローク250ccモトクロッサーのボアは77mmが多数派で、そこからどこまでショートストローク化するかがメーカーによって異なりますが、このドゥカティの設計はKTM系列とボアを同径としており、他メーカーに比べて超ショートストロークエンジンと言えます。
圧縮比は14.5対1、最高出力44.5ps/12,500rpm、最大トルク28.3Nm/8,800rpm。レブリミットはクラスベンチマークとなる15,000rpmを公式にうたい、デスモドロミック機構ならではのバルブ加速性を活かして、従来式より高いリフト量とアグレッシブなカムプロファイルを成立させています。
吸気バルブはチタン製34mm、排気バルブはスチール製27.5mm。ロッカーアームはDLCコーティング、ピストンピンもDLCコーティング、ピストン本体は「box-in-box」のダブルスパー設計でフリクション低減を狙っています。チェーンテンショナーは油圧式、クランクシャフトは複合構造、コンロッドは一体式。エンジン乾燥重量は24.7kgです。
吸気はKEIHIN製インジェクター+ミクニ製44mm径スロットルボディの組み合わせ。エアフィルターはTwin-Air製、排気はスチール/アルミニウム製の新設計でレゾネーター付き、FIM 2025規制(排気騒音109dB+2dB許容)にも適合しています。
トランスミッションは250 MX専用設計の5速で、Quick Shift(アップのみ)を標準装備。クラッチは油圧制御式多板で、ダイヤフラム型スプリング+フリクションディスク7板(Desmo450 MXは8板)の組み合わせ。ギアドラムはアルミ製で慣性を抑え、最終減速はDID 520チェーン+フロントZ13/リアZ51(RK製アルミニウム)。
Desmo450 MX譲りのアルミフレーム、車両装備重量103kg
フレームはDesmo450 MX用に開発したアルミニウム製ツインスパーをDesmo250 MX専用エンジンマウントで仕立て直したものです。鋳造、鍛造、押出整形パーツを溶接した複合構造で、剛性が必要な部位には自硬化合金を用いる、いわゆるレース直系の作り方です。
総部品点数はわずか10点(一般的なライバルは20点超え)。フロントセクションは1ピース鋳造でステアリングヘッドから上部ショックマウントまでをまとめており、フレーム単体重量は8.96kg。車両装備重量(燃料を除く)は103kgまで詰められています。
スイングアームはアルミ鋳造、リアショックは進化型プログレッシブリンクでセンターマウント。シート高970mm、ホイールベース1,499mm、キャスター26.9度、トレール116mm、燃料タンク容量7.2L、というディメンションになっています。
フロントサスペンションについてはSHOWA製49mm倒立フォーク、アウターチューブにカシマコーティング、ストローク310mm、33mmオフセットのアウターレッグ、エンドキャップはブラックアノダイズ仕上げ。クローズドカートリッジ式で、外部アジャスターで圧側・伸び側減衰を独立調整できます。
リアはSHOWA製モノショックで、ステム径16mm、ストローク129mm、ホイールトラベル301mm。スプリングプリロード、圧側減衰(高速・低速独立)、伸び側減衰、すべて調整可能。減衰特性はDesmo250 MX専用に煮詰められており、ブレーキング・コーナリング時の荷重移動を最小化する方向で振られています。
トリプルクランプは鍛造アルミニウム製のうえに機械加工を施し、剛性対重量比をぎりぎりまで詰めた仕様です。
DTCは3段階介入、Engine Brake Controlは2段階、ローンチコントロールは3段階
電子制御はDesmo450 MXのパッケージを250用に最適化して継承しています。標準で2 Power Modesと2 Riding Modes、ローンチコントロール(3段階)、Engine Brake Control(2段階)、Quick Shift、Ducati Fall Detectionを装備。アクセサリーのDucati Com-Link Wi-Fiモジュールを追加すると、X-Linkアプリ経由でRiding Modesの介入レベルをカスタマイズしてECUに書き込めるようになります。
電子制御の中核となるのがDucati Traction Control(DTC)です。Ducatiが特許出願中の方式で、エンジン回転数、選択ギア、スロットル開度、追加センサーの情報を元に、点火タイミングと進角を制御。Ducatiの説明によれば、現状このセグメントに存在する他社システムとは異なり、Desmo250 MXのDTCはリアホイールの実スリップ量に基づいてパワー削減量を算出する、とされています。MotoGPとSuperbikeで培った制御をモトクロスシーンに持ち込んだ、というのがDucatiのDTCに対する位置づけです。
Ducati公表の比較テストでは、ライダースキルに応じて0.3〜1.6秒(平均約1秒)のラップタイム短縮効果が確認された、と説明されています。介入レベルは3段階で、低いほど自由度が高く、高いほど安定側に振られるロジックです。OFFも可能。あわせて、転倒・横転時のエンジン自動停止もDTCのロジック側で管理されます。
予知保全アルゴリズム、MIDサービス45〜60時間/FULLサービス90〜120時間
メンテナンス間隔は、ドゥカティコルセが開発した予知保全アルゴリズムで動的に算出されます。MID Service(バルブクリアランス点検45時間+ピストン交換)は45〜60時間、FULL Service(エンジンフルオーバーホール)は90〜120時間。X-Linkアプリ上で、実走時のエンジンストレス指数に応じてインターバルが更新されていく仕掛けです。
オイル&オイルフィルター交換は15時間。通常保証はドゥカティ標準の3か月またはエンジン稼働時間20時間のいずれか早い方となっています。
| 項目 | 内容 |
| モデルイヤー | MY27 |
| エンジン形式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒(デスモドロミック)、油圧テンショナー、セミドライサンプ |
| 排気量 | 249.7 cc |
| ボア×ストローク | 81.0 × 48.4 mm |
| 圧縮比 | 14.5対1 |
| 最高出力 | 32.7 kW(44.5 ps)/12,500 rpm |
| 最大トルク | 28.3 Nm(2.9 kgm)/8,800 rpm |
| レブリミット | 15,000 rpm |
| 燃料供給 | KEIHIN製インジェクター+ミクニ製44 mmスロットルボディ |
| エンジン乾燥重量 | 24.7 kg |
| トランスミッション | 5速/Quick Shift(アップのみ)標準 |
| クラッチ | 油圧式多板(7板、皿ばね) |
| フレーム | アルミ溶接ペリメター(10部品、フレーム単体8.96 kg) |
| フロントサス | ショーワ製49 mm倒立/ストローク310 mm/フルアジャスタブル/カシマコーティング |
| リアサス | ショーワ製モノショック/ストローク129 mm、ホイールトラベル301 mm/フルアジャスタブル |
| ブレーキ | Brembo製(前2ピストン浮動/後1ピストン浮動)、Galferディスク(前260 mm/後240 mm) |
| ホイール | Takasago EXCEL+Alpinaスポーク(前1.60×21/後2.15×19) |
| タイヤ | フロント80/100-21/リア100/90-19 |
| 燃料タンク | 7.2 L |
| シート高 | 970 mm |
| ホイールベース | 1,499 mm |
| キャスター/トレール | 26.9度/116 mm |
| 装備重量(燃料抜き) | 103 kg |
| 電子制御 | 2 Power Modes、2 Riding Modes、DTC(3段階)、Launch Control(3段階)、Engine Brake Control(2段階)、Quick Shift、Ducati Fall Detection、X-Linkアプリ連携(Com-Link Wi-Fiモジュール装着時) |
| メンテナンス | オイル&フィルター15時間、MID Service 45〜60時間、FULL Service 90〜120時間 |
| カラー | Ducati Red |
| 開発参加 | アレッサンドロ・ルピーノ(Italian Prestige MX2選手権) |
DUCATI
Desmo250 MX