TKOの苦さが再び、スピードに勝るKNCCライダー

30名弱で争われた台湾ハードエンデューロは、冗談交じりに「極東ハードエンデューロ王決定戦」と言われた。日本の高橋博や、韓国、上海、香港、そして台湾からトップライダーが集まったからだ。

舞台となった亀山という地域は、千葉県にあった凸凹ランドのような土地だ。山ではなく、台地といったらいいのだろうか。マウンテンコースではあるのだけれど、高さはあまりない。台地の縁をうまく使って上り下りのセクションを作っている。さらに凸凹ランドっぽいのはその土質。濡れるととんでもなくツルツルになって、普通に走ることすら困難だ。硬質で粘土質。さらに、台湾は湿度も高いから、はっきりいって「常にツルツル」なんである。

そんな路面もあいまって、下見をする高橋からすると「かなり難しい」とのコメントが聞けた。ヒルクライムも難しく、雨の予報も出ていたから、高橋は前日にタイヤをIRC VE-33sゲコタへ換装。ix-09wゲコタでは、グリップの悪い土の路面に対応できないと踏んだのだった。

スタートは、中国語でルマン式。数字の発音がわからない高橋がフライングしてしまって動揺、結果的にスタートダッシュが決まらないという暗雲立ちこめるレースの立ち上がり。おおよそ7番手ほどで最初のヒルクライムへ到達したのだろうか。高橋は振り返って言う。「タイヤの選択ミスでした。雨が降ったことでコースはだいぶ変更されていて、土の路面から丸い玉石の続くコースになっていました。岩や石は、圧倒的に09wゲコタが有利なんですよ…」と。1本目のヒルクライムで、すでにこのタイヤ選択ミスが裏目にでていることがわかり、これをクリアしたのはトップから30分以上おくれてからのことだった。疲労した高橋の顔が見える。10番手くらいだっただろうか。いや、高橋は「もっと後ろでしたよ、何人に抜かれたか覚えていない」と言う。

高橋が2年連続で参戦したアメリカのハードED「TKO」では、セクションの走破力よりもセクション間のスピードが問題になった。まるでクロスカントリーのようなスピードに、慣れていない高橋らはついていけなかったのだった。