実は、今年のISDE(インターナショナル・シックスデイズ・エンデューロ)参戦はこれまでと大きく違う意味を持っている。目標をシングルフィニッシュに掲げているほど、トロフィーチームのライダーの平均レベルが高いことも一つの理由だが、トロフィーチームとクラブチームが一緒に参戦計画をたて、「チーム・ジャパン」としてのサポート体制がこれまでになく充実している点に注目したい。

KTMのレンタルサービス&ピット。これはこれでとても優秀なシステムだ

メーカー主導のレンタルとサービスパッケージは、経験豊富なスタッフによるもので確実さは経験者なら誰でも知るところだ。だが、イタリアチームならマンマのパスタが食べられてエスプレッソが出てきたら頑張れるように、日本ならおむすびが出てくればパワー漲る。こういうところは、特にタフなシックスデイズだと地味に効いてくる。そして日本で戦ってるという一体感が、ライダーを鼓舞するのだ。

総勢25名以上で構成されるチーム・ジャパン

今年のISDEに日本から参戦するチームは3チーム。ご存知、釘村忠、渡辺学、前橋孝洋、馬場大貴で構成されるトロフィーチームの他に、クラブチームが2チーム参戦する。そしてその3チームを一つにまとめ「チーム・ジャパン」として一つのパドックを構成。現地までの物資の持ち込みや給油などのサポート、宿泊や食事などすべての面を一本化する。

その「チーム・ジャパン」をまとめ、総監督を担うのが寺嶋和広氏。1996年に初開催されたインターナショナル・ツーデイズ・エンデューロ(現在の日高ツーデイズエンデューロ)のチャンピオンであり、ライダーとしても監督としてもISDEの出場経験がある。

「他の国のチームと同じようにしっかりとしたサポート体制を作りたいと常々考えていました。トロフィーチームとクラブチームが一つの「チーム・ジャパン」としてまとまり、それをサポートするのもみんな日本人。他の国ではそれが当たり前にできているんです。

クラブチームはトロフィーチームに比べて実力では劣っているかも知れませんが、ほとんどのメンバーが過去にISDEを経験しています。今年のトロフィーチームでISDEの経験者は前橋選手だけですから、トロフィーチームがクラブチームから得られることはたくさんあると思います。また逆に「チーム・ジャパン」として一緒に練習することでクラブチームのメンバーはトロフィーチームから良い影響を受けることができます。

例えばタイヤだけでも今回ライダー10人×6日分で95本手配していますし、ガソリン缶は40個を想定しています。これだけでも各チームがバラバラに動いていたらものすごい負担になってしまいますし、ノウハウも蓄積されていきません。

僕はエンデューロはチーム戦だと思っているんです。ライダーがライダーとして全力を出し切れるように、全力でサポートしたいと思っています。今回の取り組みが成功すれば、やっと日本も他の国と同じスタート位置に立つことができます。こういったサポートチームがあることで、日本人がもっとISDEに出やすくなると思うし、そうなって欲しいと願っています」