エンデューロバイクの中でも特に扱いやすいエンジン特性を持つフルサイズマシンとして多くのライダーに愛されるBETAのX-Trainer250/300。初心者から上級者まで幅広くカバーするモデルだが、そのコンセプト上どうしても純正サスペンションはローコストな設定になっている。ところが、そんなX-Trainerを大幅にアップデートしてくれるサスペンションキットが、テクニクスから発売しているのだ。

純正とどう違うの? TRIC FUNキット

テクニクスにて、実際にX-Trainerに使われているTRIC FUNキットの中身と、純正フロントフォークの中身を比較して解説していただいた。

まずは、ダンピングアジャスターの増設だ。写真は、車体に取り付けるとフロントフォークの下側になる部分。右側が純正で、左側がTRIC。TRICにはマイナスドライバーで調整可能なアジャスターが追加されているのがわかる。

続けて、トップキャップ。左のシルバーが純正で、右2つのブラックがTRIC。純正では片側にリバウンド、片側にプリロードのアジャスターがついているのは同様だ。

こちらはTRICに組み込まれているテクニクス製のスプリング。スプリングレートこそ純正と同じだが、長さが少し短くなっているという。その理由をテクニクスの土田さんが解説してくれた。

「ノーマルのスプリングは最初から少しプリロードがかかった状態で組み込まれていて、初期の張り感を緩和したかったので、少し短いのに変えました。純正でもプリロードアジャスターで調整はできるのですが、プリロードを増やすことはできても抜くことはできないんです。このバイクに乗る人はモトクロスをやるわけではないと思いますので、元から少しプリロードがかかっているところにさらにプリロードをかけることはなかなかしないと思うんですよね。スペーサーの枚数を増やせば純正と同じようにプリロードをかけた状態にもできます」

こちらはサスペンションの動きを決める上で一番重要なダンピング特性を司どる部分。左が純正で、右がTRICだ。純正はとてもシンプルな機構で、力がかかるとスプリングでスペーサーが押され、開閉するというもの。対してTRICは積層シムが組み込まれており、かかる力に応じて開く量が変化する。

「オイルロックピースは似たようなものがついています」と土田さんは言うが、見るとサイズが全然違う。左が純正、右がTRICだが、これにはどのような意味があるのだろうか。

「TRICの方がボトムの手前からじんわり効くようになっています。純正はフィーリングというより、どちらかと言うと機械的に壊れないように防止するための機構なんです。なので、ここに到達した途端に急に効いてしまい、底付き感が強いと思います」とのこと。