Enduro GPに挑戦するエンデューロIAライダーGAMMyこと大神智樹の連載企画最終回。イタリアGP参戦結果の報告と今後の目標について、イタリアにいる大神から送られてきたレポートをお届けする

こんにちは、エンデューロIAライダーのGAMMyこと大神智樹です! 今年のEnduro GPへの挑戦連載は、今回で最終回となります。結果はすでにSNSなどでご存知の方も多いと思いますが、DAY1が12位、DAY2 DNFとなります。ここではレースの詳細や、僕の今後の目標についてお伝えしたいと思います。

Day0 リスクとの戦い、スーパーテスト

今回、僕が参戦したEnduro GP第3戦イタリアGPは、金曜日にプロローグとしてスーパーテストが、そして続く土曜、日曜には4つのテストを含んだ1周66kmのコースを1日に3周するレースが行われました。1周に約2時間半かかり、オンタイム形式なのでタイムチェックの待機時間こそありますが、1日約7時間半走る計算になります。Day1は金曜日のプロローグと12個のテストのタイムの合計、Day2は12個のテストの合計タイムで順位が決まります。

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Enduro GPのクラス分けですが、トップカテゴリーはマシンの排気量によってE1〜E3の3クラスに分かれます(この他にジュニアやユース、シニアなど他のクラスもあります)。E1は2ストローク4ストロークともに250cc以下。E2は4ストローク255cc〜450ccまで。E3は2ストローク255cc以上、4ストローク455cc以上で、僕はBETA RR2T300なのでE3クラスになります。

今年で3回目のチャレンジとなりますが、今回は前後サスペンション、ハンドル、ステム、グリップ、レバーを持ち込んだことで、過去2回に比べてとても短い時間でマシンにフィットでき、今までで一番良い状態でスタートできたと思います。

まずは金曜日に行われたプロローグ(スーパーテストのデュアルレーン)ですが、マシンをレンタルしたチームのボスからは

「ここでプッシュすることも大切だけど、怪我やマシントラブルは絶対に避けろ。明日に向けてマネジメントすることを忘れるな」

と指示があり、落ち着いて取り組みました。

スーパーテストの様子はこちらで見ることができます。見ての通り、丸太、タイヤ、ヒューム菅がたくさんあるグラストラックでのタイムアタックです。本番はあくまで土日のためアドバイスに則り、セクションではプッシュしすぎず、無難にクリアしています。

リザルトは1分54秒98、E1、E2、E3の総合順位で35位/37台。E3クラス12位/12台。トップタイムは1分38秒台なので16秒落ち……。

僕自身、ガレも飛び切れる気がするし、丸太ももう少し攻められると思います。ですが、本番レースを翌日に控えたこの場面でそれを実行するには、もっと精度を高める必要があります。日本のエンデューロライダーの中ではエクストリーム系を得意とする僕ですが、スムーズにこなすだけでは世界には通用しないのだと、改めて感じました。

Day1 ついにEnduroGP完走、そしてポイント獲得

目標は「完走」、そして「全部のテストでビリは取らない」こと。

まずルートは完全にハードエンデューロでした。オフロードパーク白井のようなロック、ガレセクションや、池の平をもっとキツくしたイメージです。前半よりも後半の方が難しくなり、スムーズに走れるところはほとんどありませんでした。さらに日本とは異なり、コーステープが完全に張られておらず、マーカーのみで指示されるところが多いため、見落とさないように周りをよく見て走らなければいけませんでした。

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テストについては1周目は全てE3クラス12位(最下位)、総合では最後のテストだけ36位(ブービー)。その後もスーパーテストとクロステストでは何度か最下位を避けることができました。まだプッシュできる感覚はありますが、ジャンプなどの精度を上げていき、経験値を蓄えてからでないとリスクが大きいと判断しました。

また、テストの中で一番難しかったのはエンデューロテストでした。ワンミスが大きなタイムロスや怪我につながるテストで、最後まで良いイメージを掴むことができませんでした。ここは今後の大きな課題の一つと言えると思います。

後半のルートが本当にきつくて、暑さと疲労で意識が朦朧とする中、プレフィニッシュの4分前にゴールしました。

何よりもノーペナルティで完走し、しっかりリザルトを残すことができたのが一番の収穫です。E3クラス12位/12台、総合35位/37台(2台はDNF)。

終わってみれば両膝ガクガク、腕はパンパン、頭もガンガン。Day1にして、これ。イタリアGPはただひたすらタフでした。

Day2 スタミナの限界で熱中症、無念のDNF

Day2の朝。軽い脱水症状と右手親指に違和感、左肘、両膝関節に疼痛、お尻の痛み。しかしDay1と同じ7時間半のレースが僕を待っています。

朝食を食べるのがやっと、という感じでスタートラインに立ちました。

結果はDNF。1周目の前半から吐き気を催し、後半にはめまい、吐き気、手足の痺れもあり、途中何度か休憩を取り回復を試みましたが、走りに集中できず、転倒や滑落の危険を感じ、リタイヤを決意しました。完全に熱中症の症状ですね……。

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課題と次の目標、そして御礼!

今後の課題をまとめると、精度とスピード、そして8耐を2日間走り切るスタミナを身につけること。現在日本にはこのような練習ができる環境は多くありませんが、それをいかに日本で練習するか、工夫次第でもっとできるのではないか、というところだと思います。

今回、僕にとって最も大きな目標であった「アジア人・日本人が世界エンデューロ選手権にリザルトを残す」ことはDay1にて達成できました。4ポイントを獲得し、ポイントランキングにも掲載されました。これまで日本でEnduro GPを完走しているライダーは2009年の太田真成選手と2010年の小池田猛選手だけで、僕が3人目となります。

しかしこれではまだ、ようやく海外のライダーたちと同じ土俵の上に立てただけだと思っています。組み合ってもらえてすらいません。今よりもスタミナ、スピード、テクニックを身につけ、両日完走し、そしてテストタイムで闘いたい。

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僕はまだ全日本エンデューロ選手権で年間チャンピオンはおろか、IAクラスの優勝経験すらありません。しかし、誰かがワールドスタンダードを知っておかなければ、日本人はいつまでたっても「井の中の蛙」です。釘村選手がISDEでゴールドメダルを獲っていますが、Enduro GPにはISDEとはまったく違った厳しさがあります。

そのため、僕のEnduro GPへの挑戦は、まだまだ続きます。これは僕以外の挑戦者が増えてくるまで辞めるつもりはありません。

最後になりましたが、この度のEnduro GP イタリア大会への参戦にあたり、皆様から多くのご支援を賜り、誠にありがとうございました!

初めてのイタリアGP参戦時に、日本人である僕に声をかけてくれたイタリアの青年が、なんと今回のマシンをレンタルしたチームのメカニックをしていて、感動の再会。アウェイで戦う僕にとって、本当に大きな心の支えになりました。

そして今回の旅をずっと一緒に過ごしているトライアル世界選手権に出場中の小川毅士選手にも感謝!