腐りまくったSR500をレストアして林道へいこうという大長編連載。早くも前回フレームに大穴が見つかったので見ないことにしてエンジンをバラシはじめた僕

気楽にいこうぜ、だってSRだもん

前回から「SRは中古パーツのタマが多いから、パーツが腐っていても大丈夫!」と白目で念仏をとなえ続けている僕。その最たるものがエンジンだ。500はタマが少ないが、400はめちゃくちゃタマがある。そして実はSRの場合400と500はボアではなくストロークで排気量の差を生み出している。400のシリンダーは500に使っても500ccなのだ。SRにおいて大事なのはクランクである。これはSRマニアの入り口知識といっていいだろう。

だからSRのレストアはわりと気楽にいけるのだ。塩漬けになったエンジンでいかにボルトが抜けなくとも、どんどんボルトの頭を落としていけばいい。

はい、いってみましょー。

上から順にバラそうと思ってタペットカバーを開けたらタペットカバーが割れたの図。ハハハ、こんなものはいつでも手に入るから大丈夫だ。

補機類を外して……

あらゆるボルトにラスペネをかけまくって神に祈る。

シリンダーヘッドカバーをとめているヘキサゴンボルトはあっという間になめたので、あっという間に頭を落とした。ヘッドカバーも削っちゃったんで、ヘッドカバーよ、さようなら〜。

思った通りエンジンの中身はキレイ。こういうもんだよねぇ。エンジンは外側をブラストかけてきれいにして、正確に組めばOK! できるかどうかはあとで考える。

カムチェーンテンショナーを抜いて……


カムを抜き取る。あとは2ストロークとおんなじだぜ旦那!

クランクが生きているかどうか。それが問題である

先述したとおりSR500はクランクがめっちゃ大事だ。もっと言うと実は初期型がもてはやされるのにはまだ理由がある。初期型のクランクだけが「重クランク」と呼ばれ、以降の500クランクよりも700gほど(も!)重いのである。重いクランクだからよりドコドコとした500っぽさが味わえるということで、この重クランクにはこれまた高い価値がついている。状態がよければこれも10万円は下らないだろう。たぶん、僕がネットオークションで戦った相手には「このクランク、塩漬けになっていないかな? 生きてれば10万円くらいで落として分解して売ろう」という人が多くいたに違いない。

とりあえずヘッド部分を取り払ったのでクランクも抵抗なく回るようになったはずだ。満を持してフライホイルカバーを開けてみよう。ここからクランクを回せば、ある程度の状態がわかる。

ガッッッッデム! なんじゃこりゃ……何が溶けたらこうなるんすか? ここが塩のようなものでまみれてるってことは……ここまで水が浸かっていた(かもしれない)証拠! クランクは終わっているのか!!!!! もうフレームもエンジンも残らないじゃないか! レストアじゃなくなっちまう!

くるくるまわったよおかあさん(ここに笑顔マーク入れたい)! フライホイール経由でクランクをまわしてみたところ、ゴロゴロ感もない。ついでに言うとごろっとエンジンを倒してしまったときにでてきたオイルがめっちゃキレイで水の混入はゼロっぽい。やったぜ。まじでやったぜ。これだけで500を買った意味があった。そう思おう。そう思わないと、やってられん。

というわけで気を取り直してシリンダーを外しにかかった。が、これはなんですか? ナットだったもの…? かな?

どうやらシリンダーをとめているナットをもぎっちまったらしい。

ここに見えるのがシリンダーナットだったもの。アルミなので腐食してしまっていて、もうナットではなくなっているのだった。4本あるけど3本もぎとれてしまった。ここは捨てる選択をしよう。シリンダーはSR400と共通だから、グラインダーでフィンの間からナットとスタッドボルトを切断していけばいい。ちなみにこのナットにグラインダーがあたっている間は火花がでなかった。なぜならそれはアルミ「だった」ものだから。腐食してしまうと火花は散らずにさくさくとバラけるのである。

で、叩いたりなんか変な工具つかったりしてシリンダーをはずそうと試みるわけだが、全然外れない……。外れないので、これも時間が解決してくれることを神に祈って今日はおひらきにする。

一晩あけてこれを書いている時に重クランクについて調べていたら、どうやら初期型はシリンダーに498ccと書いてあって、以降の表記498cm3とは違うらしい。どれどれ。

おお、まごうことなき初期型だ。あ、シリンダーは捨てるって言ったけどあれなしにしたい。なしの方向で。

……。