史上初のオートバイによる北極点・南極点到達、チョモランマ(エベレスト)世界最高高度6005m達成、パリ・ダカールラリー二輪部門へ日本人として初めて挑戦、などなど……。これまで数々の挑戦を成し遂げてきた風間深志氏が、実は本人にとってこれが初めてという日本一周ツーリングに出発。連載Vol.6をお届けします!

石巻市で素敵なトークショーを終えた翌日、僕が主催するツーリングラリーイベント「奥能登SUPPORT GAMES」等の準備のため、山梨県の自宅に戻ることに。あまり時間に余裕がないので500kmほどを一気に走って帰る算段だったのだが、なんと朝から本降りの雨。高速道路を一気走りして家に戻るのはただでさえモチベーションが上がらないというのに……。重い腰を上げて朝10時にスタートし、東北道から外環道、中央道と走りつないで16時に自宅に到着。結局、自宅に着くまで一度も雨は止まず、さすがにBMW R1250GSでもクタクタに疲れてしまった。まあとにかくこれで日本一周パート1、「北海道・東北 9日間3600km」の旅は無事に終了したのだった。

それからひと月後の11月中旬、僕は日本一周パート2「本州・四国・九州編」への旅をスタートさせた。山梨の自宅からまず向かったのは越谷にあるバイクショップ「原サイクル」。R1250GSのオイル交換と12ヶ月点検をしてもらうためだ。2時間ほどで作業が終わり、再び走り出すと時刻はもう14時を回っていた。今日はここから120km先の銚子まで行く予定だというのに、またしても時間がない。常磐道を北東へ進み、途中で筑波山の姿が見えると旅気分がにわかに盛り上がったが、銚子港に到着したのは日がとっぷり暮れた17時直前。おまけに冷たい強風が吹き荒れており、一転して言いようもない寂しさが込み上げてくる。

ま、旅というのはそういうものなのかもしれない。寂しさがあるからこそ賑わいが嬉しく、辛いことがあるからこそ格別の感動が味わえる。そして出会いと別れを目まぐるしく繰り返す。

あれも旅、これも旅――。予測のできない展開に気分がエレベーターのように激しく上下し、複雑な心の動きを経て成長することこそ旅の真骨頂なのだ。

その夜、僕はほとんど酒が飲めない体質にも関わらず地元の居酒屋に入り、ビールと銚子産アオリイカの刺身で慣れない一人旅の夜を過ごしたのだった。

 

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石巻から山梨県まで、雨中の500km一気走りのスタート。なかなか苦しいシチュエーションだが、これもまた旅、である。

日本一周を中断し、僕が主催する「奥能登SUPPORT GAMES」のため石川県珠洲市へ。まさかその数ヶ月後に再び大きな地震が起こるとは思ってもみなかった。

「原サイクル」にて愛車の5000km点検を行ってから旅の第2章がスタート。

こちらは原サイクルの原 豪志 社長。いつも親切にしてくれるのでとてもありがたい。

あともう少しで銚子に到着するというところだが、すでに日が暮れようとしていた。とたんに寒くなってきたので表情も険しい。

銚子のホテルに宿泊し、朝はクロワッサンとコーヒーで優雅な朝食。昨日の寂しさとは裏腹に朗らかな朝だ。