史上初のオートバイによる北極点・南極点到達、チョモランマ(エベレスト)世界最高高度6005m達成など、数々の伝説を打ち立ててきた風間深志氏が、今回向かうのはモンゴルの大草原。第4回は、ノマド文化と現代文明について考える

協力:バイク王&カンパニー
主催:Green Field Dream Mongolia
Text: 風間深志

目次
第0回 プロローグ:大地への感謝に木を植え、安全を確保し、冒険へ
第1回 大草原へ:オーバー70、再び旅が始まる
植林から始まる旅。バイクに跨がり、モンゴルの大草原へ。130kmの初日
第2回 道のなき地球の大地を行く
360度の草原、丘、川、ゲル。250kmを走りながら見えてきた「道」と「自由」
第3回 朝の陽光を浴び、、牛を助けた?
ヘレルン川の朝。専属メカニック、チョイさん。旅の小さな出来事から「自然と関わって生きる」を考える
第4回 遊牧民は、未来への道標なんだ!
カラマツの森、お花畑、世界一と思える風景。「自然を守る」とは何なのか。ノマド文化と現代文明について
第5回 自然の中に再び会えた我が「青春」
最終日の75km。全630kmを走り終えて。事故なく帰ること、仲間、年齢、そして「冒険の真のゴールは日常」へ

第4回 遊牧民は、未来への道標だ

空と大地の狭間を走る

モンゴルの全人口は、およそ350万人。そのうち、今でも多くの人々が遊牧民として暮らしている。今回の旅で、僕はあらためて思った。この人たちの暮らしを、単に「昔ながらの生活」と呼んでしまってはならない。これは、人類の未来にとって極めて大切な「生き方の記憶」なのではないか。

こんな草原の風景は地球に残された最後の楽園?ではないだろうか

僕らの文明は、あまりにも自然から離れてしまった。食べ物は店に行けばある。水は水道の蛇口をひねれば出る。寒ければ暖房、暑ければ冷房をつける……。夜になっても、街はまるで昼間のように明るい。正直に言って「便利」である。僕自身、その恩恵を最大限に受けて生きている。

しかしながら、便利になればなるほど、「生きる」という行為の根っこが見えなくなってはいないだろうか。僕は昔、サハラ(ダカール・ラリー)を旅して、水も食料も乏しい状況下になったことがある。

そのとき身をもって知った事、それは、人間にとって一番大事なのは「空気」、次が「水」、そして「食べ物」ということだ。

肉あり、麺あり、ジャガイモあり。キャンプではこんな豪華なご飯が毎日だった

当たり前すぎて、普段は誰も考えない。だが文明がどれほど発達しても、人間は空気なしでは数分も生きていられない。水なしでも生きられない。食べ物だって、元をたどればみんな大地からやって来たものなのだ。

僕らの身体は、自然そのものと繋がることによって存在し、生きている。モンゴルの遊牧民は、それを毎日の暮らしの中で良く知っている。

空を見る。
雲を見る。
風を読む。
草の状態を知る。
家畜の様子を見る。
季節が変われば移動する。

自然を自分たちの都合に合わせるのではなく、自分たちが自然の変化に合わせて生きていく。僕には、その姿が「古い」どころか、むしろ「未来的」に見える。

現代文明が限界を見せ始めている今だからこそ、ノマド(遊牧民)文化は人類の未来への「光」であり、「道標」なのではないだろうか?

ちゃんと整備してあれば 、AGだってちゃんと走る事ができる

僕らは普段「自然保護」という言葉をよく使う。だが、自然は人間に「守ってもらう」ほどの小さな存在なのだろうか?いやいや自然の方が、圧倒的に大きい。

怖い。美しい。優しい。そして時に、容赦がない。

だから僕は「保護」という言葉だけではなく、自然に対しては「畏敬」の念が必要だと思う。自然を畏れ、敬う。その上で共に生きる。それこそが、本当の「共生社会」なのだと思う。

どこをどう走っても、本当に気持ちのいいモンゴルの大草原

バイクでモンゴルの大地を走る。ただただ楽しい。それで十分なのかもしれない。しかし、その楽しさの向こう側で、

「この景色をなくしてはいけない」

という思いが、近年、僕には強くなって来ている。75歳の僕がまだ走る理由も、まさにそこにある。

いつも日本ではカブしか乗ってない!と言っていた宝達さん、三日目くらいからAGをビシバシ乗っていました

バイク王メカニック・チョイさんのモンゴルツアー整備日記

今回のトータル630kmのオフロードのツーリングを終えて感じたこと

バトスフ・チョイジャムツさん

結果的に、事故や大きなトラブルもなく無事にツーリングを終えることができました。最終日には皆さんと一緒にレストランで食事をしながら、皆さんの満面の笑顔と楽しい会話に触れ、今回、バイクの不具合によって皆さんの大切な時間を無駄にすることなく、ツーリングの全行程を無事に終えられたことを心から嬉しく思い、感謝をしました。今回のツーリングを通し、整備士として足りなかったこれまでの経験や知識、技術、見落としてきた部分にも気づくことができました。今回のこの貴重な経験を生かし、不足の部分を一つずつ改善し、安全で信頼されるより頼られる立派な整備士を目指していこうと思っています。

朝はちゃんと整備されたマシンが、ズラッと並んでライダーを待っていてくれる

かなり込み入った整備でもメカニックのチョイさんが丁寧にやってくれるからもう安心です