7月12日(土)、2025 AMAプロモトクロス選手権第7戦がミネソタ州にあるスプリングクリークMXパークで開催されました。
注目ポイント
・ディーガンvs.下田、抜きつ抜かれつの攻防戦を繰り広げる
・リアブレーキ無し。思わぬトラブルをも乗り超え下田は総合3位
・Moto1のトップ争いで下田が見せた実力

前大会で両ヒート優勝を果たした下田丈。今大会での活躍にも期待が高まる中、タイムドクオリファイは10位で通過。トップのヘイデン・ディーガンとのベストラップタイムを比較するとその差は約1秒ほどと僅差で、トップ10台のラップタイムもほとんど差がないという結果となりました。決勝ではスタートで前に出て、いかにレースをリードしていくかが重要となりました。
また、今大会の会場となるスプリングクリークMXパークは、250クラスに参戦するジェレミー・マーティンのホームコースです。マーティンはタイムドクオリファイを3位で通過しています。さらに、彼にとっては今回がキャリア最後のレースということで、決勝での活躍に注目が集まりました。
ゴール直前まで攻め続ける、下田とディーガンのトップ争い

Moto1(ヒート1)ではジェレミー・マーティンがスタートで前に出てレースをリード。2番手にセス・ハマカーがつき、下田は1周目で3番手につけます。レース開始5分が経つというところで、ヘイデン・ディーガンが下田に迫ると、そのまま勢いに乗って3番手に浮上します。ディーガンはその後マーティンをかわして2番手に上がり、さらにレース中盤にハマカーが転倒したことにより、トップへとポジションを上げます。一方下田はハマカーの転倒により再び3番手に上がると、2番手のマーティンに迫り、レース時間残り11分というところでパス。この時点で先頭のディーガンとの差は約3秒と僅差で、ディーガンを上回るラップタイムで距離を縮めていきます。そしてレース時間残り5分、下田はディーガンをかわしてトップに浮上。その差を一時広げますが、ディーガンも負けじと食らいつき、残り3分というところで再びトップが入れ替わります。下田は最終ラップまで果敢に攻めますが、惜しくも2位でフィニッシュ。1位ディーガン、2位下田、3位マーティンという順位でレースを終えました。
続くMoto2(ヒート2)でもマーティンがホールショットを獲得。しかし下田も好スタートを決めて2番手でマーティンを追いかけます。下田はマーティンとの差を徐々に詰めて、レース開始6分が過ぎた頃にトップに浮上。レースをリードしますが、リアブレーキにトラブルが起きコースアウトしてしまいます。すぐに復帰し2番手から追い上げを図りますが、後方から迫るディーガンとミッケル・ハールプが下田をかわします。リアブレーキが使えない状態で走る下田ですが、巧みにバイクをコントロールしながら最後まで走り切りフィニッシュ。最終的に4位でチェッカーを受けました。1位はマーティン、2位ディーガン、3位ハールプという順位でゴール。
総合順位は1位ディーガン、2位マーティン、3位下田。下田はマシントラブルに見舞われながらも走り切り、ポイントランキングではトップのディーガンに大きく離されることなく45ポイント差で2位につけています。また、今大会で引退を発表しているマーティンの活躍も著しく、自身のキャリア最後のレースとして有終の美を飾りました。
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450クラスはローレンス兄弟によるトップ争いが白熱。Moto1ではジェット・ローレンスがホールショットを決めるも、レース中に転倒。この隙にハンター・ローレンスがリードを奪い、そのままトップでチェッカーを受けました。ジェットは着実に順位を上げ、最終的に2位でフィニッシュ。3位にはチェイス・セクストンが入賞しました。一方Moto2では、再びローレンス兄弟がスタートで前に出てトップ争いを展開。ジェットがレースをリードする中、ハンターも離されることなく最後までジェットにプレッシャーをかけ続けました。僅差でレースが進みますが、ジェットが終盤に距離を広げて優勝を獲得。ジェットが2-1、ハンターが1-2という結果で、総合優勝はジェットの手に渡りました。なお、チェイス・セクストンが両ヒートで3位となり、総合でも3位を獲得しました。
なお、前戦からドゥカティの新型マシン「Desmo450 MX」でスポット参戦をし注目を集めているアントニオ・カイローリは、Moto1が23位、Moto2が10位という結果でレースを終えています。インタビューでは「マシンは悪くない。5位入賞を狙えるポテンシャルは十分にある」と話しており、同マシンの今後の活躍に期待です。
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youtu.beディーガンとのバトルで下田が見せた速さ

第6戦までのレースを振り返ると、ディーガンと下田はクラスの中でも群を抜く速さを見せており、クラス内で一目置かれる存在となっています。しかし、ディーガンと下田が僅差でトップ争いをするという展開はあまりなく、今回のMoto1での接戦には多くの注目が集まりました。
Moto1での2人のベストラップタイムを見るとディーガンが1:56.713、下田が1:57.504で、ディーガンが僅かに速いのですが、ラップタイムの安定性を見ると、ディーガンが98.700%なのに対して、下田は99.343%で、より走りに安定感があることがわかります。今回はディーガンが逃げ切る形となりましたが、下田の最終周のラップタイムはディーガンを2秒上回っており、全体的な安定感と最後まで攻め続ける下田の粘り強さが発揮されたレースとなりました。また、下田はスタートの安定性も高くなっており、前回に引き続き、今大会も両ヒートともに好スタートを決めて1周目でトップ3に入っています。スタートとラップタイムの安定性は今後のトップ争いにおいても大きな強みとなるでしょう。
次戦は7月19日(土)、アメリカのワシントン州にあるワシューガルMXパークにて行われます。