トライアルでは、昨今クラッチをチューニングすることが常識になりつつあるそうです。クラッチをチューニングって、一体どういうことなのか…。トライアルのトップライダーも御用達のクラッチショップ、工房きたむらにて、セロー225を題材にその極められし秘技を取材してきました。これを読み終わる頃にはクラッチチューニングしたくてウズウズしていることを約束します。

レバーの揺れって気にしたことありますか?

レバーの揺れとは、ボルトで固定されているのに上下にガタガタ揺れてしまうことを指します。自分のバイクのレバーで試してみてください。意外とガタガタになってるかもしれませんよ。

 
※今回の解説で使用しているものはセローのものではありません。

レバー 揺れ

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動画のように揺れてしまう要因はレバーを固定しているボルトにあるんです。

純正 ボルト径5.85mm

きたむら工房製 ボルト径5.95mm

純正のボルトは穴に対して若干細いため、中でボルトが動いてしいます。しかし、きたむら工房製の方は0.1mm大きくなっている分、クリアランスが小さくなり揺れが抑えられるのです。レバーが揺れないってことは常に同じポジションにあるので、指を急にかけた際も確実に指でホールドできますね。

指一本操作に集中するため、北村さんはレバーを曲げ、削るのであった

手の小さい方や女性の方はレバーに指をかけた際にしっかり指をかけることができずに苦労した人も多いのではないでしょうか。指がかかっても力がうまく込められないために豆ができるなんてこともありますよね。そのようなユーザー向けに握りやすく、指に優しいレバー加工をきたむらさんでは扱っています。

人差指で握った時に中指に当たってしまうことがあります。だからといってレバーの位置を遠くすると指が届かなかったり、更に力が必要になります。それを回避するためにきたむらではレバーの曲げ加工を施しています。「黒い方が無加工のレバーですが、人差し指で握った時に中指に当たってしまいます。そうすると最後のひと押しが握れないために切りきれなくなりますね」

「レバーが曲がっているおかげで中指に当たりません。レバーのポジションは変えずに角度だけを変えるのでクラッチミートポイントもいつもどおりですよ」この曲げ角度も絶妙な塩梅に調整されているので、握りにくいなんて事もありません。

まずはこのレバーの角。物によってはロゴが掘ってあったり、エッジが効いていて滑りにくいようになっていますが、それが邪魔になってしまいます。きたむらではそこを削ってなめらかな表面に仕上げています。