後半戦に入っているダカールラリーは、ここまでホンダ勢3名とHeroのロス・ブランチのあわせて4名がトップグループを形成。じわじわとKTM勢が追い上げる展開が続いている

ケビン・ベナビデス、執念のステージウィン

ダカールラリーの後半は、チームのフォーメーションが大事なポイントだ。総合順位上位にどれだけ多くのライダーを送り込めるかが肝要となってくる。先頭のライダーはナビゲーションを強いられるため好タイムも期待できず、ステージごとの順位も作戦をうまく立てる必要がある。以前、Team HRCの本田太一マネージャーに勝利するために必要なアドバンテージがどれほどかを聞いた時は「後続に対しおおよそ30分ほど余裕があれば、だいぶ勝ち目がある」と話してくれた。

画像1: ケビン・ベナビデス、執念のステージウィン
画像2: ケビン・ベナビデス、執念のステージウィン

ステージ8は458kmのスペシャルステージと発表されていたが、蓋をあけてみると前半100kmほどデューンを走ったらタイム計測をストップして舗装路で移動し、後半100kmほどガレのスペシャルステージが始まるというややこしい日だった。全行程は678kmとライダーたちの体力を奪うのに十分な距離であった。

画像: ルチアーノ・ベナビデス

ルチアーノ・ベナビデス

前半が終わった時点では、KTMのトビー・プライス、ケビン・ベナビデスがともにトップから27分差をつけられ5-6位。KTM陣営からすれば、相当に苦しい展開だと言えるだろう。差が広がるほどに、ステージ順位を調整して次の日にスパートをかけられる後続からスタートする、という作戦を使いづらくなる。現在のプライス、ケビンにできることはなるべく上の順位を積み重ねてその27分の差を詰めていくことだ。ステージ7ではケビンが24分39秒差までわずかにその差をつめることができたが、ステージ3位でスパートをかけられない位置であった。ところがこのステージ8では堂々のステージ優勝を遂げ、さらにトップのリッキー・ブラベックとの差を20分31秒まで詰めることができた。最終ステージは175kmと比較的短いため、実質残り3ステージでこの20分31秒を近いところまでもっていければ勝負ができそうだ。次のステージ9ではケビンがナビゲーションで道を切り拓く必要があるが、ボーナスタイムを活かしきることでスパートをかけてくるブラベックらを振り切ることができるかもしれない。2番スタートには兄弟のルチアーノ・ベナビデス(Husqvarna)が控えており、協調体制を作ってナビを確実なものにしてくることだろう。ケビンは「弟と1−2を飾れたことがとても嬉しいよ。これは明日はオープナーになることを意味しているんだけど、きっとうまくいくはずだ。いつものように全力を尽くす」とコメント。弟のルチアーノも「兄弟でダカールの1−2を獲れたのは初めて。故郷のアルゼンチンにとっても特別な日になった」と話している。

画像3: ケビン・ベナビデス、執念のステージウィン

対してKTM勢の追撃を振り切りたいTeam HRCは、現在トップのブラベックがステージ8を7位で終えている。昨日、ブラベックはスパートをかけられるステージを探している、とコメントしていたが早速ステージ9でその時を迎えることになった。エイドリアン・ファンビバレン、ホセ・コルネホがステージ3/4位で前方スタートのため、ある程度彼らにナビを頼ることもできそうだ。ブラベックは「明日はブランチと離れたスタートになることは避けたかったので、このステージではブランチとチェイスする必要があった。給油ポイントでブランチとの差を確認しながら走っていたが、自分の方が少しリードしてることも把握していたよ」と対ブランチ戦を確実なものにしていく。

ホンダ勢と激しいデッドヒートを繰り広げているインドのHeroロス・ブランチは、総合2位でブラベックとの差はわずか42秒。ステージ7で1秒差だから、458kmも走ったあとで41秒しか変わらなかったことになるが、これは前述しているとおりブラベックの作戦通り。ブランチもステージ8位で、ブラベック同様スパートをかけられるスタート順。ステージ9は、ブラベック VS ブランチが見える範囲で展開される、勝負の山場になるはずだ。「全体的には上手くステージをこなすことができた。ステージ9に向けて良い位置にいるし、バイクの調子も良く、チームも最善を尽くしている。明日が楽しみだ!」とブランチ。

画像4: ケビン・ベナビデス、執念のステージウィン

ステージ順位

画像5: ケビン・ベナビデス、執念のステージウィン

総合順位

画像6: ケビン・ベナビデス、執念のステージウィン

池町佳生さらに順位をアップ

日本の池町佳生はステージ順位70位だが、総合順位は60位までジャンプアップ。リザルトでは50位台でのフィニッシュが見えてきた。

画像1: 池町佳生さらに順位をアップ

「まわりを見渡してみてもかなり疲れてきているので、リタイアが増えてきたんでしょう(編注:リザルト上、ここまでに27名のライダーがリタイア)。リザルトは気にしていません、とにかく走り切ることにフォーカスしています。僕もだいぶ疲れが溜まってきていますね。特に関節がしんどいかな。若いころと違って修復されないですよね。同じく50代の仲間達も、みんな辛そうな顔をしていますよ。

コースは前半は難しめのデューン、後半はガレが出てきてテクニカルだったな。僕らはエアバッグを背負って走っているんだけど、今日もちょっとした転倒で開いちゃったんだよ。このエアバッグ、結構弱い衝撃で開いてしまってすでに5回くらい開いちゃってる。開いちゃうことで危険はないんだけど、締め付けられて一瞬苦しいんだよ。ガスは1本5000円くらいで、開く度にああ5000円が……って思いながら走ってますね(笑)。プライスなんかジャンプの着地で開いちゃったらしいからね」と身体に余裕はなくなってきているものの、ダカールならではのエピソードを話すだけの心の余裕がある模様。

画像2: 池町佳生さらに順位をアップ
画像3: 池町佳生さらに順位をアップ
画像4: 池町佳生さらに順位をアップ

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