下田丈、追い上げから2位に入る安定感を示す。AMAプロモトクロス第2戦ハングタウン

5月31日（土）、アメリカのカリフォルニア州にあるハングタウンにてAMAプロモトクロス選手権第2戦が開催されました。

注目ポイント
・気温30度超え、過酷なコンディションに耐える体力が問われる
・下田丈「ライディングもバイクも調子が良い」。今回も2-2フィニッシュで安定感を示す
・レース後半にかけて追い上げる力

気温30度超えの猛暑、下田はタイムドクオリファイを12位通過

5月31日、AMAプロモトクロス選手権第2戦が開催されました。当日は気温が30度を超える猛暑。決勝レースは30分+2周ということで、スタートからフィニッシュまで暑さに耐えて走り切る体力やペース配分が重要となりました。

タイムドクオリファイを下田は総合12位で通過。トップのヘイデン・ディーガンとは12秒ほどベストラップに差がありました。この結果だけ見ると調子の悪さを疑いますが、開幕戦を振り返るとタイムドクオリファイで9位、決勝で好スタートを決め両ヒートともに2位を獲得しており、予選の結果が全てではないことがわかります。

下田丈、安定した追い上げで両ヒート2位フィニッシュ

Moto1（決勝ヒート1）、下田はスタートで少し出遅れ7番手あたりから追い上げる展開となりました。レース序盤でトップと5秒ほど差が開くも、レース時間7分を経過するあたりで5番手に浮上。さらに10分過ぎには早くもトップ3の集団に近づき、レース中盤には前を走るハイマスをパスします。さらに2番手のケイシー・コクランに迫り攻防戦を繰り広ると、ラインをブロックして巧みにポジションを守ろうとするコクランの一瞬の隙をついて冷静に抜き去ります。その後、トップのディーガンを追いかけますが、2位フィニッシュとなり、3位にはリーバイ・キッチンが入賞を果たしました。Moto1後のインタビューでは「暑くてタフなレースだったが、ライディングもマシンも調子が良くてうまく乗れていると感じる」とコメント。ペースを落とすことなく追い上げる走りには安定感が見られます。

続くMoto2（決勝ヒート2）、下田はスタート後5番手あたりから追い上げます。レース序盤での順位変動はなく、トップとの差は約4秒。大きく離されることなくレースを進めていきます。Moto1と同じように、レース中盤から後半にかけて徐々に順位を上げる展開。下田はランス・コブッシュをかわして4番手に上がると、さらに前を走るコクランをロックオン。冷静なラインどりでスピードに乗り3番手に浮上します。勢いに乗った下田は2位のキッチンにも迫り一気にパス。結果、1位ディーガン、2位下田、3位キッチンでレースを終えました。

なお、450クラスは、Moto1でイーライ・トマックが優勝を獲得。スムーズかつ力強い走りでトップを快走し会場を沸かせました。なお、トマックはMoto2では後退して9位でゴール。体力面やフィジカルの復調にはまだ波がありそうですが、その存在感を示したレースとなりました。総合優勝はTeam Honda HRC Progressiveのジェット・ローレンス。Moto1ではスタートで出遅れ3位に終わったものの、Moto2はスタートからリードし独走状態でフィニッシュ。レース後、「今日の最大の敵は暑さだった。Moto2ではスタートを決めて最初の数周で引き離す計画で、それが実現できたレースだった」と振り返り、Moto1での反省をMoto2でしっかり生かし結果に繋げる対応力が光りました。

後半にかけての粘り強さ、下田とディーガンの差

今回、下田はスタートで5〜7番手あたりにつける展開でしたが、30分+2周という時間の中で焦らず冷静に追い上げていき、両ヒートともに2位を獲得。その走りは落ち着いていて、相手のタイミングをうかがい隙をつく冷静な判断力が光りました。また、猛暑の中で体力が問われるレースでしたが、後半にかけて追い上げる粘り強さは目を見張るものがあり、解説が「ディーガンと下田はトップ2に安定して入ってくる」とコメントするなど一目置かれる存在感を示しました。

また、Moto2後のインタビューで下田は「ディーガンとの差は感じている。正直彼の方がペースが速いし、もし彼を追い越せたとしても、彼もペースを上げてくると思う。フィジカルも本当に強い。ただ、僕が今改善できるのはこの2つだから、次戦に向けてさらに練習に取り組んでいくよ」と語り、今のポジションに満足することなく、確実に課題を認識して成長を目指す姿勢を示しました。下田は現時点でポイントランキング2位につけ、首位のディーガンとは12ポイント差ということで、まだまだ可能性は十分。今後のタイトル争いにも目が離せません。

次戦は6月7日（土）、コロラド州にあるサンダーバレーモトクロスパークで開催されます。