7月5日(土)、2025 AMAプロモトクロス選手権第6戦がミシガン州にあるレッドバッドで開催されました。
注目ポイント
・両ヒートともに抜群のスタート、1-1で完全勝利を収める
・後半の粘り強さが光る、セクション別に見る下田の速さ
・ドゥカティDesmo450 MXが初参戦した450クラス、その結果は
タイムドクオリファイを下田丈は4位で通過。ベストラップタイムを見ると、トップのライダー・ディフランチェスコと2位のヘイデン・ディーガンが2分8秒台だったのに対して、下田は2分10秒台とその差は2秒ほどで、決勝でのトップ争いに期待が高まりました。
今季初のホールショット、後半の粘り強さで両ヒート優勝を獲得

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x.comMoto1(ヒート1)、下田はスタートで抜群の反応を見せ、今季初のホールショットを獲得。同じく好スタートを決めたトム・ビアルが1周目でトップに浮上し、下田は2番手でビアルを追いかける展開となります。一方、ポイントリーダーのディーガンはスタートで出遅れたことにより10番手以降からの追い上げを強いられます。ビアルがレースをリードする中、下田は離されることなく5秒差をキープ。さらにレース時間が15分をすぎる頃には3秒、19分をすぎる頃には1秒を切るまでに差を縮め、トップ争いを繰り広げます。下田はラインを変えながらアタックし続け、レース時間が21分を経過した頃にインをついてパス。その勢いのまま後続を引き離し、2位と約7秒差をつけてトップチェッカー。プロモトクロス選手権において今季初優勝を獲得しました。なお、ディーガンは転倒により14位でフィニッシュ。

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x.comMoto2(ヒート2)も下田は好スタートを決め3番手につくと、トップのジャレク・スウォル、2番手のジョードン・スミスを追いかけます。レース序盤でスミスが転倒したことにより下田は2位に浮上。トップのスウォルとの差は1秒と僅差です。レース時間が10分経過した頃、下田がスウォルに迫りトップの座を獲得。その後、後方から追い上げ2番手に浮上したマイケル・モシマンが一時差を詰めますが、下田は動じることなく徐々に差を広げ、レース時間残り10分にはその差を10秒にまで拡大。単独走行へと持ち込み、そのまま安定した走りで見事両ヒート優勝を飾りました。なお、ディーガンはヒート1と同様スタートで出遅れ追い上げの展開に。序盤で9番手まで追い上げるとその勢いのまま順位を上げ、2位でレースを終えました。総合順位は1位下田、2位スウォル、3位モシマンとなり、ディーガンは5位入賞。ポイントランキングはディーガンが274ポイントで変わらずトップ、下田が2位につけていますが、その差を前戦の58ポイントから38ポイント差に縮めています。
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youtu.be抜群のスタート、後半の粘り強さが勝利の鍵に

今回の下田を見ると、Moto1ではホールショットを獲得、Moto2でもスウォルと僅差でホールショットラインを通過しており、群を抜く反応の良さを見せました。また、ヒート1のラップタイムの変動やセクション別のタイムを見ると、下田はラップタイムの安定性が98.948%と非常に高く、レースを通して安定した速さが光りました。特に、6周目にはセクター5 (S5) で最速タイムとなる14.755秒を記録。S3では26.365秒、S4では24.807秒と、それぞれ2番目および3番目に速いタイムを記録しており、コースの中盤から終盤にかけてのスピードが優れていたことがわかります。
対照的に、ビアルは2周目にクラス内最速のラップタイム2分10.241秒を記録するなど爆発的な速さを見せましたが、6周目あたりからラップタイムが2〜4秒落ちており、安定性は97.871%。レース後半にペースを上げた下田に対し、ビアルはレース後半にペースが落ちていることから、Moto1では下田の後半での粘り強さが勝利を掴む鍵となったと言えます。
一方、Moto2を見ると、下田の平均ラップタイムが2分15秒台であるのに対し、スウォルが2分17秒台、怒涛の追い上げを見せたディーガンが2分16秒台と、下田がクラス内トップの速さを記録しており、他を寄せ付けない速さを示しました。
両ヒートともに実力で勝利を掴み取った下田は、さらに自信をつけて調子を上げてくるでしょう。次戦の活躍にも目が離せません。
ドゥカティが初参戦した450クラス、注目のレースの行方は
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youtu.be450クラスは、Moto1ではホンダ勢のスタートの良さが光り、ハンター・ローレンスがリードを奪うも、ジェット・ローレンスが追い上げ優勝を獲得。ジェット、ハンター、R.J・ハンプシャーという順位でレースを終えています。Moto2はホルへ・プラドがレースをリード。ジェットがスタートで出遅れ追い上げ、さらに序盤でミスをして転倒。一時は18位まで後退する波乱の展開となりました。しかしそこから驚異的な追い上げを見せたジェットは、最終的にトップを走行するジャスティン・クーパーをかわしてMoto2も制覇。2位クーパー、3位にハンターという順位でレースを終えました。
また、このレースにはFIMモトクロス世界選手権(MXGP)で9回チャンピオンを獲得しているレジェンド、アントニオ・カイローリがドゥカティの新型マシン「Desmo450 MX」で参戦。同マシンにとって初のAMAレースということで、レースの行方に注目が集まりました。カイローリはMoto1で好スタートを決め、レース序盤で8番手。一時は12位までポジションを落としますが、9位フィニッシュとなりました。一方、Moto2はスタートで4番手につけトップを追いかける展開。上位争いを繰り広げていましたが、3周目にマシントラブルによりリタイアとなりました。なお、ドゥカティは次戦にも出場するため、引き続きその活躍に注目です。
次戦は7月12日(土)、アメリカのミネソタ州にあるスプリングクリークMXパークにて行われます。