KTMジャパンのライダーサポートプログラムで、チームRG3のZEROがJNCCに参戦。300XCという現在考えられる最強のマシンを操って秋田県田沢湖へ

灼熱の秋田県、田沢湖スキー場はレース開始前からすでに30度を超える猛暑に包まれていた。息苦しいほどの熱気が立ち込める中、目下2025年のJNCCランキングで王者渡辺学とタイトル争いを繰り広げるZEROは、これまでの4スト450ccからKTM 300XCにマシンを変えて参戦した。この第6戦からKTMジャパンによる”KTMライダーサポートプログラム”がはじまり、ZEROを擁するチームRG3に300XCが無償貸与されたことがきっかけだった。日本ではあまり馴染みの無い「XC」シリーズだが、その名が示すとおりクロスカントリー向けに特化されたオフロードバイクだ。エンデュランサーのEXCよりもパワフルで、アクセルのツキがいい。リアサスもEXCのPDSシステムではなく、モトクロッサー同様のリンク式を採用する。

画像1: [PR] 真夏の激闘、田沢湖を駆け抜けたKTM 300XC×ZEROの参戦記
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容赦なく体力を奪う太陽が「死亡事故につながる非常に危険な状態」という警告が出るほど気温を上昇させたため、レース時間は10分短縮、L1(ラストラップ表示)なしという異例の条件下でレースが行われることとなった。しかし、ZEROはそんな逆境をものともせず、スタートからホールショットを獲得、驚異的な出だしを見せる。1周目、ZEROは11分03秒075というトップタイムを叩き出し、暫定首位に躍り出た。前月にGNCCへ派遣され、さらに一皮むけた感がある。しかし、2番手の渡辺学との差は、わずか0.79秒。田沢湖スキー場のコースは一見するとイージーそうに思えたが、実際はライダーに牙を剥く難所が数多く出現した。特に「アニマルクライム」と名付けられた溶岩のようなゴツゴツとした岩盤の急登、そして「溶岩クリーク」と呼ばれる浮き石だらけのテクニカルセクションは、ライダーたちの体力を容赦なく削り取った。一見平坦に見える下りもライダーたちの間では”気が抜けない下り”と形容され、休む間もない7kmのコースはタフそのもの。多くのライダーが途中で脱落していく中、ZEROと渡辺は、サイドバイサイドの激しいバトルを繰り広げた。ZEROは、自身の得意とする木の根やガレ場の登りといったテクニカルセクションで300XCの真価を発揮し、幾度となく渡辺を突き放す。劣勢かと思われた渡辺は序盤で一度ピットイン、この時にガソリンを給油しているのだが実はこれが勝利への布石だったことはまだ誰も知らなかった。

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レース中盤、ドラマが生まれた。「溶岩クリーク」で先行する渡辺が足止めを食らった隙をZEROは見逃さなかった。渡辺を抜き去ると、一気に約19秒ものリードを奪い去ったのだ。ZEROは300XCの登りでの粘り強さとパワーを最大限に引き出し、渡辺のヤマハYZ250FXを置き去りにした。このとき、ZEROは「望むものが全て揃った」と確かな手応えを感じていたという。

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しかし、JNCCのトップ争いは一瞬たりとも気が抜けない。大きく引き離されたはずの渡辺がZEROの給油タイミングで驚異的な追い上げを見せる。渡辺陣営は、ガソリンが持つかどうか入念に計算して、ギリギリの判断を下したのだそうだ。一方のZEROも渡辺に抜かれたタイミングで「学さんのタイヤはもう限界のハズ。アスファルトではよれまくっていて、まっすぐ走っていない」とチャンスも感じていたと言い、延々とテールトゥノーズのバトルが繰り広げられていく。勝負がついたのは、ラスト2周のことだった。アニマルクライムでZEROが周遅れの選手に絡んでしまってスタックしてしまい、離されてしまう。ファイナルラップに突入する時点で、ZEROと渡辺の差はおよそ39秒にまで広がっていた。渡辺は最後の周回は、本人もガソリンが持つかどうかと心臓をバクバクさせたと言うが、見ているギャラリーの間でもガス欠するのではないかと緊張が走った。しかし、結局無事にチェッカーを受ける。ゴール時のガソリンの残量、わずか500mlほどだったと言う。

惜しくも優勝は渡辺に譲ったものの、ZEROが見せたパフォーマンスはまさに圧巻だった。過酷なコンディションの中、最後まで諦めずにライバルと激しい鍔迫り合いを演じ続けたその姿は、多くの観客の心を掴んだ。フィニッシュラインでは両選手が互いの健闘を称え、熱い握手を交わし、真夏の田沢湖を舞台に繰り広げられた壮絶なバトルの結末を感動的に彩った。

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ZERO、レース後の言葉

レースを終え、ZEROはKTM 300XCという新しい相棒、そして自身のパフォーマンスについて、率直な言葉で振り返った。

「今回、300XCの悪いところを見つけてやろうと思ったんですが、見つかりませんでした。むしろ良すぎた、と感じています。ただ、ハンドルのスイッチで切り替えられるアグレッシブマップでは、アグレッシブすぎてフロントが浮き上がりやすく、直線でのマージンは生まれても、低速で複雑なセクションではピーキーな部分がありました。そこで、途中からスタンダードマップに切り替えたところ、全体的にバランスが取れました。ギア選択も試行錯誤しましたが、1速と2速がショートで、3速以降とは減速比が異なるため、2速で回るか3速でいくか、という判断が重要でした。終盤にはそれがだいぶハマって、マシンを乗りこなせた感覚があります。

画像1: ZERO、レース後の言葉

クロスカントリーモデルでクロスカントリーを走るというのは最高でした。とても操作しやすくて体力的にも助けられましたし、正直なところ、あと20分は走りたかったですね。

今回のレースでのミスは、バイクの問題ではなく、すべて僕自身の『実力』によるものです。次の長野大会までにはまだ時間があるので、もう少しバイクに慣れたいと考えています。大がかりなセッティング変更は考えていません。これだけは変えないとまずい、という箇所は全くなく、本当にちょっとした小変更で臨むつもりです。むしろ、これからもっとバイクの特性を深く理解し、まだ使い切れていない能力を、次戦ではもっと引き出せるはずだと確信しています。それが僕自身、とても楽しみです。」

この言葉が示す通り、ZEROの飽くなき探求心と、自身の進化への期待が、JNCCシリーズのタイトル争いを一層熱く、スリリングなものへと変貌させていくに違いない。

画像2: ZERO、レース後の言葉

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