8月9日(土)、インディアナポリス州にあるアイアンマン・レースウェイで、2025 AMAプロモトクロス選手権第9戦とWomen’s Motocross Championship第4戦が開催されました。
注目ポイント
・変更されたコースレイアウト
・下田がホールショット獲得、ディーガンとトップ争いを繰り広げる
・データから見るディーガンと下田との実力差
・本田七海が総合9位獲得、併催されたWomen’s Motocross Championship
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youtu.be今大会の会場であるアイアンマン・レースウェイはアップダウンの激しさが特徴で、「ゴジラ」と呼ばれる上りのビッグジャンプは同コースの中でも有名なセクションです。しかし第9戦に向けてそのレイアウトが変更され、ゴジラジャンプは飛び出しがなだらかになりヒルクライムに近い形に。さらにフィニッシュラインまでのアプローチも変わっており、これまでとはまた違うレース展開が期待されました。
タイムドクオリファイの総合結果を見ると、セス・ハマカーが2分3秒447でトップ通過。2位に2分3秒836でガレット・マーチバンクスが、3位に2分4秒でヘイデン・ディーガンがつき、下田は2分5秒698で10位となりました。
抜群のスタート、ディーガンと繰り広げるトップ争い

Moto1(ヒート1)は下田が抜群の反応を見せホールショットを獲得。2番手との差を開きトップを快走します。一方、その後方ではディーガンが2番手に浮上。この時点での下田との差は5〜6秒という状態でしたが、その後もペースを上げ、レース時間15分が過ぎた頃にはディーガンとの差が7秒にまで開きます。このまま逃げ切るかと思われましたが、ディーガンがコースに乗り慣れてきたこと、また下田のミスもあり、トップ2台の距離が徐々に縮まります。レース時間が残り5分を切った頃、ディーガンは下田を1〜2秒上回るラップタイムで猛追。残り3分を切った時には横並びになり、ディーガンが下田のラインを抑える形でパス。下田も負けじとプッシュしますが、その差は徐々に開いてゴール。1位ディーガン、2位下田、3位トム・ビアルという順位でレースを終えました。

Moto2(ヒート2)ではディーガンがホールショットを獲得。下田は3番手から追い上げる展開となりました。下田は1周目に前を走るビアルをかわして2番手に浮上。ディーガンを捉え、2人の差が1秒を切る接近戦を繰り広げますが、徐々にその差がを広き始めます。トップ2台は単独走行となりレースが進行。下田は最後まで諦めず、レース終盤にかけてその差を縮めますが、順位は変わらずフィニッシュ。ディーガンが2ヒートともに優勝を獲得し、2位に下田、3位にビアルが入賞しています。総合結果はディーガン、下田、ビアルという順位。ポイントランキングトップのディーガンが2位下田との差を6ポイント広げ、51ポイント差となっています。
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450クラスは、Moto1ではイーライ・トマックがレースをリード。ハンター・ローレンスとジャスティン・クーパーがその後ろにつき追いかけます。6周目にハンターがトマックをかわしトップに浮上しますが、1周目に転倒したチェイス・セクストンが怒涛の追い上げを見せると、レース終盤でハンターをパスしてトップに浮上。そのまま優勝を獲得しました。さらにスタート時にゲートにぶつかったことによって出遅れたジェット・ローレンスも21番手あたりから追い上げ3位に浮上。結果、1位セクストン、2位ハンター、3位ジェットという順位でレースを終えました。なお、レース終了後、ゲートに衝突したペナルティとしてジェットに+1周が科され、17位へ降格。順位が変わり、R.Jパンプシャーが3位入賞となりました。
Moto2もトマックとハンターがスタートで前に出ますが、ジェットが序盤から2人を抜き去りトップに。そのまま大きな差を付けて優勝、2位にはトマックがミスした隙をついて抜き去ったハンターが入賞。トマックも3位に入っています。また、Moto1で優勝したセクストンは2周目に転倒、バイクの損傷によりリタイアとなりました。これにより総合優勝はハンターが獲得。2位R.Jハンプシャー、3位トマックという結果になりました。
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youtu.beポイントランキングを見ると、現在トップのジェットが2位のハンターに対して47ポイントの差をつけてリードしています。ジェットが次戦でタイトルを確定させるには、その差を50ポイントに広げる必要があります。次戦で決まるのか、最終戦にまでもつれ込むのか、チャンピオンシップの行方も注目です。
ディーガンと下田、縮まる2人の実力差

ディーガンと下田のMoto1のラップタイムの平均と安定性を見ていきましょう。ディーガンの平均ラップタイムが2分7秒115なのに対し、下田は2分7秒870。安定性はディーガンが98.696%、下田が98.135%とどちらもディーガンが上回っており、今大会下田をも圧倒したその結果に納得がいきます。一方、これまでの大会を振り返ると、平均ラップタイムはディーガンの方が1〜2秒ほど上で、安定性は下田が1〜2%上という結果でした。これまでは差があった2人ですが、今回ラップタイムの平均と安定性、どちらもほとんど差がありませんでした。
レース後のプレスカンファレンスでインタビューを受けたディーガンは、「Moto1のパッシングに関しては、少しダーティーだとしてもいかないと、と思った。あそこで止めたのは無茶したわけではなかった。丈が反撃してくるのは当然わかっていたし、彼は今本当に強い。良いレースだったし楽しかった」とコメント。一方下田も「彼に抜かされた後もプッシュしたけど、彼が速くて追いつくことができなかった。もっと速くなる必要がある」と振り返り、互いに実力を認め合っています。
本田七海が9位入賞。AMAプロモトクロス選手権併催「Women’s Motocross Championship」
AMAプロモトクロス選手権では、今大会より3戦にわたってWomen’s Motocross Championship(WMX)が併催されます。その1戦目、WMX第4戦アイアンマン大会に全日本モトクロス選手権レディースクラス2019年チャンピオンの本田七海が出場しました。
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x.comMoto1は現地時間8月8日に行われました。スタート後10番手あたりにつくと2周目で8位に浮上。その後9番手に順位を落とすも、ペースをあげて追い上げ続けますが、順位は変わらず9位でフィニッシュとなりました。一方、Moto2はプロモトクロス選手権開催当日の8月9日に行われました。レッドフラッグが出たことにより再スタート、レース時間が5分+1周でレースが行われました。本田はスタートで10番手あたりから追い上げる展開。一時11番手にポジションを落とすも、すぐに追い返し10位、9位と順位を上げます。250クラスと450クラスのMoto1終了後に行われたこともあり、路面は荒れて轍も深く掘られている状態。テクニカルなコンディションの中、本田は最後まで追い上げ続け、前のライダーと1秒差にまで迫ります。しかしタイムアップとなり、そのまま9位でフィニッシュを果たしました。
総合優勝はWMXのディフェンディングチャンピオン、ラクラン・ララ・ターナー。両ヒートともに1位を獲得し、圧倒的な強さを示しました。2位には両ヒートともに2位でゴールしたチャーリー・キャノン、3位にはMoto1で4位、Moto2で3位を獲得したカイライ・ストーリングスが入賞しました。
なお、本田は残り2戦も出場するとのこと。AMAプロモトクロス選手権の決勝レース日に行われるMoto2を以下サイト(※有料)でライブ配信を見ることができるため、こちらも要チェックです。
次戦は8月16日(土)、アメリカのニューヨーク州にあるユナディラMXにて行われます。