9月13日(土)、2025 AMAスーパーモトクロス選手権(SMX)第2戦がアメリカ・ミズーリ州にあるザ・ドーム・アット・アメリカズ・センターにて行われました。
注目ポイント
・スタートが鍵となるスーパークロス要素が強いコースレイアウト
・下田、不調のなか両ヒート2位で総合優勝を獲得
・下田のスタートの上手さと安定感が結果につながる
Photo Credit: Feld Motor Sports, Inc.

今回のコースはタイトなコーナーやジャンプセクションが多く、スーパークロスの要素が強いレイアウトとなっています。テクニカルでパッシングが難しいため、結果を残すには特にスタートで前に出ることが重要。
タイムドクオリファイでは、ヘイデン・ディーガンが1分12.069秒でトップ通過。1分12.238秒でリーバイ・キッチン、1分12.316秒でライダー・ディフランシスコが続きます。一方下田は1分13.351で13位通過。レース前のインタビューでは「ラップタイムはみんな僅差だからスタートが重要になる。自分は良いスタートができることをわかっているので、自信はあります」とコメントしました。
下田が2-2で総合優勝、ディーガンを抑えてランキングトップに

Moto1、ホールショットを獲得したのはヘイデン・ディーガン。開幕戦ではスタートでの出遅れが目立ちましたが、今回は抜群のスタートでレースをリードします。一方下田も好スタートを決めて2番手からトップを追う展開。トップ2台は5秒ほどの間隔が開きそれぞれ単独走行となりますが、レース中盤でディーガンが転倒。下田が数秒差を縮めますが、そのままの順位でフィニッシュ。1位ディーガン、2位下田、3位にはチーム員同士の接戦を制したセス・ハマカーが入賞しました。なお、下田はレース後、体調が良くないとのことでMoto1後のインタビューへの出演をキャンセルしました。
Moto2、下田はベストな状態ではない中でもスタートを決め2番手につけると、トップに立ったトム・ビアルを追いかけます。一方Moto1で優勝したディーガンは4番手あたりにつきますが、1周目序盤でキッチンがディーガンに突っ込む形で接触し、両者ともに転倒。順位を大きく落とし戦線離脱を余儀なくされます。さらにディーガンは転倒時にフロントブレーキがなくなり、リアブレーキのみでの追い上げを強いられます。
ビアルと下田のトップ2台は2秒ほど差が開き、そのままの順位でゴール。1位ビアル、2位下田、3位ハマカーとなり、ディーガンは14位でフィニッシュを果たしました。下田は両ヒートともに2位の結果で総合優勝を獲得。ディーガンは総合6位でレースを終えました。これにより下田がディーガンを上回るポイントを獲得し、ランキングトップに浮上。ディーガンに10ポイントの差をつけており、自身初のチャンピオン獲得に大きく近づきました。
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一方、450クラスMoto1はハンター・ローレンス、ケン・ロクスン、イーライ・トマックという順でレースが進行。トップ3台の差はそれぞれ2秒ほど開き、周回を重ねます。一方、ポイントリーダーのジェット・ローレンスはスタートで出遅れ、ほぼ最後尾からの追い上げを強いられます。パッシングが難しいとされている今回のコースですが、その中でも着実にポジションを上げ、最終ラップには差が縮まった3番手のトマックを猛追。トマックも2番手を走るロクスンにアタックしており、最後まで気が抜けない状況に。結果、ハンターが一度も前を譲ることなく優勝を獲得。2位ロクスン、3位トマック、4位ジェットという順でチェッカーを受けました。
Moto2はジェットがスタートからレースをリード。トマック、チェイス・セクストンと続きますが、序盤でハンターがセクストンをパスし順位を上げます。レース中盤にはトマックがジェットを捉え、1秒を切る僅差まで迫りますが、ジェットが逃げ切りトップでゴール。2位トマック、3位ハンターとなり、ハンターが総合優勝を獲得。ポイントランキングは依然としてジェットがリードしています。
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youtu.beベストな状態ではない中、2-2でゴール。下田が見せた安定性

Moto1でのディーガンと下田の差はどう生まれたのでしょうか。2人のラップタイムを見ると、ディーガンは1周目で1分13秒台、その後12秒台を重ね、5周目にベストラップタイムの1分11.793を記録しています。一方下田は1周目が1分15秒台、2周目にベストラップタイムの1分12.718秒を記録し、以降は12秒台、13秒台と、ディーガンとは1〜2秒差ある状態で周回し、ここで大きく差が開きました。また、レース後半は両者ともに14秒台を重ねており、平均ラップタイムを見るとディーガンが1分14.255秒、下田は1分14.523秒と僅差です。しかし最速ラップタイム5つでの平均はディーガンの方が1秒速く、安定性は下田が1%上回る結果となり、ディーガンの瞬発的なスピードが下田の安定性を上回ったと読み取れます。
一方Moto2は、優勝したビアルの平均ラップタイムが1分15.185秒、下田が1分15.341秒。安定性はビアルが98.939%なのに対し下田が98.620%と大差はありません。安定性のあるライダー同士ということで差が詰まることはなく、結果ビアルが逃げ切る形となりました。しかし、両ヒートを振り返ると、下田は特に重要と言われていたスタートを決め、ミスなく2位を獲得。スタートの上手さと走りの安定感が総合優勝に繋がりました。
次戦はついに最終戦。9月20日(土)、アメリカ・ネバダ州にあるラスベガス・モーター・スピードウェイにて行われます。