9月20日(土)、2025 AMAスーパーモトクロス選手権(SMX)最終戦がアメリカ・ネバダ州にあるラスベガス・モーター・スピードウェイにて行われました。
PHOTO/Honda
第2戦では下田丈がヘイデン・ディーガンを抑えてランキングトップに浮上。2人のポイント差は10ポイントとなり、下田のチャンピオン獲得に注目が集まりました。
タイムドクオリファイでは、下田が1分30.687秒で2位通過と調子の良さを示しています。トップはセス・ハマカーで1分30.758秒。ディーガンは1分32.280秒で12位となりました。
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youtu.beディーガンの執拗なアタックを耐えきって完全勝利

Moto1、下田が好スタートを決めレースをリード。セス・ハマカー、ライダー・ディフランシスコが後に続き、ディーガンは4番手からの追い上げとなります。下田は序盤で抜け出すと、2番手との差を徐々に開いていき、レース後半には単独走行に。
一方、レース時間残り11分というところで焦りがあったのかディーガンが前を走るディフランシスコの上に着地してしまうというアクシデントが発生。ディフランシスコはそのままリタイア、ディーガンは縦に2回転ほどしたにもかかわらずすぐにリスタートしたことで順位を大きく落とすことはなく、4番手から再び追い上げ、レース終盤で2番手にまでポジションを上げます。下田とは5秒ほど差があり、ディーガンはその後も勢いに乗り距離縮めていきますが、下田がトップを守り切りゴール。結果は下田が優勝。2位ディーガン、3位ハマカーとなりました。この時点で、ハマカーにもチャンピオンの望みが残ります。


Moto2、下田はスタートで出遅れ8番手あたりからの追い上げを強いられます。一方トップを走るのはハマカー。続いてキッチン、ベニック、ディーガンが追いかける展開となります。ディーガンはすぐにベニックをかわして3番手に浮上。さらに、ディーガンはキッチンとの距離を詰め、レース中盤に2番手争いを展開。ラインが交差する接戦となりますが、かわして2番手へ。さらにそのままハマカーに迫り、残り11分というところでトップに立ちます。

下田は着実にポジションを上げていきレース時間5分が過ぎた頃に4番手にまで上がります。チャンピオン獲得のためにはこれ以上順位は落とせないというプレッシャーがかかる中、下田は着実に差を縮めていき、キッチンとハマカーを猛追します。下田が攻める中、キッチンはマシントラブルにより後退。そのままハマカーもパスし、トップを走るディーガンに迫ります。残り10分を切った頃、下田にとってはディーガン1位でもタイトルは獲れるポイント差ですが、ディーガンがあえて下田に前を譲る形でペースダウン。下田がトップに立ち、ディーガンが攻める展開となります。
ディーガンは下田と何度もラインをクロスさせ、ギリギリの攻めた走りを続けますが、下田は冷静に走行を続けトップをキープします。明らかなアタックにも下田は何度も耐え、クリーンなレースを展開。レース終盤、ディーガンがいよいよ下田のマシンの芯を食ったか下田が転倒、しかし、下田はすぐさまバイクを起こしてレースに復帰。ディーガンはそのままレースをやめてしまったことで勝負は決まりました。

この一連のバトルの隙にハマカーがトップに浮上したことで下田は2番手に後退。ポイント差の都合上、このままいけばチャンピオン獲得という中、残り2周というところで後方からトム・ビアルが迫り下田をパス。下田は3番手に後退しますが、ゴール直前でビアルをかわし2番手でフィニッシュ。最後まで冷静かつ安定した走りで、自身初となるチャンピオンを獲得しました。
下田丈公式コメント
「正直なところ、今日は本当にストレスの多い一日でした。特に2回目のモトは、見直さないといけませんね。たくさんの接触がありましたが、転倒せずにプッシュし続けられてよかった。このように選手権で優勝した初の日本人ライダーになれたことは、私にとって非常に大きな意味があります。これほど重要なことを達成できたことで、大きな自信になりましたし、これを可能にしてくれたすべての人を本当に誇りに思います」

ヘイデン・ディーガン公式コメント
チャンピオンシップを獲るために、自分の持てるすべてを懸けて戦いました。SMXのこの新しいレース形式は、最終戦を本当に熾烈なものにしますね。僕はいつでも110%、常に全力で挑んでいます。すべてを懸けたハイステークスなレースがどんなものか、あの場に立ってみないと、言葉で説明するのは難しいです。チャンピオンになったジョー(下田)は見事でした。心から賞賛を送ります。彼は本当に手ごわい、素晴らしいファイターでした。
プロデビューしてから、僕は一度も休むことなく、すべてのレースに出場し続けてきました。ですが昨夜、鎖骨を骨折してしまいついにその代償を払うことになりました。すぐに手術を受けて、これまで以上に強くなって戻ってくるために、またトレーニングに励みます」