モトクロス大国であるアメリカ、そして世界グランプリを持つ欧州において、活躍できる日本人がいなくなって久しい年が続いた。興行的に最高峰のAMAスーパークロスでは、成田亮の3位表彰台を最後としていたが、2020年を境に時代は変わろうとしている。現18歳、AMAのプロクラスで活動する、下田丈の台頭だ。甘いマスクに、すらっとした長身、世界を狙えるポジションで戦う下田の2021年現在をまとめてみよう。

ポイント3「新しい相棒KXとの相性」
パワーに勝るカワサキ、スタートもキマル

チーム移籍が発表された時点では「まだ、テストは始まっていません。まずはスーパークロスのコースと、KXに慣れるように、プロサーキットから支給されたバイクに乗っています。体格が似ていたらしくて、アイヴァン・テデスコのセッティングだとのことでした。

プロサーキットのバイクは、とてもいいです。パワーがありますね。これまで無理矢理飛んでいたジャンプが、余裕でこなせるようになりました。もちろん、これはバイクだけじゃなくて、去年のこのオフシーズンよりスキルが上がっていることも関係していると思います。コーナーも余裕をもって攻められるし、スタートもよさそう。今までのCRFと比べると、シート・ステップ間が短くなって、ホイルベースが長くなったようなイメージを受けますね」と下田はファーストインプレッションを話している。

プロサーキットチューンのKX250

そして、開幕を終えた今、「エンジンがシンプルに速いですね。感覚的には、今までのホンダは軽く回せて勢いがありました。カワサキはどっしりしたパワーフィーリングです。車体は少し長めに感じますが、安定感に繋がっていると思いました。これまで、テストは5回くらいやったかな、僕はコーナーとフープスにセッティングを合わせる傾向にあります。コーナーがよければ、ジャンプはこなせるので。エンジンは、与えられたもので満足しています。ライダーによってはもちろんマッピングを変えるんですが。

何よりテストの徹底ぶりが、すごいなと思っています。たとえば、ハンドルをテストしようって話になったら、テストの場には全ラインアップが揃っているんです。言い訳できないところまで、追い込まれる」と下田。たくさんのチャンピオンを生み出してきたプロサーキットの、レースに対するノウハウを存分に享受している。

「来年は、チャンピオンシップイヤーになるだろうから、自分のスタイルももっと出来ていると思います。250の仕上げの年になりますね。今年はオースティン・フォークナーがタイトルを望まれているわけです。来年は、僕が獲らなきゃダメです」と言う。もちろん、今年も狙っていないわけではないのだが。