9月11日、福島県箕輪スキー場にて全日本クロスカントリー選手権JNCCの第7戦が開催された。第5戦岩手高原スノーパーク、第6戦神立スノーリゾートに続き、「Go To North」と題された東北エリア3連戦の最終戦だ。

神立でJNCC初優勝を飾った小方誠、渡辺学、熱田孝高らは全日本モトクロス選手権参戦のため不在となった。全9戦の今シーズンはこの大会が終わると、残すは八犬伝、阿蘇の2大会のみとなり、いよいよチャンピオンが視野に入ってくる。ここまで3勝を挙げており、ランキングトップの馬場大貴とランキング2位の小林雅裕のバトルに注目が集まった。

延長された恐怖の激下り「NOコントロール」COMP-GP

JNCCのCOMP-GPには各コースに1〜2個の難所が設定されていることがある。爺ヶ岳スキー場の「ガレクライム」だったり、ほうのきスキー場の「クリフハンガー」だったりがそうだ。それらは大会が続くにつれてレースレポートやSNS、YouTubeなどで拡散され、名セクションに育ち、やがて伝説を生む。

画像1: 延長された恐怖の激下り「NOコントロール」COMP-GP

この箕輪スキー場は昨年からJNCCに加わった比較的新しいコースだが、頂上に設定された激下り「NOコントロール」はすでにJNCCライダーの間で話題になっており、箕輪の代名詞に育ちつつある。

画像2: 延長された恐怖の激下り「NOコントロール」COMP-GP

コースディレクターを務める萩原一氏は「今年はFUN-GPでは新規ルートを開拓することで、NOコントロールを使わずに初心者でも楽しめる設定にしました。代わりにCOMP-GPでは去年よりも一段上まで使わせてもらい、より面白くなっています」と今年のコース設定を解説してくれた。

画像3: 延長された恐怖の激下り「NOコントロール」COMP-GP

レース中には眺める余裕などないだろうが、この「NOコントロール」の頂上からの景色は最高。遠くには猪苗代湖も見える。日本海を眺めることができ、多くのライダーが絶賛したシーサイドバレー糸魚川を彷彿させるものがあった。

COMP-GPは馬場大貴が完全に支配

画像1: COMP-GPは馬場大貴が完全に支配

COMP-AA1クラスのホールショットは齋藤裕太朗、続いて中島敬則、渡辺裕之が前に出て、馬場はその後方イン側、小林はアウト側から1コーナーを抜けていった。集団はそのままゲレンデを駆け上がり、馬場は1周目中盤からトップに立つと頂上の「NOコントロール」で既に2番手に10秒ほどの差をつけ、独走。

画像2: COMP-GPは馬場大貴が完全に支配

その後もさらに後続を引き離し2分ほどの差を築くと、そのリーチを守りつつ安定した走りで一度もトップを譲らずに優勝した。

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馬場大貴
「去年はここの選手紹介(トップライダー入場時に行われるショータイム)でウイリーしたら失敗して膝を怪我しちゃって、さらに3回前転してしまったので、今日はずっと自分との勝負でした。昨日ヤマハの電動自転車のYPJをお借りして、かなり念入りに下見をしていたので、1周目からベストのライン取りができて、後続を引き離すことができたと思います。
2周目で後ろがだいぶ離れたので3周目は安全を考えて少しペースを落として、『NOコントロール』を下るところで後続との距離を横目で確認できるポイントがあって、そこで差を測りながらペースを調整して走っていました。COMP-GPはリアタイヤがFIMタイヤなので、どうしても1時間くらいでグリップが悪くなってくるので、走り方を変えたりもしましたね。
今年は無転倒でレースを終えられて良かったです。うまくいけば次の八犬伝でチャンピオン決まるので気を抜かずに頑張ります!」

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小林は1周目こそ3番手で周回したが、すぐに2番手にあがり、馬場を追い続けた。終盤でペースを上げてきた鈴木健二に一度前を譲る形になったものの、鈴木のクラッシュによって2番手に復帰、今シーズン初の総合2位、準優勝でレースを終えた。

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小林雅裕
「ちょっと体調が悪い中でのレースだったのですが、久しぶりに2位に入ることができて良かったです。僕は下りじゃなくて、登りで穴に引っかかって前転しちゃいました。次の八犬伝では馬場選手に勝ちたいと思います」

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3位は中島。2018年の第5戦爺ヶ岳で初優勝を果たした中島だったが、その後怪我に悩まされレース活動を停止。昨シーズンの第5戦、神立スノーリゾートからレース復帰を果たし、着々とかつての強さを取り戻しつつある。

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中島敬則
「健二さんがとてもいいバイク(23モデルのYZ125X)に乗ってて、僕はYZ250FXなのに登りで抜かれたんですよ。それで『今日は4位だな』って思っていたら、まさかの健二さんが(クラッシュして)いなくなるという。とてもいいバイクが出来上がっているので、ぜひ楽しみにしていてください」

画像8: COMP-GPは馬場大貴が完全に支配
画像9: COMP-GPは馬場大貴が完全に支配

今大会で2023年モデルのYZ250X、YZ125Xがデビュー。250は小島太久摩が、125は鈴木健二がライドした。小島は今年の第4戦鈴蘭にスポット参戦し、今大会が2戦目。4位に入りモトクロスIAの実力を見せた。一方、鈴木は中盤からペースアップし、一時は小林を抜き2番手に上がる走りを見せたものの、2度のクラッシュを喫し、6位でレースを終えた。

小島太久摩
「新しいオートバイをもっとアピールしたかったんですけど、実力不足で。また次頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします」

鈴木健二
「2番手まで上がれたので『いけるかな?』と思ったのですが、調子乗ったら思いっきりぶっとんで……痛かったです。首が痛くてやばいです。僕の乗ったYZ125Xですが、エンジンもセッティングもどノーマルなんですよ。他の人たちのYZ250FXよりも登り速かったです。俺速かったんだよ!」

画像10: COMP-GPは馬場大貴が完全に支配

COMP-AA1クラスと総合優勝は馬場大貴、2位は小林雅裕、3位中島敬則。AA2クラス優勝は松尾英之。LGD(レジェンド)クラス優勝、佐藤正和。COMP-Aクラス優勝、下濱吉継。COMP-Bクラス優勝、大重勇透。COMP-Rクラス優勝、川口咲介。

馬場はこれで年間180ポイントを獲得。2位の小林に41ポイント差を築いている。JNCCの1ラウンドの優勝ポイントは30なので、次戦八犬伝での年間チャンピオン決定が見えてきた。

画像11: COMP-GPは馬場大貴が完全に支配
画像12: COMP-GPは馬場大貴が完全に支配

「NOコントロール」では後半、ラインがほとんど決まってきたが、転倒するライダーが出るとそれを避けるためにラインを変えなければならず、転倒が転倒を生んだ。

画像13: COMP-GPは馬場大貴が完全に支配

また、成田亮はスタートで出遅れ、1コーナーの転倒に巻き込まれて追い上げのレースに。さらに2周目に「NOコントロール」でまさかのチェーン外れ。ピットで修理してレースには復帰したものの20分以上をロスしてしまい、クラス18位(総合103位)まで順位を下げてしまった。そこから最終的にはクラス17位(総合28位)まで回復してレースを終えた。

クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

画像1: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

午前中に開催されたFUN-GPでは先に書いた通り「NOコントロール」は回避され、難所のほぼない爽やかなクロスカントリーになった。レースクイーンはJNCCではすっかりお馴染みになった根本美里さんが登場。

画像2: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

FUN-GP1列目のスタートはFUN-Aクラス、FUN-SAクラス(55歳以上の上級者)、FUN-WAAクラス、FUN-WAクラス。ホールショットはFUN-Aクラスの福森寿明。

画像3: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

1周目をトップで戻ってきたのは現在ランキング1位の吉崎一弘。吉崎はそのままミスなく周回を重ねたが、ゴーグルが曇ってしまい対処するなどで少しタイムロス。ラスト1周でBクラスの村木幸春に抜かれてしまい、総合優勝は逃したものの、クラス優勝は死守。FUN-AクラスとFUN-Bクラスではスタート時間に差があるため、後からゴールしても実際の順位は逆転することもあるが、今回は最後の最後で村木が先にゴールした。

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吉崎一弘
「去年ここで優勝を逃してしまい、今回は岩井さんがいないこともあって絶対優勝したかったので、良かったです。お世話になってるthsレーシングの応援が力になり、序盤からいいペースで走ることができました。最後に総合優勝を奪われちゃったのは切なかったです。
ハイスピードで危ないのですが、やっぱり楽しいコースですね。あと僕はキャメルバッグを背負わないと調子がいいんです」

画像5: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

FUN-SAクラスの優勝は神田隆博。そう、JNCCにいつも出店して出場ライダーのチャンバー修理を請け負っている上州レーシングの神田さんだ。

神田隆博
「エントリーが少なかったんだけど、自分なりに一生懸命走りまして、この結果でした。下見した時はあの坂ちょっと苦手だな、と思ったのですが、モトクロスの延長みたいな感じで楽しかったです」

画像6: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

COMP-Bクラスの村木は追い上げのレース展開。クラス3位(総合4位)で1周目を終えたが3周目には吉崎の後ろにつけ、10周目でトップに躍り出た。しかし本人は前ではなく、後ろを気にして走っていた。

村木幸春
「レース中ずっと後ろからYZ85がビンビンビンビン追いかけてきて『なんで85が来るんだ!?』と思いながら、最後まで全然気が抜けなくて目一杯で走ってました。総合優勝できたのは敬太くんのおかげです」

画像7: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

その村木を追いかけていたYZ85の正体はFUN-Bクラス2位(総合3位)の中学生ライダー、渡辺敬太。COMP-AA1クラスに出場する渡辺裕之ジュニアだ。村木は背後から迫る渡辺の85ccのエンジン音から必死で逃げていたら、吉崎を抜いたのにも気がつかなかったとのこと。

渡辺敬太
「ずっと優勝を目標にしているんですけど、いつまで経ってもできないので、もっと腕を磨いて出直します」

渡辺はこの一年で身長もずいぶん伸びており、もうフルサイズにも乗れる体ができつつある。フルサイズに乗ればFUN-GPの優勝はもう時間の問題だろう。

画像8: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

FUN-Aクラス優勝、吉崎一弘。FUN-SAクラス優勝、神田隆博。FUN-Bクラス優勝、村木幸春。FUN-Cクラス優勝、滝瀬淳一。FUN-Dクラス優勝、佐藤洸。FUN-WAAクラス優勝、菅原悠花。FUN-WAクラス優勝、近藤香織。FUN-WBクラス優勝、松永望。(FUN-WDクラスはエントリーなし)

画像9: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP
画像10: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

FUN-GPが終わり、COMP-GPが始まる前にはキッズライダーたちによるFCX(ヨツバモトなどの電動バイクや50cc)が開催。COMP-AA1松尾英之、中島敬則のジュニアがそれぞれクラス優勝し、未来のトップライダーの片鱗を見せた。

画像11: クラスを超えた激しいバトルがレースを面白くしたFUN-GP

ここ箕輪スキー場は「アウトドアリゾート・ミノワ」としてヨツバモトのパークを常設(グリーンシーズンのみ)しており、30分500円で体験することができる。

JNCC次戦は第8戦、サンドバレー八犬伝。10月9日に千葉県君津市で開催される。

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