TESTER/辻健二郎
TEST TRACK/宮城県スポーツランドSUGO
![画像1: 「しっくりくるフィーリング。中回転域で粘る扱いやすいエンジン」GASGAS MC250F試乗インプレッション](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2022/10/12/308ce5ce19bbed80179206efc61784dec56dd025.jpg)
![画像2: 「しっくりくるフィーリング。中回転域で粘る扱いやすいエンジン」GASGAS MC250F試乗インプレッション](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2022/10/12/6ba920bc3a0ca0decfd6acd05dd93a1988c980c0.jpg)
GASGAS
MC250F
GASGASは2023年モデルでのモデルチェンジは無し。2022年モデルの性能を引き継ぎ、グラフィックの変更に留まった。
辻健二郎「フレームにしなりがある分、タイヤが地面に食いつく」
メディア試乗会にはフルモデルチェンジを果たしたKTMとハスクバーナ、2022年モデルを継承したGASGASが揃っていた。KTMファミリーである3社のマシン構造は基本同じで、今回の試乗会はKTMファミリーにおける新型パッケージと旧型パッケージの乗り味や各メーカーの個性を比較する絶好の機会であった。試乗インプレッションを担当したのは、元全日本ファクトリーライダーの辻健二郎。GASGASと他2社との違いを乗り比べてもらった。
![画像: 辻健二郎「フレームにしなりがある分、タイヤが地面に食いつく」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2022/10/12/3a2a0f2920f44c6e0f0687b892c83f48e7b1a4bd.jpg)
「GASGASのみ2022モデルを継承しているということで、他2メーカーとのキャラクターの違いを感じましたね。KTMとハスクバーナはモデルチェンジで剛性が高まった分、コーナーで若干の曲がりづらさを感じることがありましたが、GASGASは柔らかく、しなりがある分、コーナーの中で嫌な突っ張り感を感じることはありません。フロントとリヤが抜けていきそうな感覚も無く、乗りやすかったですね。乗っていてしっくりきちゃいました(笑)
一般的に、車体にしなりがあると、アクセルを開けた時にかかる車体への荷重(エネルギー)によって反力が生まれ、タイヤが地面に食いつく傾向があります。GASGASはまさにそれでした。特に日本のコースは滑りやすく、曲がりにくいところもあるので、しなやかに地面を捉えてくれる乗りやすさはレースなどでも生かされると思います。
中回転域で粘りのあるエンジン
![画像: 中回転域で粘りのあるエンジン](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2022/10/12/a7d88f8cae72de902744f30bc0e9a0a46f27d1dd.jpg)
エンジンの回転域は、KTMとハスクバーナに比べて若干ミドル(中間)の位置で粘りを感じました。高回転域でパワーを出すというよりは、低回転域から中回転域の間にパワーバンドが安定してあって、他2社と比べるとあまり高回転域を多用しなくても走行できました。トルクフルで低速でもエンジンのつきが良いので、扱いやすさを感じましたね。3社を位置付けるとすると、KTMが一番高回転型、ハスクは高回転型ではあるものの少し控えめ。対してGASGASは2社とは離れた中回転型。中速から粘りがあり、早めにギヤをあげて走っていくようなエンジンでした。
万年ビギナーのジャンキー稲垣インプレ
実は……このメディア試乗会の中で最も楽しく乗れたのがガスガスのMC250Fだった。これは昨年の試乗会でも感じたことなのだけれど、スペック上はKTM・ハスクバーナと変わらないはずが、違うマシンなんじゃないのかってくらい車体自体がコンパクトに感じる。クラスが違うのでは? と思えるほどコンパクト。ハンドルが低く感じるし、シートについては足がべったりついてしまう。小柄なライダーでもこれなら安心感があるはず。
![画像: 万年ビギナーのジャンキー稲垣インプレ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2022/10/14/35e66b2ec34ceb45af07dd1773294fa7bbf9a36b.jpg)
エンジンもめちゃくちゃ扱いやすい。エンデューロモデルほどのマイルドさはまるでないのだけれど、他社の4スト250のと比べると扱いやすいことこの上ない。特にフルモデルチェンジしたSXシリーズはショートストローク化されていてピーキーだという表現もできるから、それとは真逆のキャラクターだ。スロットルレスポンスは鋭すぎずマイルドすぎず、豊かな低中速がレブまでフラットにつながっていく。その上しっかり高回転は回るので乗っていて「俺、開けてる!」という気分になれる。開け口から回りきったところまで、これなら手中にあるぜと勘違いしてジャンプを飛びだしてみたら、いつもと変わらずサスペンションが伸びただけだった。とにかくKTMとハスクバーナの差異にくらべて、ガスガスだけが突出して扱いやすい。だが、AMAでは旧型ベースのファクトリーバイクで走っているにも関わらず、スーパークロスでマイケル・モシマンが大活躍するなど成績も伴っている。扱いやすすぎて遅い、ということでもないのだ(同列に語ることではないかもしれませんが……)。
ガスガスはKTM傘下になってからFUNなバイクであることを強力に映像などでPRしてきたけど、これに乗ってしまうと「これこそFUN! そうだそうだ、これがみんな欲しいんじゃないか」とにんまりしてしまう。バイクって開けられることが大事だと僕は知っている。なんせいつの日だったか、開けられるCRF250Lのほうがモトクロッサーよりもタイムが速かった僕である。これだけ開けられてガンガン走れるなら、さぞかしタイムもKTM・ハスクバーナを抜いて一番いいだろうと思いきや、実はタイムにはつながっていなかった。これは……やっぱり新型は新型でいいってことかいな(編集部注:個人の感想です)。
でもバイクってやっぱり楽しいのが一番大事だと思うんで、どれを買いますかって聞かれたら、ガスガスを選んじゃう可能性は十分にある。悩ましい。
UNITED IN DIRT | GASGAS
youtu.beそうそう、速いとか遅いとかそういうんじゃなくて俺はこれになりたいだけなのよ、バモース!