全日本ハードエンデューロ選手権G-NETの第5戦が開催された。過去最高の難易度とも言われる難コースで、ハードエンデューロ初参戦の吉良祐哉が優勝を果たした

11月27日、群馬県日野カントリーオフロードランドで全日本ハードエンデューロ選手権G-NET第5戦が行われた。年間ポイントでは前年のチャンピオンである山田礼人(旧姓:山本)が突出しており、今大会の結果次第では最終戦を待たずにチャンピオンが決定する、という状況の中レース当日を迎えた。

第3戦で山本に土をつけている水上泰佑はこのレースを前に今シーズン限りでの現役引退を表明。得意な日野でもう一つ勝ち星を上げ、最終戦に望みを繋ぎたいところ。しかし、今大会には他ジャンルから強力なライダーたちがスポット参戦していた。

他ジャンルからの刺客たち
初参戦のトライアルIAS吉良祐哉が「優勝を目指す」

画像: 現役オートレーサーの二人。元トライアルIASの野本佳章と、元ロードレーサーで世界選手権125ccクラスチャンピオンでもある青木治親というビッグネーム。

現役オートレーサーの二人。元トライアルIASの野本佳章と、元ロードレーサーで世界選手権125ccクラスチャンピオンでもある青木治親というビッグネーム。

画像: 全日本ロードレース選手権JSB1000クラスの濱原颯道はG-NETをはじめ、三宅島エンデューロやJNCCにも積極的に出場している。

全日本ロードレース選手権JSB1000クラスの濱原颯道はG-NETをはじめ、三宅島エンデューロやJNCCにも積極的に出場している。

画像: 現役のトライアルIASライダー、吉良祐哉。G-NET最終戦G-zoneに出るため、この日野で優勝して出場資格(ランキング20位以内)を狙う。

現役のトライアルIASライダー、吉良祐哉。G-NET最終戦G-zoneに出るため、この日野で優勝して出場資格(ランキング20位以内)を狙う。

吉良はハードエンデューロ初参戦とのことだが、翌々週に行われるG-NET最終戦G-zoneへの出場権(G-NET年間ランキング20位以内)を獲得するために優勝を狙うと宣言。過去にも初参戦の野崎史高がこの日野ハードに出場し、あっさりと優勝を掻っ攫ってしまったことがあり、トライアルIASライダーの存在は極めて脅威と言える。さらに恐ろしいことに彼らはコースが難しければ難しいほど、その力を発揮する。

実は世界のハードエンデューロのトップライダーの顔ぶれを見てみると、グラハム・ジャービスやタディ・ブラズシアクなど、トライアル出身のライダーが多い。日本人唯一のエルズベルグロデオ・フィニッシャーである田中太一もトライアル出身だし、G-NET・V6チャンピオンの高橋博も同様。つまり、ハードエンデューロは元々トライアルの先にある競技と言っても過言ではないのだ。

実際、今年ルーマニアクスに挑戦した山田礼人と佐々木文豊は、そのゴールドクラスのコースを走り、トライアルスキルの不可欠さを嫌と言うほど感じてきた。

近年、藤原慎也をはじめ、柴田暁、吉良祐哉のようなトライアルIASライダーたちが(スポットとはいえ)参戦してくれることは、ハードエンデューロ業界にとってとても大きな価値があると言える。

画像: 他ジャンルからの刺客たち 初参戦のトライアルIAS吉良祐哉が「優勝を目指す」

今大会ではG-NET黒ゼッケン(昨年のランキング1〜9位まで)ライダーとゼッケン10番の野本が最後尾スタートとなり、先行する130台のライダーをいかに早くパスできるかが勝利の鍵を握るレースとなった。

コースレイアウトも少し特殊なものが用意された。スタートするとまずは「ハードルート(コースマップ中央〜右側のグリーン+イエローライン)」を2周し、その後、「Gルート(コースマップ左側のグリーン+レッドライン)」を1周してゴールというもので、特にGルートは過去最高の難易度を誇ると開拓スタッフは語っている。昨年の同大会で「過去最高」と言われたヒルクライム「エムスリー」こそ使われていないものの、新たに開拓された「HINO Death Valley」や「ワイヤーマウンテン」「壁」「Betaマウンテン」「K猫落とし」などが勝負の分かれ目となることが予想された。

ハードルートは山田、水上、森がリード

スタートしてすぐの「ヤブサカ」は例年使われているが、今年はパドックから見て右側にもう一本難易度の高いラインが設けられた。通常のヤブサカを登るライダーたちを横目に難易度の高い右側のラインをクリアするトップライダーたち。しかし左側を登っていたはずのライダーが登りきれず、右側ラインを塞ぐように横移動してくるシーンもあり、タイミングや駆け引きも重要なセクションとなった。

画像1: ハードルートは山田、水上、森がリード

まずは1周目のハードルート中盤「ガレキャンバー」でトップを走っていたのは森耕輔。G-NETにフル参戦していないため黒ゼッケンでこそないが、来年からハードエンデューロ世界選手権の一戦に数えられることとなったルーフ・オブ・アフリカを完走した実力者だ。すぐ後ろには今シーズン初の黒ゼッケンを狙う西川輝彦が続いた。

画像2: ハードルートは山田、水上、森がリード

少し間が空いて山田と水上が僅差で通過。最後尾スタートからわずか15分ほどでトップを射程距離内に捉えていた。

画像3: ハードルートは山田、水上、森がリード

続いてハードルート2周目の前半「テキサス・ロデオ」。日野のコースに常設されている丸太広場にタイヤと丸太が絶妙な距離感で配置されており、人工セクションが苦手なライダーの体力を奪ういやらしいセクションとなっている。

画像4: ハードルートは山田、水上、森がリード

森と西川を抜いてここにトップで到達した山田は、ジュニア時代までやっていた自転車トライアルで培ったスキルで余裕のクリア。すぐ後ろに水上が続いており、3番手は森。少し遅れて西川、泉谷之則、大津崇博。

画像: JEC全日本エンデューロIAクラス5位の酢崎友哉も初めてのG-NET参戦。丸太やガレ場の多い成田モトクロスコースをホームにしているだけあって、人工セクションはお手の物。

JEC全日本エンデューロIAクラス5位の酢崎友哉も初めてのG-NET参戦。丸太やガレ場の多い成田モトクロスコースをホームにしているだけあって、人工セクションはお手の物。

いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇
そして「HINO Death Valley」の死闘

画像1: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

そしてトップ集団は後半のGルートへ。最初の難所「ワイヤーマウンテン」にトップで姿を見せたのは水上だったが、すぐ後ろから追ってきた山田がパッシング。5月に開催されたG-NET第一戦の日野ではこの「ワイヤーマウンテン」で苦戦し、大きく順位を落としてしまった水上だったが、今回は山田に続いて2番手で通過。

画像2: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

これに続いたのは泉谷、森。ここでトライアルIASの刺客・吉良が5番手に浮上。大津、原田皓太、ロッシ高橋、鈴木健二、大塚正恒と実力者たちが続々と「ワイヤーマウンテン」を通過。

画像3: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

その後、「壁」「熊沢」とクリアしてロングヒルクライム「切り株広場」。ここでは水上がトップに立ち、2番手には泉谷。

画像4: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

そしていよいよ今回最大の難所「HINO Death Valley」に辿り着く。なんと、最初に姿を見せたのは「ワイヤーマウンテン」では5番手だった吉良。

「HINO Deathe Valley」を優先したため、残念ながら撮影することはできなかったが、吉良は「K猫落とし」入口のロックセクションにてG-NET黒ゼッケンの猛者たちをごぼう抜きにして、トップに立った。やはりトライアルライダーはロックにめっぽう強い。そのスキルを間近で見ていた山田曰く「ライン取りもすごく綺麗だし、大きい岩が邪魔で僕らレベルのテクニックだとまっすぐ行けないようなところもスパーンとクリアしていくので、敵わないですね」とのこと。

画像5: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

斜度が伝わるだろうか、このキャンバーを降りるのが「HINO Death Valley」の入口。トライアルIASのスキルを持つ吉良も、たまらずバイクを滑り落とすほどの難易度。

画像6: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

吉良のすぐ後ろには森、山田、水上が迫っていたが、なんとここで森はプラグが死亡、エンジンがかからなくなってしまう……! しかも予備のプラグを入れていたキャメルバッグは背負い紐が切れてしまい、少し手前でマーシャルに預けてきたという。狭い沢の途中だったが、バイクを邪魔にならないところに置き去りにして、歩いてバッグを預けたマーシャルの元に向かったが、大きく順位を落としてしまった。

画像7: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

エンジンのかからない森をパスして山田が2番手に浮上。山田のすぐ後ろに続いていたはずの水上は入り口のキャンバーでバイクを派手に落としてしまい、クラッチレバーのクランプを破損してしまう。

画像8: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

その隙に台頭してきたのは泉谷と原田。ラインの少ない沢で、原田が絶妙なパッシングを見せ3番手へ。しかしこの沢を登り切っても、「HINO Death Valley」は終わらなかった。

画像9: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘
画像10: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

沢の最深部まで辿り着いたら、壁を使ってフローティングターンし、心許ないキャンバーを登って沢からの脱出を図る。

ここでの順位は吉良、山田、原田、泉谷、水上。

画像11: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

そしてタイヤ一本分のラインしかないキャンバーを進んでいくと

画像12: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

極悪な斜度のキャンバーの最中に、この根っこが現れる。

画像13: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

先行していた山田は根っこに挑み、時間をかけながらもなんとかクリア。しかし原田はここをチャンスと考えたのか、一本下のラインからさらに極悪な斜度のキャンバーを抜けて、山田をパッシングする作戦に出た。しかし、それが裏目に出てしまった。

画像14: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

キャンバーで落ちてバイクが太い枝に囚われ、途方に暮れる原田。フロントフォークとチャンバーの間に太い木が挟まってしまい、どうにもならない状況になってしまっている。しかし、ここで終わらないのがG-NET黒ゼッケンだ。

画像15: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

キャメルバッグからノコギリを取り出し、枝を一本一本切断し、復帰を試みる原田。

画像16: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

さらにその先のラインも確保。

画像17: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

見事に「HINO Death Valley」脱出を果たした。原田は普段のレースではノコギリを持って走らないが、今回は事前にスタッフのSNSでノコギリの携帯を促す投稿があったため、準備していたという。

画像18: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

原田に続いて「HINO Death Valley」を抜けてきた泉谷だったが、最後の最後、「Betaマウンテン」の入り口でキャンバーからフロントタイヤを落としてしまった。少しでも迂闊に触れば、急斜度を滑り落ちて「HINO Death Valley」の中程に逆戻りだ。周りに助け合えるライダーもいない。

画像19: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

ここで泉谷がとった作戦は、周辺の枝を集めて橋を作る作戦。

画像20: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘
画像21: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

たまたまあった2本の太い木の間に枝を配置し、足場を確保すると、それを使って見事、脱出。

画像22: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

さらにここで、プラグ交換を終えて復活を遂げた森がレースに復帰。泉谷をパッシングして4番手へ。泉谷の後は大塚、高橋、大津が「Betaマウンテン」を抜け、ゴールへと向かった。

画像23: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

そこで、大きく遅れてしまった水上が現れた。

画像24: いよいよGルート突入「K猫落とし」での逆転劇 そして「HINO Death Valley」の死闘

「HINO Death Valley」の入り口で滑落し、破損してしまったという水上のクラッチレバーのクランプ。予備パーツは持っていたものの、ボルトのサイズがまさかの7ミリ。7ミリのレンチを携帯していなかった水上はタイラップで応急措置したものの、簡単に回転してしまい、まともに走れる状態ではなかった。そんな状態であの「HINO Death Valley」を抜けてきたのだ。

トライアルIAS恐るべし……!
吉良祐哉「最終戦も出るからには勝ちたい」

「HINO Death Valley」「Betaマウンテン」を抜けるともう大きな難所もなく、ゴールにたどり着く。ダントツトップで「HINO Death Valley」を抜けた吉良はそのまま優勝を決めた。

画像1: トライアルIAS恐るべし……! 吉良祐哉「最終戦も出るからには勝ちたい」

リザルトは優勝、吉良祐哉。2位、山田礼人。3位、森耕輔。4位、泉谷之則。5位、原田皓太。6位、佐々木文豊。7位、大塚正恒。8位、高橋博。9位、大津崇博。マシントラブルから復帰した水上だったが本来の走りはできず、10位で惜しくも表彰台を逃してしまった。

画像2: トライアルIAS恐るべし……! 吉良祐哉「最終戦も出るからには勝ちたい」

吉良祐哉
「RIEJUの辻本さんに『バイクを貸すからG-NETの最終戦に出てみない?』と誘われたんです。僕もずっとハードエンデューロに興味があって、出てみたかったのですが、他種目からの招待枠はランキング6位以内のライダーまでで、トライアルIASランキング13位の僕はその対象になれなかったんです。ですから日野で優勝してG-NETのランキング20位以内に入ろうと思い、出場しました。

ゼッケン142番で最後尾からのスタートだったので、ヤブサカの渋滞にもしっかりハマってしまいましたし、前半のハードルートは難所が少ないスピードレースでうまく順位を上げることができませんでした。あと一周目にみんなと違うラインからヒルクライムを登ったらコースの矢印が見えなくて迷子になってしまったんです。そんなことでGルートに入った時にはトップの山田選手と15〜20分くらい差がついていたみたいです。

Gルートの中盤にある切り株広場で一回トップに追い付いたのですが、逆光で何も見えなくて置いていかれてしまって。K猫落としの手前にあるガレた登りでトップに出ることができました。でもそのあとはまだ誰も走っていないのでラインが全然なくて、特にHINO Death Valleyの後のキャンバーではすごく苦労しましたね。

バイクは昨年の最終戦で柴田暁選手が乗ったRIEJUのMR RANGER 300というバイクで、タイヤはDUNLOPのAT81EXをフロントはチューブ(0.4kgf)、リアはタブリス(0.2kgf)で使用しました。

ハードエンデューロのレースに出るのは初めてだったのですが、この2週間はこの会場にいる誰よりも練習してきたつもりです。最終戦の四国も出るからには勝ちたいと思っているのですが、田中太一さんや藤原慎也選手もいますので、とても楽しみにしています」

画像3: トライアルIAS恐るべし……! 吉良祐哉「最終戦も出るからには勝ちたい」

山田礼人
「今年も最終戦を待たずにチャンピオンを決めることができました。今年はルーマニアクスですごくメンタルが鍛えられましたし、韓国では長時間のレースも経験してきて、とても成長できた一年だったと思います。

今日のコースは韓国SANLIM EXTREME ENDUROのゴールドクラスよりも難しかったですが、ルーマニアクスのゴールドクラスと比べると半分くらいの難易度で、まだまだ及びませんでしたね。一番難しかったのはやっぱりHINO Death Valleyでしたね。

吉良選手と一緒に走るシーンがたくさんあったんですけど、やっぱりハンパなく上手いですね。特にガレ場で抜かされるんですよ。世界で戦うにはトライアルのテクニックが必須だと思うので、そういうところを吸収させてもらってステップアップしていきたいと思います。

プライベートなことですが、結婚して仕事も独立したので、来年はどういう参戦体制になるかわからないんです。土日に仕事が入ることが増えてしまうので。でもタカヒロ(大津崇博)とか若手も成長してきているので、できるだけ参戦したいと考えています」

画像: 年間チャンピオンを決めた山田には特大のチャンピオントロフィーが授与された。

年間チャンピオンを決めた山田には特大のチャンピオントロフィーが授与された。

画像4: トライアルIAS恐るべし……! 吉良祐哉「最終戦も出るからには勝ちたい」

森耕輔
「ハードルートの一周目はガレキャンバーの手前でトップに立てて、そのままトップで周回したのですが、二周目のヤブサカが直登できず、そこでアヤトくん(山田礼人)とタイスケくん(水上泰佑)にパスされてしまいました。その後、新エンデュキャンバーでタイスケくんを抜いて2番手でGルートに入りました。その後一回トップに出たんですけど、吉良くんに先に行かれてしまいましたね。

HINO Death Valleyで吉良くんのすぐ後ろにいたんですけどプラグが死んでしまって、入り口で預けたリュックを取りに戻っている間に大きく順位を落としてしまいました。その後のBetaマウンテンで原田くんがミスってやり直しているところをうまく一発で登れたので3位に入ることができました。

アヤトくんとタイスケくん、原田くんとは一緒に走る機会が多かったのですが、やはり海外レースを経験してきただけあって、スキルもすごく高いし、状況判断が早くて正確で、G-NETのレベルの高さを感じることができて、すごく楽しかったです。そこに吉良くんや藤原くんのようにトライアルIASの選手たちが絡んできて刺激になってくれると、どんどん面白くなっていくと思います。

仕事の都合でG-NETフル参戦はできないのですが、気持ちとしては出られるレースは出たいと思っています」

森はこのレースで20ポイントを獲得し、G-NETランキングは20位に滑り込んだ形になったが、最終戦四国は見送る方向で考えているとのこと。

トライアルライダーの参戦が日本ハードエンデューロにもたらすもの

今回の日野は、近年のG-NETの中でも特に難易度が高かった。その理由は、ルーマニアクスのゴールドクラスに参戦してきた山田が今年春の日野ハードで最難だったセクション「エムスリー」を振り返り「ルーマニアクスでは移動路」と評したこと。それを聞いた日野ハードのスタッフたちは「それならば、せめて日野ハードのG-NETクラスだけでも難易度を高く設定し続け、世界に通用するライダーを育てたい」と奮い立ったのだ。今回「HINO Death Valley」のコースレイアウトを担当した新館氏は「今後の日野ハードは今日のコース難易度を最低レベルにしてレイアウトしていきたい」とコメントしている。

そんな日野だからこそ、トライアルIASの吉良が優勝できたという考え方もある。吉良のコメントにもあったが前半の「ハードルート」のようなスピードコースでは、トライアルライダーが成績を出すのは難しい。もしもチーズナッツパークの「Mt.Mokey Scramble」や「ブラックバレー広島」のような比較的難所の少ないG-NETだったら、どうなっていただろうか。

とはいえ、トライアルIA出身の高橋博が怪我でその王座を明け渡すまで6年間王座を守ってきたことも、トライアルスキルがハードエンデューロに役立つことの証明になっている。藤原、柴田、吉良……トライアルライダーたちがハードエンデューロに参戦するこの流れがもっと加速し、G-NET黒ゼッケンライダーたちと切磋琢磨して成長し合い、そしてその中から田中太一に続いてエルズベルグロデオやルーマニアクスを完走するライダーが出てきたら……。その時こそ日本のハードエンデューロが世界にまた一つ近づいたことになるのではないだろうか。

画像: ハードエンデューロのトップライダーたちからお祝いの炭酸シャワーを浴びせられる吉良。初出場にして、すっかりハードエンデューロライダーの仲間入りを果たした。

ハードエンデューロのトップライダーたちからお祝いの炭酸シャワーを浴びせられる吉良。初出場にして、すっかりハードエンデューロライダーの仲間入りを果たした。

画像: 自己最高位の9位に入った大津はまだ22歳の若手最注目ライダー。第2戦、第3戦は不参加、第4戦はマシントラブルでノーポイントだったが、残りの2戦だけでランキング18位につけている。「来年はもっとバリバリ行きます!」とコメント。

自己最高位の9位に入った大津はまだ22歳の若手最注目ライダー。第2戦、第3戦は不参加、第4戦はマシントラブルでノーポイントだったが、残りの2戦だけでランキング18位につけている。「来年はもっとバリバリ行きます!」とコメント。

画像: 今回初の試み「WORLDクラス(FIMタイヤ装着)」で優勝したのは濱原颯道。「僕はハードエンデューロ初めて2年くらいなんですけど、FIMタイヤがワールドスタンダードだと勝手に思っているので、変な目で見ないでください。JSBのランキング招待枠で最終戦も出させてもらいますので、またよろしくお願いします」とコメント。

今回初の試み「WORLDクラス(FIMタイヤ装着)」で優勝したのは濱原颯道。「僕はハードエンデューロ初めて2年くらいなんですけど、FIMタイヤがワールドスタンダードだと勝手に思っているので、変な目で見ないでください。JSBのランキング招待枠で最終戦も出させてもらいますので、またよろしくお願いします」とコメント。

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