9月6日(土)、アメリカ・ノースカロライナ州にあるシャーロット・モーター・スピードウェイにて、2025 AMAスーパーモトクロス選手権(SMX)が開幕しました。
注目ポイント
・他とは違う、SMXの独自ルール
・下田丈は繰り上げ3位、Moto2は雷雨により中止
・下田の強みが発揮されたMoto1
Credit: Feld Motor Sports
レースを左右する、SMXの独自ルールに注目

AMAスーパーモトクロス(SMX)は、スーパークロス・プロモトクロス選手権のプレイオフとなる大会です。スーパークロスとプロモトクロスの総合ポイントランキング上位20名が自動的にシード権を得て出場できる仕組みで、レース形式は20分+1周の2ヒート制。また、コースはスーパークロスとプロモトクロス両方の特徴を合わせたレイアウトとなっています。
SMXは全部で3戦あり、その総合ポイント数でチャンピオンが決まります。ポイントスケールが他のレースとは異なり、第2戦で2倍、第3戦で3倍とポイント数が増えていきます。誰がチャンピオンになるのか、その行方は最終戦まで見逃せません。
なお、2023年から始まったSMXですが、下田はこれまで2023年を総合2位、2024年を総合4位で終えています。今シーズンもSMXチャンピオン候補の1人として注目を集めています。
下田は3位獲得、転倒から怒涛の追い上げで攻めの走りを見せる
タイムドクオリファイでは、タイ・マスタープールが1分56.957秒でトップ通過。ヘイデンディーガン、リーヴァイ・キッチンがそれぞれ1秒ほどの差で続き、下田は2分00.103秒、トップと4秒ほど差が開き13位で通過しています。
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x.comスタートは22台が二手に分かれ、それぞれのゲートから飛び出し、2コーナー後に合流する独特なスタイルです。Moto1では、スタートで飛び出したセス・ハマカーがレースをリード。オースティン・フォークナー、コール・デイビスが後に続き、下田は4番手あたりから追い上げます。1周目ですぐに2番手に浮上すると、レース開始3分が経ったころに下田がハマカーを捉え、攻防戦を繰り広げます。そして横並びになる接戦の中、下田がコーナーでハマカーのインに入ろうとした際に内側にあったブロックに接触。転倒を喫して12番手までポジションを落としてしまいます。しかし下田はここで勢いを落とすことはなく、その後すぐに復帰して追い上げます。

トップは変わらずハマカー。2番手にはスタートで出遅れたディーガンがつき、3番手にキッチンという順位でレースが進行します。ディーガンとハマカーの差は10秒ほど開いていましたが、ディーガンは周を重ねるごとに差を縮め、残り2周というところでトップに浮上。一方、下田は残り時間6分を切る頃に4位にまでポジションを上げ、前を走るキッチンと2〜3秒差にまで迫ります。しかしタイムアップとなり4位でフィニッシュ。トップ3台は1位ディーガン、2位ハマカー、3位キッチンという順位でチェッカーを受けました。
なお、レース後、ハマカーが赤旗が振られている中ジャンプしたとしてチャンピオンシップポイントを5点減点。キッチンも赤旗が提示されている区間でジャンプをし、かつ追い越しを行ったため、チャンピオンシップポイントの5点減点と1順位降格というペナルティが下されました。これによって順位が変動し、下田は3位となりました。
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x.comMoto2は、雷雨によりレース開始時間に遅れが発生。天候の回復を待ちましたが、落雷が継続していることと日没が迫っていることにより中止となりました。総合結果はMoto1のリザルトに基づいて決定され、1位ディーガン、2位ハマカー、3位に下田という順位で今大会を終えています。

450クラスでは、ジェット・ローレンスが荒れた路面コンディションの中、スタートからゴールまで一貫してリードを保ち、開幕戦で勝利を収めました。一方、スタート後2位にイーライ・トマックがつき、3番手のチェイス・セクストンが追いかける展開となります。しかしトマックが転倒したことにより順位が入れ替わり、セクストンに前を譲ることに。結果、ジェット、セクストン、トマックという順でゴール。Moto2は250クラスと同様中止となったため、Moto1の結果が総合順位となりました。
序盤の瞬発力と追い上げ、下田の強みが発揮されたMoto1

下田は今シーズンのプロモトクロス選手権を通して、出遅れても追い上げる粘り強さなど元々持っていた強みに加えて、スタートで前に出る安定性や序盤で後方を引き離す速さを身につけてきました。SMXでもその強みは発揮され、Moto1ではスタートで抜け出し2番手に浮上、開始3分でトップ争いを繰り広げました。また、転倒後も約10分ほどで12番手から4番手にまでポジションを上げ、最後まで3位のキッチンに迫り続ける粘り強さが見られました。
また、セクションごとのタイムを見ると、8つ中3つのセクション(S1・6・8)でファステストラップを記録しています。さらに、全体のベストラップタイムを見ると、今回優勝したディーガンよりも2秒速く、平均タイムでもディーガンが2分00.506秒、下田が2分01.517秒と大差はありません。今回は転倒があり惜しくもトップに立つことができませんでしたが、実力の高さが改めて示されました。第2戦でのトップ争いに期待がかかります。
次戦は9月13日(土)、アメリカ・ミズーリ州にあるザ・ドーム・アット・アメリカズ・センターにて行われます。