モトクロスは通常、2ストローク125cc/250cc、4ストローク250cc/450ccという排気量区分で競われることが多く、メーカーはこの枠組みの中でのマシン開発にしのぎを削り、最適解を模索してきた。しかし、イタリアのBetaは、その枠組みの外側に広がる「楽しさ」と「速さ」の可能性に目を向けた。それが新設されたモトクロスライン「RX」シリーズのフラッグシップ、「RX350 2T」である。神奈川県の人の森工場特設コース、ケゴンにて和泉拓がレビュー
画像1: モトクロスの常識を覆す「350cc 2ストローク」Beta RX350に乗った

Beta
RX350

なぜ350ccなのか?

現代の4ストローク450ccエンジンを搭載するモトクロッサーは速いが、重く、パワーがありすぎて多くのアマチュアライダーには扱いきれない側面がある。一方で2ストローク250ccは軽快だが、パワーバンドを維持するスキルが求められ、コーナー立ち上がりのトルクの厚みでは4ストロークに劣る。
「4st450のトルクと、2st250の軽さ。その両方が欲しい」。そんなライダーのわがままな夢を具現化したのが、Betaの新しい2ストロークモトクロッサーRX350 2Tだ。すでに市場はKTMが2スト300ccで切り拓いているが、モトクロッサーの車体に350ccという排気量はいまだ未知の領域だ。スペックだけを見れば、じゃじゃ馬どころか、プロクラスすら拒絶するようなモンスターマシンを想像してしまう。しかし、今回Off1でのインプレを担当してくれたストレンジモーターサイクル代表AD/tacこと和泉氏の評価は逆だった。

画像: なぜ350ccなのか?

「僕の予想通り、いや予想以上に『楽なバイク』です。昔の2ストローク500cc(CR500やKX500)のような、いつ振り落とされるか分からない恐怖感はありません。むしろ、全域でトルクが分厚すぎて、逆に平和です」

350ccという排気量がもたらすのは、ピーキーなパワーではなく、圧倒的なトルクの厚みだ。
「神奈川県のケゴン(人の森社特設会場)で自由に走ってみましたが、登りも下りもほぼ全て『5速(トップギア)』で走れてしまいました。3000回転も回っていれば十分なトルクが出ていて、そこからアクセルを開ければ、シフトダウンなどしなくても、怒涛のトルクで車体を前に押し出していく。半クラッチ? ほとんど使いません」

トルク型2ストローク

和泉氏はその乗り味を「4ストロークの700ccに乗っているようだ」と表現した。
「旧世代2ストローク特有の『パキーン!』と回る軽さとは少し違います。上まで回しても頭打ち感はなく、どこまでもフラットにパワーが出ていく。250ccのように回転数でパワーを稼ぐ必要がないので、結果的に高いギアを使って、低い回転数で走ることができる。だから『優しい』と感じるんです」

画像: トルク型2ストローク

90〜00年代の認識で言えば、2ストロークと言えば狭いパワーバンドにどっかんパワー。4ストの低速から立ち上がるトルクフルな性格と真逆で、上級者だけに許されるマシンという印象だろう。昔はモトクロッサーがすべて2ストだったことも、そのイメージに一役買っているかも知れない。だが、今は2ストと言えばむしろエンデューロバイクのイメージが強い。過激な低速トルクやレスポンスに振り回されがちな4ストと違って、エンジンの一発一発に角が無くマイルドで乗りやすい。開けていないとすぐにプラグがかぶってしまう、というようなイメージはもはや過去のものとなっており、アイドリングより低いデロデロッとした極低速で走ってもそのまま前進し続けてしまう。この新世代2スト特有のトルクフィーリングを、さらに350ccもの大排気量で高めたのがRX350である。

「モトクロスライダーだったらコーナーを立ち上がってすぐにジャンプ、というような助走距離の取れないようなシチュエーションでも、3速、なんなら4速のままで、アクセルひとひねりで飛んでいけるのでしょう。シフト操作の忙しさから解放され、ただライン取りとアクセルワークだけに集中できる。これは、ある意味で究極のイージーライド・マシンかもしれません」と和泉。

「使い道やレースのクラス、そんなことはどうでもよくなるくらい、理屈抜きで面白いんです。このバイクは、レースに勝つための道具という枠を超えて、『オフロードバイクを操る根源的な快楽』を追求しています」

どの回転域からでも優しい大トルクで飛んでいける魔法のマシンRX350は「軽い大排気量車」として、最高の相棒になるはずだ。

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