AMAスーパークロスは、早くも後半戦。多くのトップライダーがケガで脱落していくなか、下田丈はクリーンで、安定したレースを展開し続け、いよいよ日本人初のスーパークロス2位へ到達。全力で走りきった15分だった。
攻めの姿勢をみせたヒートレース
タイムプラクティスから、好調だった下田丈はヒートレースのスタートも成功。レースは、ミッチェル・オルデンバーグ、ジェット・ローレンスとの三つどもえとなった。火曜日のレースを棄権したほどのケガを負っているジェットだが、スキルの高さをみせてパッシングと巧みなブロックで3人の戦いを膠着状態へ持ち込む。下田は、フープスからリズムセクションへ流れるポイントをパッシングポイントと定めて最終ラップに二人をゴボウ抜きしかけたのだが、わずかにコースアウト。3番手でヒートレースを終えた。下田が、ここまで激しい攻めを見せることも少なく、好調ぶりが垣間見えた瞬間であった。
トップ、クレイグを追う下田
メインレースは、イン側からのスタート。3番手で立ち上がるという、好スタートを決めた下田の前で、コルト・ニコルズが転倒。これを危なげなく避けた下田は、クレイグ、オルデンバーグ、下田の順で序盤を奮闘する。
早い内にオルデンバーグを仕留め、下田は単独2番手に浮上。10秒ほどのクレイグとの差を追い続け、また後ろから強烈に追い上げてくるニコルズとジェットから逃げ続けた。ジェットとニコルズは途中で合流、はげしくバトルを展開するもののジェットのペースはあがらず。抑えられたニコルズもペースを上げられない状態が続き、クレイグ、下田との差は縮まらない。
しかしジェットのブロッキングもラッパーたちに阻まれ、ニコルズが前へ。そのままクレイグ、下田、ニコルズのオーダーでフィニッシュラインを越えた。下田は、ポディウム上で「Actual Podium」と表現、実力でしっかり手中に収めたポディウム、そして日本人初の2位を飛びきりの笑顔で喜んだ。
スーパークロスにおけるこれまでの日本人の記録は、2005年フェニックスラウンドにおける成田亮の3位だった。これを16年ぶりに下田丈が塗り替え、日本人初の2位へ。これから先は、下田丈の記録が日本の記録である。