全日本ハードエンデューロ選手権G-NET2022の第2戦が、福島県チーズナッツパークで開催された。7月にFIMハードエンデューロ世界選手権「ルーマニアクス」参戦を控えている山本礼人が開幕戦に続いて完勝。順調な仕上がりを見せた

Mt. Monkey Scramble 2022
日時:2022年6月5日(日)
会場:福島県チーズナッツパーク

チーズナッツパークでのG-NETレース「Mt. Monkey Scramble(モンスク)」は、ハードコースの養生のため、数年に一度しか開催されない(2018年、2019年の連続開催は異例)。この貴重な機会を逃すまいと多くのライダーがエントリーした。昨年のG-NETランキング9位までに入った黒ゼッケンライダーの中では、#8藤原慎也のみ、全日本トライアル選手権と日程が被ってしまったために不参加だったが、他8名は全員が参戦した。

また、このレースではG-NETライダーが走るチャレンジクラスの他に、エンジョイクラスが設定された。エンジョイクラスのライダーは難易度の低い周回コースを走りながら、自らの判断でチャレンジコースに挑むことが許され(一部立ち位置禁止のセクションもあった)、上のクラスを目指すライダーの腕試しの場としても最適なレースフォーマットとなっていた。

極上の土で、ヒルクライム合戦

コースレイアウトはチーズナッツパークの常設コースの周囲を取り囲む山を使い、ヒルクライムとダウンヒルを繰り返しながら1周する設定。

下見を終えたトップライダーが口を揃えて「要注意」と評したのは第3セクション「ゲコタ坂」。IRCのハードエンデューロ向けガミータイヤ「GEKKOTA(ゲコタ)」の名を冠するだけあって難易度が高く、スタートしてすぐに待ち構えているため、最初の渋滞ポイントになるだろう、とのこと。

そう、このレースは先にも書いた通り、エンジョイクラスのライダーがチャレンジクラスのコースに挑戦することが許されている。つまりただでさえ難易度の高いセクションなのに、エンジョイクラスのライダーが失敗してラインを塞いだり、土を掘ったりしてしまうと、どんどん難易度を増していく、ということなのだ。

さらに面白いのは、先にも触れた通り、チャレンジクラスで使用されるセクションは3年間も養生されたコースという点。オフロードバイクは大きなブロックがついたタイヤで土を掻いて走るため、頻繁に走るとコースは荒れる一方だ。コース幅が広く、斜度もそれほどないモトクロスコースならば重機を入れて整備することもできるが、こういった山を利用したコースは手作業で修復するしかなく、莫大な手間と費用がかかる。

今回のモンスクもセクション上にはほとんど走った跡がなく、極上の土質が出迎えてくれた。しかしそれは同時にラインが読みづらく、土がフカフカでよく掘れる。さらにキャンバーは崩れやすく、根っこも現れやすい。そんな地形の変化にも柔軟に対応することが求められる。

後半には沢セクションもいくつか存在するが、勝敗の決め手は土路面での登坂力になると思われた。

画像: レース前日の土曜日にはパドックが開放されるため、多くのライダーは歩いて山に入り、コースの入念な下見を行う。こちらは山本礼人、水上泰佑、原田皓太、佐々木文豊、大塚正恒、泉谷之則、ZERO、佐伯竜ら多くの有力ライダーを含んだ大下見部隊

レース前日の土曜日にはパドックが開放されるため、多くのライダーは歩いて山に入り、コースの入念な下見を行う。こちらは山本礼人、水上泰佑、原田皓太、佐々木文豊、大塚正恒、泉谷之則、ZERO、佐伯竜ら多くの有力ライダーを含んだ大下見部隊

画像: 鈴木健二はエルズベルグロデオに持ち込んだマシンと同じデカールを用意。このレースが終わったら、いよいよエルズベルグロデオへの挑戦が待っている

鈴木健二はエルズベルグロデオに持ち込んだマシンと同じデカールを用意。このレースが終わったら、いよいよエルズベルグロデオへの挑戦が待っている

画像: ハードエンデューロでは珍しく、モンスクには車検が存在する。しかしその目的は整備が行き届いているかのチェックではなく、ゼッケンが読みやすいかの確認だ。機械に頼らない目視での周回チェックのため、ガムテープなどで簡易的に作られた読みにくいゼッケンは弾かれる

ハードエンデューロでは珍しく、モンスクには車検が存在する。しかしその目的は整備が行き届いているかのチェックではなく、ゼッケンが読みやすいかの確認だ。機械に頼らない目視での周回チェックのため、ガムテープなどで簡易的に作られた読みにくいゼッケンは弾かれる

画像: 開幕戦の日野では、黒ゼッケンライダーはG-NETクラス最後尾からのスタートだったが、モンスクでは最前列に。1分おきに3台づつがスタートし、それぞれのスタート時間から3時間30分でレース終了を迎えるという特殊なルールとなっている

開幕戦の日野では、黒ゼッケンライダーはG-NETクラス最後尾からのスタートだったが、モンスクでは最前列に。1分おきに3台づつがスタートし、それぞれのスタート時間から3時間30分でレース終了を迎えるという特殊なルールとなっている

画像: 今年から始まった黒ゼッケンライダーのショータイム。各ライダーが表彰台の前でポーズを取り、そこから技を披露してスタートグリッドに向かった。写真は#7大塚正恒

今年から始まった黒ゼッケンライダーのショータイム。各ライダーが表彰台の前でポーズを取り、そこから技を披露してスタートグリッドに向かった。写真は#7大塚正恒

まさかの周回タイム20分台、順位のわからない混沌レース!

実はこのモンスク、1つの列がスタートしてから次の列がスタートするまではきっかり1分間隔となっている。そのため、全ライダーがスタートするのに30分以上の時間を要する。そして、それぞれのスタート時間からタイムが計測されるため、全ライダーがゴールしてみないと誰が優勝なのかわからない、という怖さがある。

1列目でスタートしたのは#1山本礼人、#2鈴木健二、#3原田皓太の3人。前評判で難所と言われた「ゲコタ坂」を、原田、山本、鈴木の順で登っていった。

画像1: 原田皓太/八塔寺老人倶楽部with MITANI S3

原田皓太/八塔寺老人倶楽部with MITANI S3

続いて#6佐々木文豊、#4水上泰佑、#5高橋博。セクションがほぼクリーンな状態の1周目でも、黒ゼッケンの数台が途中で止まってしまい、下まで降りて登り直していた。

その後、先頭を走ったのは佐々木。山本とともにルーマニアクスに挑戦する佐々木は長時間走るトレーニングを積んできており、今大会は最初から全開で行くと決めていたとのこと。1周目を20分50秒で終え、トップで2周目に突入。2周目以降は腕上がりに悩まされペースダウンしてしまったが、気合いの走りを見せた。

画像: 佐々木文豊/アドブ

佐々木文豊/アドブ

G-NETでは珍しく、トップが30分以内に1周してしまう異例のレースとなった。こうなると強いのが、鈴木だ。レース前日の土曜日にヤマハ試乗会を開催している鈴木は下見ができないため、いつもぶっつけでレースに挑む。そのため、このように5周以上するようなコースでは、後半になってコースを覚えると異常なペースアップを見せて追い上げてくるのが、鈴木の勝ちパターンだ。今大会はエルズベルグロデオを想定してムースを入れたDUNLOP MX14と、チーズナッツパークの土質の相性に悩まされ、キャンバーで苦戦を強いられてしまい、追い上げは不発。

画像: 鈴木健二/bLu cRu Blue Riders with YAMALUBE

鈴木健二/bLu cRu Blue Riders with YAMALUBE

山本がトップに立ったのは2周目だった。案の定、2周目は各セクションで渋滞が多く発生しており、セクションを抜けるのが困難な状況に。しかし山本はそんな2周目を1周目とさほど変わらない24分32秒というタイムで周回。なんと4周目には1周目を上回るラップタイム22分51秒を記録、そしてベストタイムとなった21分4秒を終盤の7周目にマークしている。

画像1: 山本礼人/BIVOUAC大阪withRG3RACING

山本礼人/BIVOUAC大阪withRG3RACING

そんな山本を追走していたのは、まさしく上の写真ですぐ後ろにつけている木村吏だった。先にも説明した通り、モンスクは時間差スタートというレースフォーマットのため、レース中に順位が非常にわかりづらいという特徴がある。木村は#12をつけていたものの、スタート順は決して前ではなく、真ん中あたりからのスタートとなっていた。そのため、ここで一緒に走っていても、山本と木村のスタート時間は10分ほどの差があり、周回が異なっていた。

画像1: 木村吏/TOA

木村吏/TOA

木村はG-NET黒ゼッケンの獲得歴こそないが、2018年ランキング14位、2019年12位、2020年11位、2021年12位と、常に黒ゼッケンを脅かす存在で居続けているライダーだ。しかも2019年のモンスクでは、高橋、鈴木に次いで3位に入る成績を収めているほど、このチーズナッツパークを得意としている。2001年式のホンダCR250にマキシスのFIMタイヤという個性派。エルズベルグロデオにもチャレンジ経験(2019年/予選敗退)を持ち、今年も石戸谷蓮のサポートで現地へと赴く。

画像: 高橋博/チームベータIRCエンジョイズ

高橋博/チームベータIRCエンジョイズ

V6チャンピオン高橋博も怪我から復帰し、じわじわと調子を取り戻しつつある。誰よりも長い時間を下見に費やし、若手育成にも注力するベテランだ。

画像: まさかの周回タイム20分台、順位のわからない混沌レース!

結果は優勝がただ1人、8周した山本礼人。2位が7周で木村吏。3位が原田皓太。4位、高橋博。5位、鈴木健二。6位、佐々木文豊となった。

画像2: 山本礼人/BIVOUAC大阪withRG3RACING

山本礼人/BIVOUAC大阪withRG3RACING

「今回は佐々木さんが1周目から全開でトップを走っていたのですが、ラインが全くついていないので、トップを走るのってすごく疲れるんですよ。なので僕は後ろからついていって2周目からペースを上げる作戦で行きました。先行を許してしまうリスクはありましたが、昨日コースを下見して、周回数も多くなることが予想できたので、取り戻せると思いました。

来週はG-NET代表としてJNCC鈴蘭に出させていただき、今月末にHIDAKA ROCKS(G-NET Rd.3)、あと7月10日にトライアルの中部選手権に出ます。そしたらいよいよルーマニアクスなので、全力で取り組んでいきます!」

Off1.jpでは山本のルーマニアクスへの挑戦を連載形式で追いかけている。ルーマニアにも帯同する予定なので、ぜひ注目して欲しい。

画像2: 木村吏/TOA

木村吏/TOA

「スタートは真ん中くらいからだったのですが、序盤でうまく抜け出すことができました。1周目で電動ファンが回らなくなってしまって焦りましたが、移動路はなるべくアクセルを開けないようにしつつ、水温を見ながら調整して走っていました。さらに、途中でキャブレターが詰まってしまうというトラブルもあったのですが、旧車のCRでも戦えることが証明できて嬉しいです。リアタイヤはマキシスのFIMタイヤで、7314Kというコンパウンドの柔らかいものを使いました。今年はG-NETは全戦参戦する予定なので、初の黒ゼッケンを目指して頑張ります」

なお木村は仕事の都合がつけば、10月のSea To Sky(トルコ)へ参戦を考えているとのこと。

画像2: 原田皓太/八塔寺老人倶楽部with MITANI S3

原田皓太/八塔寺老人倶楽部with MITANI S3

「自分が何位なのか全くわからないまま走っていました。実はレース中盤、4周目くらいのゲコタ坂でステップが折れているのに気づいて、ステップがないままほとんど1周しました。ピットインして仲間に手伝ってもらいながら修理して、なんとか3位に入ることができてよかったです」

原田は2018年に山本とともにSea To Skyに挑んでいる。今後も海外参戦を期待したいライダーの1人だ。

今回のピックアップライダー

画像: JECやJNCCを中心に活動してきたベテラン、小菅浩司(モトクラブオープンエリア)がエントリー。後ろから高橋につつかれ「もう2度と来ないぞ」と漏らしながらも3周を周回した

JECやJNCCを中心に活動してきたベテラン、小菅浩司(モトクラブオープンエリア)がエントリー。後ろから高橋につつかれ「もう2度と来ないぞ」と漏らしながらも3周を周回した

画像: 2020年のランキング7位、石井貴行(KTM群馬 グンマーズ♪)が久しぶりのG-NET参戦。1周目最後のセクションで手首を痛めてしまい、周回したところでレースを離脱した

2020年のランキング7位、石井貴行(KTM群馬 グンマーズ♪)が久しぶりのG-NET参戦。1周目最後のセクションで手首を痛めてしまい、周回したところでレースを離脱した

画像: 山本、佐々木とともにルーマニアクスに参戦する岡庭大輔(FUNAI RACING)。トライアル練習で身につけたテクニックを活かして2周

山本、佐々木とともにルーマニアクスに参戦する岡庭大輔(FUNAI RACING)。トライアル練習で身につけたテクニックを活かして2周

画像: 2位に入った木村吏の父・木村聡(K塾 日立ゲロ部)もチャレンジクラスに出走。CRのデカールを貼ったKTMでしっかり2周を周回している

2位に入った木村吏の父・木村聡(K塾 日立ゲロ部)もチャレンジクラスに出走。CRのデカールを貼ったKTMでしっかり2周を周回している

G-NET次戦は6月25日、26日の第3戦HIDAKA ROCKS(北海道日高町)と間近に迫っている。

G-NET2022 Rd.2 Mt. Monkey Scramble リザルト

PosNoTeamNameLapTotal TimeBest Time
1001BIVOUAC大阪withRG3RACING山本 礼人83:15:040:21:04
2012TOA木村 吏73:12:000:22:01
3003八塔寺老人倶楽部with MITANI S3原田 皓太73:12:530:23:51
4005チームベータIRCエンジョイズロッシ高橋73:24:300:24:26
5002bLu cRu Blue Riders with YAMALUBE鈴木 健二63:08:070:22:27
6006アドブ佐々木 文豊63:22:560:20:50
7094三輪 嘉彦52:50:360:28:15
8004ダートバイクZIM水上 泰佑53:18:300:29:06
9007チームワーロック大塚 正恒53:22:070:29:02
10043バイクヤードキヨ¥デューロ53:24:000:32:02
11037チームミワコング西川 輝彦53:26:200:28:07
12011菊池 里士53:29:590:35:05
13054八塔寺老人倶楽部 青年部久保山 満生43:27:060:38:41
14009ハスクバーナショップヒラタ自動車 iRC UnitedOIL JAPAN泉谷 之則32:45:150:39:16
15893モトクラブオープンエリア小菅 浩司32:54:180:43:34
16013葛城組+Sat"s+シンコー林 宏志32:55:470:51:09
17114Nagmotors左近山登山部withTNP森野 友太33:28:040:52:20
18055FUNAI RACING阿部 雄大33:29:040:52:38
19035ptt racing with shinko jerry's池町 佳生21:51:450:37:52
20052K塾 日立ゲロ部木村 聡22:51:461:09:26
21039Ridge Cycle岩鬼 久重22:57:271:13:31
22060mxbuild with iRC佐伯 竜22:59:411:28:44
23047FUNAI RACING岡庭 大輔23:08:141:27:37
24073須藤 正和23:09:461:20:41
25024KTM群馬 グンマーズ♪石井 貴行11:17:501:17:50
26038中部HEDトライアル部宮良 康平11:37:071:37:07
27100ガムテの会山本 慎二11:40:071:40:07
28031グンマーズ井田 哲史11:51:431:51:43
29050TEXAS RIDING SCHOOL菊地 直12:09:012:09:01
30279ストレンジ Team月曜会遊佐 圭伸12:10:552:10:55
31098K's racing KTM群馬山崎 貴弘12:19:432:19:43
32075ガレージ風見鶏関澤 直人12:20:092:20:09
33090つーたらレーシング TUTC根本 悠12:21:552:21:55
34092K's Racing羽鳥 賢太12:28:392:28:39
35106K塾日立ゲロ部山田 雄一郎12:37:372:37:37
36095K's Racing森 聖也12:52:382:52:38
37065堀田モータース菅原 栄13:09:553:09:55
38110白井HED本格派二宮 遼太郎13:13:503:13:50
39250デコボコフレンド遠藤 明宏13:15:113:15:11
40023Tokyo off roadphil bradshaw13:27:183:27:18
41044けもの道フレンズ大久保 令士13:27:443:27:44
DNF79ジャスト自動車整備高村 剛明13:34:493:34:49
DNF15豊橋技科大二輪部OB木村 和志13:39:503:39:50
DNF77K塾日立ゲロ部園原 宏13:40:393:40:39

G-NET2022 ランキング(第2戦終了時点)

ランキング名前Rd.1Rd.2Rd.3Rd.4Rd.5選抜戦合計
1山本 礼人252550
2原田 皓太202040
3ロッシ高橋(高橋博)141832
4水上 泰佑181331
4鈴木 健二151631
6佐々木 文豊131528
6木村 吏62228
8ZERO2222
9¥デューロ(永原達也)101121
10菊池 さとし11920
10大塚 正恒81220
12泉谷 之則12719
13三輪 嘉彦41418
14西川 輝彦71017
15ぶっ刺し先生(藤原慎也)1616
16大津 崇博99

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