SHOWAが一般に市販している最高級モトクロス用サスペンションキットが、このA-KITだ。実際にAMAのHRCライダーが使っているサスペンションと同じ基本構造を持つこのサスペンションは、年々進化を続けている。今回はそんな最新のA-KITを思う存分、試乗インプレッションさせていただく機会を得た

ワークスマシンの感覚に近い

今回、このA-KITの試乗インプレッションをお願いしたのは、全日本モトクロスの元ファクトリーライダーであり、現在はMXウエアブランド「seven」のディストリビューターである辻健二郎。

画像: サグ出しと、ハンドル回りのセッティングだけして、走り出す辻

サグ出しと、ハンドル回りのセッティングだけして、走り出す辻

まずテストしたのはCRF450R('21)にA-KITを装着したマシン。テストコースは埼玉県のオフロードヴィレッジの本コースだ。「バイクに乗るのは4ヶ月ぶりなんです」と言う辻だったが、試乗を開始すると間もなく、ぐいぐいとスピードを上げていった。

「久しぶりのライディングでしたが、自分でも驚くほど早くバイクに慣れることができました。コースの入り口に向かいながら、パドック内を徐行している時から低速の乗り心地の良さを感じていたのですが、コースに入って徐々にペースを上げていっても、『これなら、まだまだイケるぞ』という気持ちになりました」と辻。

この日のオフロードヴィレッジは完全なドライコンディション。しかも強風のため、乾いた路面にうっすらと砂が浮いていて、コーナー進入出口などでタイヤのグリップが失われがちだった。

画像1: ワークスマシンの感覚に近い

「低速で乗り心地が良いサスペンションというのは大概、スピードをあげると踏ん張るポイントまで沈み、ストロークが少なくなって接地感も低下してしまいます。しかしA-KITは徐々にスピードを出していっても低速の心地よい乗り心地がそのまま続いてくれたので、どんどんペースを上げていくことができました。ギャップを通過するときやちょっとしたジャンプの着地など、軽い衝撃を受けるようなシーンでも、程よいストロークがあり、踏ん張りも確認できました」

画像2: ワークスマシンの感覚に近い

「さらにスピードを上げていって驚きました。大きいジャンプの着地や、ハイスピードコーナーでギャップを通過した時など、サスペンションに素早いストロークが求められるような時も、ガツンと路面に引っかかるような動きやマシンの揺れは一切なく、マシンを前へと押し出してくれたんです。この安定感は、スタンダードのサスペンションでは感じたことのない、ワークスキットの感覚です。

例えば、ハイスピードでギャップを通過するときに、不意にリアタイヤがガツンと当たり、跳ね上げられるような感覚ってありますよね。大きいジャンプの着地で衝撃を吸収しきれずに路面のグリップを失い、バランスを崩しそうになるような。そういう、サスペンションの限界を超えるようなショックを感じてしまうと、意識的に自分の中でセーブするようになり、構えてしまうのですが、A-KITはそういうことが全くなかったので、器の大きさを実感できました」

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なお、この日は辻の友人のライダーがスタンダードのCRF450Rを持ち込んでおり、比較試乗をすることができた。「硬めのカチッとしたセッティングで自分好みのサスペンションでしたが、A-KITを知ってしまった後に乗ると低速での乗り心地は若干厳しいものがありましたし、ジャンプやハイスピードでの路面追従性でも、引っ掛かるような動きが気になってしまいました」と辻。

画像4: ワークスマシンの感覚に近い

なお、販売店のBLITZ-SCHENELL(ブリッツシュネル)では、スプリングレートを変更することでCRF250R(2022)にも対応している。

下田丈がAMAで使っているサスペンションと
同じ内部構造を持つA-KIT

ここからは、どのようにしてこの高性能が実現しているのか、A-KITの構造について触れていこう。まずはフロントフォークから。

画像1: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

シリンダーのサイズをスタンダードφ25からφ27に拡大。それに合わせて専用ピストンを採用している。これによって加圧ダンパーの油量が増え、より大きな力を吸収できるようになる。

画像2: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

ダイヤフラム、スプリングシール、ロッドパイプとシリンダーの間、オイルシール下などについてるブッシュの材質を変更。専用開発された低フリクション材を使用。

画像3: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

内ブロー構造を採用することでダイヤフラムを小さくすることが可能に。さらにスタンダードではアルミを使っているが、樹脂製にし、軽量化も実現している。これにより減衰の応答性がよくなる。

画像4: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

アウターチューブの内側にはマイクロディンプル加工が施されている。さらに面精度を向上、特濃カシマコートとテフロンコートを掛け合わせた特殊加工で、最適なフリクションを実現している。

画像5: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

上の写真はリアショックだが、フロントフォークと同様のマイクロディンプル加工が、施されている。こちらで、内側の加工の様子を確認することができる。

画像6: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

ロッドパイプやシャフトにも同様の加工が施されている。一見、ザラザラしているようにも見えてしまうが、ミクロレベルで均等に加工されており、ツルツルしている滑らかな状態よりもフリクションが少なくなるという。

画像7: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

インナーチューブ表面はスーパーフィニッシャーで研磨した後、表面をクロス加工。フリクションが下がるようにわざと傷をつける。その上から多層チタンコーティングをかけ、一番上の1ミクロンだけエメラルドコーティングし、色をつけている。

画像8: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

トップ部はトラブルの少ない凹構造。これはAMAライダーからの意見で採用されているのだという。なお、コンプアジャスターなどのセッティング単位はスタンダードの倍のクリック数となっており、より精密な調整が可能だ。

画像9: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

アクスルも改良されている。軽量化のため肉ぬきしつつも、適切なブレーキ剛性を持たせるために部分的に肉を盛っていて、デザイン性も高い。さらにモリブデンコーティングしたチタンボルトを使うことでアクスルシャフトの締め付けトルクを一定にし、設計本来の性能を十分に発揮することができるようになっている。

画像10: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

リアショックではまずダンパーケースを2ピースのアルミ鍛造にすることで、板厚を3mmという極薄で統一することに成功。軽量化に繋がった。そしてコンプレッションアジャスターの位置を極力内側にすることで、ブラダへのオイル流路を直線的かつ短距離にすることができ、よりダイレクトな減衰が可能となっている。

画像11: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

インナーロッドはスタンダードの16mmから、18mmに太くなっている。これによって流れる油量を増やすことができ、それが減衰力につながる。さらに強い力がかかった時にロッドの歪みが少なく、よりスムーズに動くことが大きなメリットだという。特に大きなジャンプの着地などでロッドがしなると動きが悪くなってしまうことがあるため、ワークスチームのリアショックはインナーロッド18mmが一般的なのだという。

画像12: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

スプリングアジャスターは樹脂製になっており、工具を使わずに手で回すことが可能だ。さらにスタンダードのメタル製の共締め構造だと、締め付けたときにメインパイプがわずかに歪んでしまい、フリクションロスにつながることから、それを回避する意味も込められている。

なお、リアショックのメインパイプにもフロントフォーク同様のマイクロディンプル加工が施されている。

画像13: 下田丈がAMAで使っているサスペンションと 同じ内部構造を持つA-KIT

A-KITについて解説してくれたのはSHOWAの技術主任・淡佐重紀さん。「このA-KITはSHOWAが持つ技術をすべて注ぎ込んだもので、AMAで活躍するHRCのライダー、ジェット・ローレンス選手やケン・ロクスン選手はもちろん、プロサーキットの下田丈選手にもSHOWAからパーツを提供しており、このA-KITと同じ内部構造のサスペンションを使っています」とのこと。

このA-KITはアッセンブリーではなく、パーツ一つ一つから注文が可能とのこと。現在はCRF450R(2021〜2022年式)、CRF250R(2022年式)、KTM450SX用がラインナップされており、埼玉県のサスペンション・プロショップBLITZ-SCHENELL(ブリッツシュネル)から注文可能だ。

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