昨年発表されたゴールドウインの新世代オフロードウエアには、実はグローブも存在している。他競技より遙かに手先の感覚にこだわるトライアルトップライダーの意見がふんだんに取り入れられているという
![画像: 野崎史高がこだわりまくった、オフロード用グローブを試す](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/f3aa81e0a217246580b907d6fc00f2c23f662586_xlarge.jpg)
Goldwin
コーデュラエンデューログローブ
¥8,250(税込)
ウエアの開発に関わる前から、野崎史高が愛用してきたゴールドウイングローブ
オフロードバイク向けのグローブに求められるものは、年々変化してきている。ロード向けよりは動きやすく、しかしパッドをつけて転倒時のガード力を上げる、というのが旧来のグローブの基本的な設計思想だった。ところが近年では、とにかく動きやすさを重視して、操作性に注力するという方向性がメジャーになってきた。ロード向けであれば、転倒時に長い時間アスファルトに擦れて削れてしまうため、しっかりプロテクターで保護されているべきだが、オフロードの場合は擦れること自体が少ない。大きなインパクトがあって手指が折れてしまうような時には、どんなプロクターもほとんど効き目がなさそうなのは、みなさんの想像通りである。だったらアクティブセーフティ要素を上げるためにも、動きやすさに特化した方がいい。
ゴールドウインのコーデュラエンデューログローブは、甲側にコーデュラナイロンを採用していることからもわかる通り、動きやすさに全振りしているようには見えないのが特徴だ。近年の動きやすさに全振りしたグローブは、甲にプロテクターがないのはもちろん、引っかかって煩わしいのを避けるため手首を止めるバンドすら排しているほど。コーデュラエンデューログローブは実際に引裂き強度が強く、さらには甲にラバーのプロテクターが配置されていて、一見商品の性格的には中庸な仕様に見える。ところが、装着してグリップを握ってみると、ほとんどの人が驚きを覚えるほどに操作性が高いのである。これは、トライアルIASの野崎史高が開発に関わっているからだ。
![画像1: ウエアの開発に関わる前から、野崎史高が愛用してきたゴールドウイングローブ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/9dec710409fef4bfc905b9d6b124d14f7c0401e3_xlarge.jpg)
「ウエアの開発に関わるようになったきっかけが、ゴールドウインのグローブを昔から愛用していたことなんです」という野崎。その操作性へのこだわりはとてつもなく高く、バイク側でもグリップは究極に細いほうがいいということで、一時期などグリップのゴムをわざわざ伸ばして薄くして装着していたほどだ。「これは開発途中の仕様のグローブなんですがナックル部分のプロテクターを見てください。これはモトクロスの飛び石などに対応させようとつけたものなのですが、トライアルでいざ使用してみるとすこし動きに重さを感じたのです。そのフィードバックを経て開発されたのが、こちらの新しいタイプのプロテクターですね」と野崎が見せたナックル部分のプロテクターは、デザインは同じだがほんの少し構造が違う。新タイプはプロテクターになっている細いゴムの線が薄くなっていて、グローブ生地の伸縮を妨げないことがわかる。比べてみると、感触的な柔らかさは倍以上といったところだ。
![画像: 市販品](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/ef45be80433e24f5ba4430bbb67c937258dbaf95_xlarge.jpg)
市販品
![画像: 先行開発品](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/4827314b4c411b95f028956beacd1c444355a34c_xlarge.jpg)
先行開発品
「グローブの内側にはナノフロントという素材を使ってもらいました。グリップとの相性が非常によくて操作性が高いのです。それに加えて、いまテストしている開発段階のものは、特殊な縫製手法を採用することで手指に縫い目があたらないようになっています。握った感触がより良くなるんです」とのこと。
![画像2: ウエアの開発に関わる前から、野崎史高が愛用してきたゴールドウイングローブ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/54540584c529c488ab6f60e1a19ab1b3ecc9cf21_xlarge.jpg)
グリップを握っておく力が、おおよそ70%くらいに低減。疲れない!
実際に市販品のコーデュラエンデューログローブはめてグリップを握ってみると、本当にナノフロントのグリップ感の良さがよくわかる。ちょっと今までに経験したことのないほどの感触だった。素手よりもグリップを握る感触がわかりやすくて、レバー類との相性もいい。滑りすぎず食いつきすぎず、的確に操作できるのだ。
![画像: レバーを思ったように握ることができる。疲れた時にその差が出てくる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/ce6a317b5c1beb6b5dc766f16e427b302d49ed00_xlarge.jpg)
レバーを思ったように握ることができる。疲れた時にその差が出てくる
普段からちょくちょくテストしてみて調子も良いので、せっかくならということでJNCCの八犬伝にこのグローブを持ち出してみると、レース中盤あたりからその恩恵を受けていることがよくわかる。思い切りハンドルが振られるサンドのコースだったのだけど、いつもよりグリップを若干緩めて握ることができている。レース後半になると、指の力がなくなってきてクラッチをまともに操作できなくなったり、アクセルがラフになったりするものだが(個人的にコレがかなりつらい。モトクロスでも10分全開で走っていると、左手の指の腱が痛んで耐えられなくなる)、手指の力がまだ残っていていつもより正確に操作できることに驚いた。身体の方はとうに限界を超えていて、スタンディングを維持できなくなって座りっぱなしで下りをおりてスローペースになったりしているのだけれど、操作系がしゃきっとし続けていることでこんなに楽に走れるものかと、目から鱗が落ちた。これは、なんとなくの感触だけれど、これまでのおおよそ70%くらいの握力で事足りていたのではないかと思う。
![画像1: グリップを握っておく力が、おおよそ70%くらいに低減。疲れない!](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/72415e84b8e8dfb85ffae2697f0190517f1daf0a_xlarge.jpg)
僕レベルでは、プロテクターの柔らかさの違いまでは感じることはできないけれど、グリップとの相性は、きっと誰にでもわかるレベルだろう。乗っていてとにかく気持ちのいいグローブなので、普段のクロスカブでもこれを使い続けたいと思った。
![画像: グリップが手から離れないことがいかに大事か!](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/5b926440183ad29525924356a64a5fa5f3bcc2a9_xlarge.jpg)
グリップが手から離れないことがいかに大事か!
![画像2: グリップを握っておく力が、おおよそ70%くらいに低減。疲れない!](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/b9306baf3c23df0faf0c31fcea7a8338df582c0c_xlarge.jpg)
![画像: コーデュラは薄く、伸縮性も高い](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2024/01/10/d6b1c753ce6eb624c0450801ac358bf824a707b2_xlarge.jpg)
コーデュラは薄く、伸縮性も高い