ハーレーが長年作ってきた「アメリカンバイク」の形があるように、往年の「パリダカ」を象徴する「アドベンチャー」の形がある。多くのバイクは、その形をしっかり守り、いわば売れ線を守ってきた。アドベンチャーでありながら、土の上を走ることを想定していないつくりであっても、その売れ線をだけはしっかり守ってきている。だが、このNORDEN901はまったくそのお作法から外れたバイクだ。アドベンチャーに、スタイルを持ち込む独自のデザイン。その上、土の上を走る性能には、しっかり優れている。なんてことだ。こんなセオリーから外れたバイクが、楽しくないわけないじゃないか。

カブよりイージー。スタンディングのまま、ガチャガチャとギヤを変えて走れる

画像1: カブよりイージー。スタンディングのまま、ガチャガチャとギヤを変えて走れる

オフロードの愉しさに後ろ髪を引かれながら、舗装路へ移動。ここでも、個人的な好みから言えば、エクスプローラーモードのラリーレスポンスが気持ちいい。ただ、ゆったり走るなら、ぎくしゃくしないストリートモードがしっくりくるなと感じた。

画像2: カブよりイージー。スタンディングのまま、ガチャガチャとギヤを変えて走れる

それより感動したのは、イージーシフト機能+パワーアシストスリッパークラッチの組み合わせ。今のロードバイクでは、オートシフターが当たり前で、はっきりいってそのへんの事情に疎いOff1.jp編集部だから勝手に感動したのかもしれない。クラッチを切らずにシフト操作ができるわけだが、シフトアップもダウンも思いのまま。だらっとスタンディングで峠道を流しながら、スロットルをあわせることもなくさくっとシフトチェンジができる。1速までというと大袈裟かもしれないが、3→2速のシフトダウンは通常スタンディングだと、かなりエンブレに気を遣いたいところだが、NORDEN901にそんな必要はない。勝手にFIとスロットルボディが動いて、適切なブリッピングをしてくれる。明らかに、自分のブリッピングよりウマイ。字面で読んでもわかりづらいかもしれないが、このだらっとスタンディングで流せる気楽さは、めちゃくちゃ使い勝手が良い。

画像3: カブよりイージー。スタンディングのまま、ガチャガチャとギヤを変えて走れる

スタンディング時のヒザまわりは、非常にスリム。さすがにタンク周辺は太さを感じるものの、ライダーインターフェースは優秀である。

画像4: カブよりイージー。スタンディングのまま、ガチャガチャとギヤを変えて走れる

フューエルタンクが、エンジンを覆う形で下まで回り込んでいるレイアウトも、ロードセクションで特に秀逸さを演出する。

画像5: カブよりイージー。スタンディングのまま、ガチャガチャとギヤを変えて走れる

とことん低重心で、安定感があり、さらに軽いハンドリング。ロードバイクのように曲がりきれないようなことはなく、ラインチェンジもスパスパ決まる。下手にカウルがついたロードバイクでカミソリハンドリングに戸惑うよりも、オフに親しんだ人達は、きっとこのハンドリングのほうが、楽しいに違いない。

画像6: カブよりイージー。スタンディングのまま、ガチャガチャとギヤを変えて走れる

ステアリングダンパーも良い仕事をしていると感じた。全体的に、マシン自体が柔らかく、尖った部分に恐怖を感じたりすることがない。ロングツーリングは、きっと楽しいだろう。

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